「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
小型バイクにトキメいて


いっちゃん気になるのはこれ。アプリリアの125。

 「ゼロハン」と呼ばれる昔ながらの原付が、強まる一方の排ガス規制の前に風前の灯火となってる。排気量小っちゃいねんし、その分有利なんちゃうんか?ってのは素人考えで、排ガス浄化しつつ馬力稼いでそれなりに燃費も良くするには、ある程度の余裕が必要らしい。それで若干余裕のある125ccに移行しようとしてるのが現状である。ホンダのゴリラとか、たしかに125になっちゃったモンね。ただ、長期的な二輪の凋落は止まるコトがなく、なかなかマーケットとしてはカンタンではないみたいだ。

 まぁ随分以前から原付は法規制の点とかからも今後の存続は厳しいだろうとは思ってた。誰がビュンビュンみんなトバしまくる幹線国道でトロトロ30km/hで走れるっちゅうねん!?バカバカしい以外の理由の見当たらない二段階右折やれる、っちゅうねん!?官憲はホンマにアホちゃうやろか?と。

 いや~、ジジィの繰り言で申し訳ないけど、昔はゼロハンでもかなり面白かったんよ。ノーヘルOKはそらまぁ危ないからオススメ出来んが、今みたいに60km/hのリミッターなんてあらへんかったからね。RGとかRD、AR等のレプリカ前夜のスポーツモデルだと、空冷とは申せ2サイクルなんで馬力も7.2馬力とか出てたし、エンジンもビャンビャン良く回ったから、平地で80km/hくらいはヨユーで出せたんですわ。長い下りだと100キロ超えイケてたんちゃうかったかな?
 4ストのカブでさえロータリーではなくリターン式のミッションが付いてた時代のは、エンジンが恐ろしく回るんでかなりトバせてたな。レッドゾーンなんて分からんかったが、3速からいきなり1速に落として後輪ロックしまくりで、多分メチャクチャにオーバーレブさせてんのに壊れんかった。

 ちなみにこの50cc・・・・・・っちゅうか厳密にゆうと49ccとか、50cc未満のラジコンエンジンみたいな単車は、今やほぼ日本だけの独自規格になってる。いや、第二次世界大戦後には世界中でモペットブームとかあったし、80年代初めまでは世界GPにも50ccクラスとかあって、60年代は日本勢の独壇場、末期はスペインあたりのメーカーが蚊トンボみたいなワークスマシンで参戦してたりしてこれまた面白かったんだけどね。恐ろしくピーキーなエンジンに14速とかロードバイクもビックリな変速で、トップエンドは多分200km/hちょっと切るくらいだけど(・・・・・・いや、十分にスゴいよね)、コーナリングスピードが異常に速かった。恐らく、軽くて非力だからタイヤのグリップが良かったんだと思う。

 世界的には今は市販品だと最小排気量は125が標準なのかな?東南アジアとかもそんなんだもんね。台湾行った時も、現地の人はみんな125ccのスクーターだった。だから50ccもだけど、70ccや80cc、90ccなんかもほぼほぼ絶滅しちゃった感がある。この辺のは125cc未満で「原付2種」って呼ばれてたっけ?
 ともあれそこまで小さいのはだから今や入手も維持も困難な状況だ。現実的には125ccくらいからがこの時代の解だろう。

 今日はその辺のお話を・・・・・・。

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 まずは小型二輪のデメリットについて考えてみよう。

 最大の問題は高速に乗れない、ってコトだろうか。しょうむない軽自動車よりは遥かに運動性能高いハズなのに、アカンのんですよ、これが。ホント、行政はアタマが悪いわ堅いわセンスないわで救いようがない。
 次の問題は、やはり絶対的なパワーにはどしたって劣る、っちゅうコトやろうね。いや実際125っちゅうたかて25psくらいは市販車レベルでもフツーに絞り出せるハズだし、昔はカジバとかアプリリアとかでもっと過激なモデルもあったりしたが、今はすっかり大人しくなっちゃった。現行モデルだとせいぜい15psくらいかな。加速性は一歩どころかかなり劣るし、メチャクチャ引っ張りまくっても110km/hくらい出たらエエ方とちゃうやろか。

 ・・・・・・って、実はデメリットはそんなモンなのだ。後はメリットだらけだったりする。

 車検はないし、二人乗りできるし、軽いから取り回しはラクだし、燃費良いし、本体価格に税金その他も安いし・・・・・・ちょっと近所乗り回すにはスゴくベンリだろうなって思う。オフローダーなら山でシングルトラックみたいなんに入ってもそこまで苦労しない。そして意外なほど日常の領域では速かったりする。
 そらもちろん登りはキツい。コーナーの立ち上がりとかで馬力のあるのに置いてかれちゃう。しかし、下りだと軽さを活かせば大排気量車でも全然カモれる。実際、昔、CBX125って4スト単気筒ので山中越えの下りとかで中~大型をツツキ回してるヤツがおったんでウソではない。もちろんそいつが上手かったってのはあるけど、おれもその速さに舌を巻いた。とにかく軽いからコーナーへのツッコミでヤバいくらいにブレーキングを遅らせることが出来るのと、単気筒ゆえの立ち上がり、ヒラヒラした切り返しなんかで下りだとドンドン先に行っちゃうのだ。藤原豆腐店のハチロクが速いのと同じ理屈やね。

 ・・・・・・要はどう乗るかなんだろう。まぁ彼も最後はやらかしてコーナーでトンで、標識と車体に挟まったもんだから脚が3ツ折れくらいになって、何百針も縫ってボルト何本も埋め込んでたけど。
 もぉあの当時みたいなリスキーな走りをしたいとは毛頭思ってないし、そもそも動体視力が付いて行かない。大体、高速で単車に乗ろうとも思ってない。遠出すれば雨も降るだろうし、土産で荷物だって増えもする。夏暑く、冬寒い。そこまでの不便を敢えてかこってまでして趣味バイクの世界にハマる気は最早ない。それなら免許活かして大型に乗る、っちゅうねん。シティコミューターっちゅうんですか、下駄代わりになってくれりゃそれでジューブンなのだ。

 そんな目線で見渡してみると、最盛期に比べてかなり寂しくなったラインナップとは申せ、それなりに色んなヴァリエーションがある。

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 棲み分けは大まかに言うと、スクーター、ビジネスバイク、大型化したゼロハン、逆にダウンサイジングした大型バイクってな感じになるだろうか。スクーターは興味ないから論外として、残りをもちょっと詳しく説明すると、ビジネスバイクとはカブの110とか125版みたいなんが相当する。見た目的にはゼロハンとほぼ変わらない。大型化したゼロハン、ってのはちょっとファンバイク的なちっこいので、モンキー125とかグロム、或いはカワサキのZ125なんかがそんなカンジだ。小径ホィールで、ポジションもちょっと窮屈そうなのが該当する。ダウンサイジングした大型は目下一番売れ筋かも知れない。CB125RとかスズキのGSX-R125なんかで、学生とかにそこそこ堅調に売れてるらしい。残念なコトにオフロードモデルはハンターカブくらいしか現時点では残ってないけど、またそのうちリバイバルで出るような気がしてる。
 外国製や逆輸入がこのクラスは案外充実してて、KTMやらアプリリア等の老舗から、ちょっと怪しい東南アジア系まで、探すといろいろ見付かる。モタードとかスクランブラーとか、面白い切り口なのも海外勢に目立つような気がする。

 いずれにせよ80年代のゴールデン・エラを知ってるだけに、何かちょっと物足りない気がするのは仕方のないことだろう。もぉ世界的にも単車の時代そのものがかなり終わりかけてるのだから。

 ・・・・・・んん~、とは申せやっぱしナンボなんでもラインナップ寂しいよなぁ~。もちょっと枠広げて250ccまでで探してみるか。ちなみに150cc超えると、高速道路だって走れてしまう。200以上で2気筒とかだったらそこそこ巡航速度も速くできる。お値段上がるなりにメリットはある一方で、車検が無いのはやはりめんどくさくなくてラクだし、他の維持費も125ccと大差ない。

 選べる幅はかなり広がる。オフ車も少ないながら残ってるし、俗にアドヴェンチャーモデルなんて言われるデュアルパーパス、アメリカンなんかも無くはない。ロードモデルでは久しぶりにカワサキから4気筒が投入されたりもして、昔日の賑わいとまでは行かないまでもまずまず活況を呈してるのではなかろうか。
 ただ、今の250ccクラスって全体的に車格をムリヤリ大きく見せようとしてる感じがある。いわばRZ250以前、70年代の400のお下がりに甘んじてた時代の立ち位置に戻ったみたいで、ひどく大柄でその分車重もかなり重目なのはいただけない。ヴェリシスとかVストロームなんてちょっと良いな~って思ってたんだけど、車重みたらゾッとする。昔乗ってたGPz400Fの馬力半分~2/3で重さは変わらんのだもん。もう一回りコンパクトに、あと3~40kgは軽く作れたっしょ!?ってなデカさだ。これは国産メーカーとはいえ、作ってるのがタイとかインドで、現地では遅くったってとにかく押し出しの強いのがウケるからなんだろうな。
 海外勢もかなり選択肢が広がって、定番のKTM・デュークやらハスクバーナなんて面白そうだし、恐らくはかつての名門ブランドネームだけを買い漁っただけなんだろうが、ロースペックながらレトロテイスト溢れるスクランブラー等も色々出てる。

 まぁ、チョコッと遊ぶ程度なら250ccまででかなりあれこれ選べてしまうワケだ。でもおらぁやっぱ125ccが欲しいや。

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 思い返せば多分、自分の中で大きくて速いバイクについては、中古とはいえ年齢と収入からすれば極めて分不相応なニンジャ900を買って乗り回してた30数年前のあの時点で「アガリ」になって、興味が失せちゃったんだと思う。もちろん今は進化して、もっとスゴい馬力のんばっかし、ネイキッドモデルでもリッターバイクだと150psとかとんでもないスペックになってる。でもそんなの一流レーサーでも使いこなせないって。

 そんなモンスターバイクが高速道路で徒党組んで100km/h+αでトロトロ行儀良く走る・・・・・・そうした金満バイク集団を見るとどこかイラッとしてる自分がいる。SAとかでも遭遇する。揃いも揃ってみんな今は運動神経ニブそうなオッサンばっかしだ。メット脱いだら蒸れたアタマは簾だ。それがドヤ顔でマルケジーニだとかアクラボヴィッチ、ブレンボなんかカマしてるのみると、ホント「宝の持ち腐れ」とか「猫に小判」だよな~、あぁはなりとぉないよなぁ~、ってつくづく思っちゃうのだ。別に金が無くて買えない妬みや僻みでもない。それくらいのハシタ金なら今はあるんだし。ただもぉとにかく見てて恥ずかしいんだわ。

 まぁ、本人が気に入ってりゃそれはそれで良いワケで、消費に貢献するのは悪いことではなかろう。ただ、今のおれは少なくとも単車については、もっと原初の欲求や感動を想い起させてくれるような、ちょっとあれこれ不足した感じのある、身近で身の丈にあったあたりの道具兼オモチャとして欲しいだけのことである。


息の長い名作、ホンダのハンターカブ。とにかく山にはいるにはこれがイチバン、って人が多い

2021.08.18

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