低山めぐり(2)・・・・・・書写山 |
懸崖造りの護法堂拝殿
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しょしゃざん・・・・・・読みにくさは「きゃりーぱみゅぱみゅ」とまでは行かないまでも相当に発音しにくいな。今は山陽道が山の真下を通っててトンネルになってる。その看板で読み方だけは知ってたりした。
そんな書写山は何故か関東に暮らす頃から何となく気に懸かる存在だった。憧れっちゅうたら大袈裟やけどね。
市内からワリと近いし、大して高い山でもないのにロープウェイ繋がってるみたいやし、上には圓教寺っちゅうて何だか由緒ありげな大きな寺あるし・・・・・・こらもぉそれなりにリッパな観光地で、シブい昔からの料理旅館みたいなんが門前に櫛比してたりなんかして地元の奥座敷みたいなカンジなんかなぁ~?などと勝手な思い込みで想像を膨らませてた。いやホンマ、おらぁ近畿圏内についても温泉・鉱泉以外は全くと言って良いほど知識が欠落したまま、永らく関東の住人になってたのだのである。実にお恥ずかしい限りだ。
ともあれだからこちらに越して来て、ヒマだしどっか山でも登ろうか?ってなった時、書写山が選ばれたのはけだし自然の成り行きだったと言えるかも知れない。
・・・・・・って、そんな高い山ではない。調べてみると標高371mってなってるから、普段散歩で登ってる裏山に毛がちょっと長めに生えたくらいだ。何のこっちゃ!?(笑)。
ロープウェイは大好きな乗り物とは申せ、ここで志低く乗っちゃうとロクに登山にならんので、チャンと歩いて登るコースを探すことにする。 登山道は東坂・西坂・六角坂・刀出坂・鯰尾坂・置塩坂の6つがあって、索道直下あたりもコースになってるみたいだ。しかし、ゴンドラがスイスイ上がってく下を汗かきながら登るのって、何だか東名高速で新幹線が走る横を、単車乗って死ぬ気で250キロ出すのに近い虚しさがある。片やリクライニングの椅子に座って弁当なんか食ってんのに、こっちは目ぇ三角にして身体ベッタリ伏せてトバしてるってまるでアホですやん。
そんなんで更にネットで情報収集に努めたところ、どうやら刀出坂登山口に無料の広い駐車場もあるってコトが分かった。他もまぁ駐車場あるにはあるみたいだけど、収容力に問題があるようだしお金も掛かる。行って停めれんかったら困るし、昔からあんまし経済状態低空飛行は変わらないとは申せ、今のおらぁもっとビンボーに磨きかかってるんっすよ(笑)。
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反対の山上に取って付けたように下品な西洋のお城みたいなんが見える。脱力観光の西の番付上位によくその名が挙げられる、フェイク建造物「だけ」で出来た太陽公園である。金の掛かったキッチュやね。バッドテイストには目が無い方なんで、こっちもそのうち出掛けてみることにしよぉ~、っと。
駐車場は何のことない、恐らくはバブル末期のミニニュータウン開発が頓挫した造成雛壇の土地の一部が解放されてるだけだった。ナンボでももっと市中心部に近いトコに土地あるのに、姫路市内とは申せこんな辺鄙なトコ、誰も買わへんってねぇ。それも南西向きの斜面って暑いだけやん。そのためか後の空地の大半は最近流行のソーラーパネルびっしり。でもまぁ万年藪に覆われてしまうよりは有効な土地活用だろう。大体、姫路市って京都市並みに市のエリアが広い。ちなみに平成の大合併でそれはさらに広がって、今はものっそ北の方、但馬近くまでが姫路市になっちゃったりもしてる。
しょうもない感慨はさておき、想像以上に次から次へとやって来る登山客に混じってスタート。昔からの参道だったルートらしく、苔むして何となく歴史を感じさせる道だ。森閑とした杉林を登ってくと空が少し開け、呆気なく上にお堂が見えて来た。どうだろ?せいぜい1時間くらいかな?途中で色々写真撮ってたからもちょっと掛ったかもしれない。ただ、やたらと環境庁の看板が立ってるのがミョーにウザかった。一体全体、何をどのようにして保全したいのかが良く分からん。自然に還したいのか、少し前までの人工林が良いのか、血税食い潰してる分際で、もちょっとスタンスはハッキリさせろっちゅうねん。
山上一帯に建ち並ぶ伽藍群は、数が多いだけではなく、懸崖造りがケッコーあったりしてちょっとビックリ。もっと上手く宣伝すりゃぁエエのにと思ってしまう。そしてこれだけ大きな寺にもかかわらず簡素っちゅうか、何だか飾り気がないっちゅうか、素っ気ない雰囲気がある。観光にあんまし色目を使ってないのだ。
看板を読んでみると、どうやら播磨地方での天台宗の拠点として延暦寺をかなり模して作られてるみたいだ。要は教学の寺っちゅうか、わて等、そこら辺の葬式寺とはちゃいまっせ!ちょっと格上なんです!的な立ち位置のお寺だったんだろう。それなりにこの地方に強大な影響力を持っていたワケだ。そんなこともあってか織田信長が比叡山を焼き討ちにしたよりはマシかも知れんが、豊臣秀吉にはかなりゴッソリと寺宝の数々を略奪されたみたいである。サルだけあってさもしく卑しかったんやろうね。また、要害の地として陣が張られたことも多かったようだ。
そんな経緯からか天下泰平の江戸時代となってから明治までは代々の姫路藩主からの手厚い庇護も受けてたようで、本多家・榊原家・松平家の墓所があったりもする。まぁその分、一般ピーポーの檀家が無いから今は経営苦しいんだろうけど。
山のてっぺん近くの白山権現なんかも丹念に回り、ダラダラ下ってくとこれまた立派な懸崖造りの摩尼殿があって、この辺がいちばん観光っぽい雰囲気があったかな?茶店もあるし。ここでヨメは最近ハマッてる御朱印貰ってた。さらに下ってくと精進料理食わせる塔頭があったりして、ロープウェイ山上駅に到着。ハハ、「ミオロッソ書写」やて!こりゃもぉ「コンサドーレ札幌」並みのセンスやね。
驚いたのは、この表玄関から登って来ると関所みたいな木戸があって、500円の文字通り木戸銭を取られるってコトだ。檀家少ないワリに歴史的建造物が多いから、色々維持修繕してくためにはしゃぁないことなんやろうが、他のルートから来たらそんなのないワケで、ちょっとこの辺は公平性に問題あるかも知れない。
ここまで来てしまったんだし、そのままロープウェイ沿いの東坂ってコースを下る。丁石なんかもあることからするとどうやらここが一番のメインルートらしいが、これがナカナカ面白い下りで、それほど急ではないとは申せゴツゴツした剥き出しの岩場を行く。下り切るとコスプレマネキンが不気味な墓地に出て、これまた呆気なく山道は終わり。この辺の山に共通するコトで、いきなりフツーに住宅街が広がってる。上りも下りも、結局は楽勝だった。
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クルマで来たらクルマまで戻らなくちゃなんない・・・・・・当たり前やな。歩道が狭くてちょっとおっかない県道をトボトボと行く。野球で有名な東洋大姫路の前を通り、企業からの寄付で潤ってそうなリッパな校舎の並ぶ兵庫県立大を過ぎ、六角坂を横目に見てようやっと出発地点に戻った。下道歩きって疲れるだけでダルいよね。
行って初めて知ったこともけっこうあった。大河ドラマ・「真田丸」やハリウッドの大作・「ラスト・サムライ」のロケ地になったってコト(・・・・・・トム・クルーズって「トップガン」でニンジャ乗ってたし、兵庫と何か縁でもあるのかな?)、どうやら開闢の祖・性空上人以前から巨石信仰的な聖地らしかったコト、ナゼか弁慶にまつわる伝説が多いコト、西国三十三観音巡りの中では最大の寺であるコト・・・・・・ナカナカ日本の近世史と複雑に絡み合いながら、強かにしぶとく生き延びて来てはるんですわ。
そんなこんなで山登りとしてはイマイチどころかひじょうに物足りなさの残る書写山詣でではあったものの、へぇ~!みたいな驚きが意外に幾つもあって、それなりに愉しめる登山なのでありました。チャンチャン♪ |
さらに見事な懸崖造りの摩尼殿。も少し高さがあればさらに良かったかも。
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2024.02.20 |
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