「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
*?


2003年大洗にて、左側がMOSSもどきウィングタープ

 前々からちょっと批判的な姿勢でいたのだけれど、おれは「スノーピーク」っちゅーメーカーをあまり好きではない・・・・・・加えて、「スノーピーカー」って呼ばれる、何でもかんでもベージュと紅色のスノーピーク製品で固めてるヤツみるとウゲゲッ!!ってキブンになる。

 ・・・・・・と、エラそうに言いつつ、おれもかの社の製品はいろいろ持ってる。ソロ用のコッヘルのセットは「トレックコンボ」ってナベとフタの4点セットにソロセット「焚」ってーのを組み合わせて6点にしたものだし、スプーンとフォークのカトラリーもそうだし、ウィングタープはかなり昔の大きなヤツだし、それやらテントを地面に止めるペグには鍛造の「ソリッドステーク」を使ってる。

 それらがベンリでいいから買っただけのコトだ。

 いやもう結論は出てる、コールマンで全部固めてるヤツもキライだし、モンベルで固めてるヤツもキライ(モンベルについては固めようにも、火器類がないけど)。別段アウトドアグッズに限らず、どんな道具でも買うのに「そのブランドだから」って指名買いするのはイヤやなぁ〜、ってこっちゃね。一昔前なら「うちはトヨタにしか乗りません」あるいは「ナショナルに限る!」みたいなさ。
 モノは相対的に比較していいから買うのであって、そのブランドだから買う、っちゅー姿勢のことを「**党」(あ、今回は「*党」か、笑)と呼ぶのだけれど、いかんせん「バカの一つ覚え」は下らない。

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 それでも、だ。メーカーとしてのスノーピークの製品群にもあまり魅力を感じない。どこかマイクロソフトの姿勢に似てる・・・・・・どぉゆうことか?

 「真のオリジナリティ」が感じられないのだ。人が苦労して考案したものを換骨奪胎して改良して・・・・・・すなわちパクって、ハッタリ目一杯のカタログに載せてあたかも自分たちのオリジナルでござい、みたいな姿勢が目立つのがイヤなのだ。

 その第一が何たってテント・タープ類。MOSSのパクリと言われて久しいが、カラーリングはマジでまったくのコピー。よく恥ずかしげもなく堂々とここまでやれるのぉ〜、って思ってたら、流石に批判に耐え切れなくなったか、今年から赤の部分がグレーに変更された。一方でMOSSの後を継いだMSRに、旧MOSS系の製品が減ってきたので、以前ほどのクリソツ感はなくなってきてもいる。いろんな意味で落胆しておられる方も多いだろう。
 ランドブリーズの5〜6なんて、全体のデザインの元ネタはシエラのストレッチプレリュードあたりかな?しかし、カッコだけパクるんぢゃなしに、軽量化の思想もパクろうね。どれもこれも異常に重いんちゃいます?今年からソロテントにスカンジウムフレーム採用した、っちゅうけど、それでもまだ重い。「スカンジウム」の名前でハッタリかましてんぢゃない。

 何をしたいのかよく分からん非対称で異常に生地が分厚いヘキサタープもあれ、やっぱMOSSっしょ?それとリビングシェル、ありゃぁコールマンの往年のパラワイドのまさに改良版、ホネ増やしただけ。肝心のパラワイドはとっくの昔に廃版になった、っちゅーねん(笑)。
 それと、さも自分たちの創意工夫のように宣伝してる「ペンタ」はあれ、アライのトレックタープを一回り大きくしただけだよね?

 おれの持ってるウィングタープなんて、一見しただけぢゃホンマ、MOSSの傑作「19”パラウィング」と区別がつかないっす。いやもう、まったくプアマンズモスですわ。事実、本家の1/10くらいの値段で買ったし(笑)。言い訳するわぢゃないけど、これにしたってウィングタープが欲しくなって、でも各社どんどんラインナップが減ってる時に、たまたまいつものサカイヤで現品処分が大量に出てたから買ったのだ。たしか¥3,980−、この時はヤフオク狙いで買い占めたバカもいるらしい。

 余談だが、ヘキサに押されて昨今スッカリ影の薄くなったウィングだけど、4人家族までなら絶対こっちの方がいい。居住面積が狭いとかいうけどそんな気になるレベルでもないし、何より立てやすくきれいに張りやすいんで、強く推奨しときます。

 火器類も、上手くまぁよくここまで各社の良いトコ取りでパクッたモンだ。「地」と「天」、っちゅうアレね。努力の甲斐あって本体軽くて小さいけど、その下にくっ付くボンベは正直重すぎ。機械そのものの性能やなしにプロパンで火力や明るさかせいでるだけでんがな。別体式のガソリンストーヴのオリジナルは言うまでもなくMSRドラゴンフライ。ガソリンランタンはコールマンが元ネタなんだろうけど、ちょっとやりすぎちゃいましたかね、「工夫」?デザインのグロテスクさは特筆に価すると思いません?

 今年から売り出したインフレータブルマットも、高ビーなお値段で、一体全体誰に向けて売ってるのかサッパリ分からない。普通に考えて、安くてよいものでまとめるならアルティアックかISUKA、ダンロップあたりにするし、いっそ見栄と圧倒的な性能なら元祖のサーマレストのプロライト4買うんで、やはり無知なスノーピーカーに向けて売ってるんだろう。

 もちろん、いい物もある。ソリッドステークの頑丈さはファミリーキャンプでは重宝するし、折りたたみのワンアクションテーブルや焚火台のオリジナリティ(持ってないけど)、何と言ってもバカ売れしたマルチスタンドなどは出色の出来だと思う。ただし、スタンドはともかくほとんどの製品はいずれも、「重量を気にしなければ」って但し書きがつくけれど・・・・・・。殊に「アイアングリルテーブル」っちゅう組み立てユニットキッチンみたいなシリーズの重量は、普通のクルマで運べるんかいな?ってくらいにクソ重たい。あと、バーベキューコンロとかね。鋳物を多用した、どれもヘーキで10kg超、ってものスゴい世界が待ってる。
 卓袱台なんてーのはもちょっと軽けりゃちょっと欲しい。これまた2万6千ナンボ、と、家庭用のダイニング5点セットでも家具屋の安売りならイチキュッパで買えるご時世に、豪儀な値段で驚くけどね。他のものも概してお値段もハッタリが効いてるな。

 しかし、まだおれはまだ出したことがないが、永久保証を謳うだけあってアフターサーヴィスはひじょうに良いみたいだ(無償ではない)。この点ではドンドン保証打ち切る無責任なマイクロソフトとは大違いだな(笑)。しかし、大抵のアウトドアブランドは、どこだって金さえ出せば永久保証なの、知ってました?
 ま、おれの持ってるのは故障とかから縁が遠いのでなかなかむつかしいが、一度何かで試してみたいと思ってる。

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 でもな〜、カタログ・・・・・・あれ何やねん?

 今、「あれ」って書いたが、実はおれの手許に今日、山屋に出かけてゲットしてきた2006年版が転がっている(笑)。ま、読みごたえという点では日本一だろう。圧倒的に分厚い。
 この3年、厚みは増してないけど、それでも実に260ページ以上!!凄まじいボリュームだ。これを超えるのは2分冊になったモンベルだけだが、商品数では圧倒的にスノーピークが少ない。つまり比較的淡々と商品の列挙に徹するモンベルに較べると、何とも冗漫というか情緒的なのが特徴。

 まるで自動車のカタログみたいに、いきなり見開きで10ページほどはイメージショット+アウトドアネタの散文の連続。製品全然関係あらへんやんか。その後は製品コンセプトやらシャチョー挨拶やらメーカーの姿勢やらが延々と続いて、目次は何と26ページから始まる。何か最近の始まってから15分後にタイトルロールが流れるTVドラマみたい(笑)。
 ・・・・・・で、いよいよカタログとしての本文が始まるのだが、その出だしのテントからもういきなり過剰広告。テントのラインナップは平たくゆうと、せいぜい15種類ほどだ。それだけ説明するのに46ページだっせ、46ページ!!写真が大きいのは理解できるが、繰り返し繰り返し同じような説明、画像が出てくるのにはいささか辟易してしまう。こんなことしながら、これまた見開きで資源保護とかを麗々しく訴えるのはいくら何でも欺瞞ってモンだろう。

 ・・・・・・ある程度アウトドアの知識が備わってくると、また、病膏肓に入ってニーズがシビアになってくると、こぉゆうツクリってどうにも甘ったるくて鼻につく。単純にスペックを並べてくれた方がありがたい。この事実は逆に言えば、あまり知識がない人ほどアテられやすい、ってコトだ。無論、知識が備わりすぎて単にマイナーでヲタな製品に金をつぎ込むこともいかがなものかとは思う、て意見も一方にあるとして、だ。

 もうお分かりだろう、スノーピークの戦略と狙ってる客層のセグメントが・・・・・・好きな人には申し訳ないが、戦略は「信者をこしらえること」であり、セグメントは「ちょっと小金のある、マニアを気取ってはいるが実は素人」って辺りだ、ってコトに。

 繰り返す。どんなメーカーにおいてもそうだが、それぞれいい製品もたしかにたくさんある。そして企業が熾烈な生存競争である以上、なりふり構わぬ宣伝活動も大切だ。でもユーザーたるおれ達が、本質を見ずに盲目的な信者になることだけは止した方がいい。それってまさに「いいお客さん」であり、「ああ、あそこのヤツやったら安心できるわ」みたいな、ムチャクチャに年寄り臭い判断停止の状態だ。んでもって、もうなっちゃってる人は洗脳から一刻も早く脱出した方がいい。ま、欠点も含めてよく理解して、それでもあえて愛してるのならそれはナカナカいいスタンスだと思うけどね♪

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 ま、スノーピークもあまりペダンティックなカタログにばっか注力したり、スポーツ屋に専用コーナー作るのに腐心したりせずに、「やっぱ較べてみるといいんだよね〜」的なメーカーに早くなってくださいな。それがホンモノのブランドってモンだとおれは思いますよ。それと、自社のキャンプパーティーに来た人の意見ばっか吸い上げてると、信者の翼賛ばっかでそのうち自家中毒起こしちゃいますよ。ではでは。


1963よりは1958の方が5年ありがたみがあるやろ、と(笑)


一世一代の珍作、タープポールの先っぽにつける風見鶏。

2006.04.02

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