「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
新車ってやっぱエエのぅ〜


現在、最も自動運転に王手をかけてるテスラ「モデルS」。

http://car-moby.jpより
 う〜む・・・・・・我ながら何ともはやベタで内容空疎なタイトルだなぁ〜、って呆れてしまうんだけど、でもまぁ実際に新しいクルマが楽しいんだから仕方ない。いつもいつも狷介固陋な姿勢ばかりも疲れるワケで、たまには稚気丸出しで喜ぶことがあったって良いだろう。

 久しぶりにSUVタイプに替えたことは先日書いた通りだ。

 しかし、決してファン・トゥ・ドライヴなクルマでないことは間違いない。まだ慣らしもマトモに終わっておらず、エンジンも全然回し切ってない段階であまりあれこれは語れないのは差っ引いても馬力は無い。エンジンの吹け上がりは悪くないが、そこはやはりNAなので回すほどにほどほどのトルクや馬力がリニアに付いて来る感じ。最近のターボのようなブッといトルクバンドが長く続く感じもなければ、かつてのターボのような中回転くらいからドッカーンと加速する感じもない。見掛けはゴツいのにピューッと線が細いのだ。
 足回りも剛性感があってこれまた悪くないが、昔のクニョクニョと良く脚の伸びるクロカン4WDの印象からすると、ただひたすら車体がリフトアップされただけの乗用車っぽい感じでいささかの違和感はある。見た目で騙されてはいけないのだ。

 リヤシートの巨大さにスペースを奪われて荷室が狭いとか、SUV名乗ってるクセにボンネットやリアゲートの鉄板が薄いとか、脚が短いとか、車体のデカさとハンドルやアクセルの軽さがイマイチ合ってないとか、ムダに車幅が広いとか、内装の質感が少々安っぽいとか・・・・・・欠点を挙げ出せばキリがない一方で、サスガ最近のクルマであることよ、と感心させられる点も多い。そこがやはり楽しいのである。

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 一言でいえばそれは、急速に進化しつつある電子デバイスの数々だ。

 まずは基本であるCVTや燃調コントロールのチューニング。少し前までCVTには独特のカッタるさがあった。急な坂道をスクーターで登る時と同じ感覚と言えばお分かりになる方も多いだろう。エンジンはワーッと回るんだけど、プーリーでベルトが滑っちゃってちっとも前に進まない・・・・・・アレだ。それがゼロとは言わないまでもかなり払拭されている。それどころか出だしくらいもう少しマッタリ動き出しても良いんぢゃねぇのか?っちゅうくらい、メリハリのある動きをする。普段使いで常用する速度帯と思われる100km/h以下なら、ATやMTに較べてさほど遜色ないところまで調子出して来てる。
 そしてやたら燃費がいい。大体、燃費なんてモンは慣らしが終わってさらに1,000〜2,000キロくらい走った頃からようやく本格的に良くなってくるのが昔は常だった。いわゆる「エンジンにアタリが付く」っちゅうヤツで、それでようやくカタログ燃費の8割くらいになるのだ。それがどうだ。いきなりそれくらいが乗り始めから出てるではないか。電子ポンプのROMセッティングって各社秘中の秘なんだけど、演算能力の向上もあってか、ホント恐ろしくケチケチとした・・・・・・もとい的確なガソリン吐出を行ってるんだろう。ソレックスやCRがどーたらゆうてる時代では最早ないのだ。

 その次がクルーズコントロールの出来の良さ。これはもう特筆モノだ。クルーズコントロールっちゅう仕掛けが一般的に広まったのはたしかホンダのアコード辺りからだったと思うが、ぶっちゃけ昔のは使い物にならなかった。前にクルマがおろうがおろまいがただもうセットしたスピードで走るしかできないから、実際走ってると間尺が合わない動き方をする。またシフトレスポンスが極端に悪くて、下りから登りに変わる辺りでの違和感は我慢しがたいレベルだった。オマケに燃費まで落ちやがる。
 それが驚くほど改善されてるのである。設定スピードにリミッターが掛かってるのが腹立たしいが、衝突回避支援システムと組み合わさって、100km/h+αくらいで淡々と走るなら、ほぼ完全にクルマ任せで行ける。それに自分がアクセル踏むより燃費が伸びる。ディスプレイの燃費計がカタログデータそのままを示したのには本当に驚いた。さらには先行車に近付けば勝手にブレーキ掛かるし、こりゃもう実に楽チンだ・・・・・・とは申せ、おれのアベレージスピードは実際はそれより速いんで、慣らし終了後はどうなるか分からないけど、まぁ疲れてトバしたくない時もあるワケで、そぉゆう時には強い味方になってくれそうな気がする。

 衝突回避支援システムについては恐るべきメカニズムだと思う。ただ、残念ながら各メーカーの努力にかかわらずまだまだ発展途上な技術であることも事実で、斜め前方は認識しづらいとか、特定の色や形状には弱いとか、荒天時には性能が低下するとか、色んな制約が残っている。恐らく今後はあらゆるシチューションに対するカメラやレーダー等のセンサー性能向上だけでなく、例えばGPSとの連動であるとか、路面状況や温度、ハンドル舵角や車体の傾き、遠心力等のセンサーをさらに組み合わせ、CPUの演算能力アップを図ってくようなことが行われてくんだろう。
 しかしそれでも、かなり凄いレベルにまで来てることは分かる。このテのデバイスの先駆けであるアイサイトの初代を搭載したレガシィに何年か前に乗せてもらったことがあるが、当時はそれほど感動しなかったし、必要性もさほど感じられるレベルになっていなかった記憶がある。
 それから僅か数年でエラい進歩を遂げてるのだ。安全性だけでなく、動作条件のチューニングが徹底的に図られており、ナーバス過ぎずダル過ぎずかなりいい感じのところで注意喚起を行うようになっている。

 ナビも間違いなく進化してる。昔はそもそも探した標準ルートがメチャクチャだったり、完全にマップ上の自車が道から外れて海の中を走ってみたり、崖から落ちたり、住宅密集した裏路地を突っ切ってったりみたいなコトは当たり前だったし、動きも何だか尺取虫のようにピョコピョコと不自然極まりなかった。
 それが今では本当に精度が高く、動きも滑らかだ。相変わらず目的地付近で案内を止めてしまう横着さは変わってないが、それでも昔みたいに一筋ずれたところで案内を終了するようないい加減さは大分少なくなってると感じる。
 それと、いつの間にかカーオーディオってナビのオマケになっちゃったことも特筆すべきことだろう。かつてはオーディオだけで一杯ツマミが付いてたもんだが、そんなのは全てナビの液晶タッチパネルのメニューの奥深くに埋もれてしまった。たしかに良く考えずともEQなんて一度セットしてしまえば後はそんなに弄り回さないんだから、インパネにツマミが並んでる必要なんてないのである。余分なインターフェースが排除されるのは良いコトだと思う。

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 思うに、おれの買ったのはクルマの形をしたロボットなのではなかろうか、って気がしてる。そんなロボット的なトコが楽しいのだ。上に書いたようにまだまだダメなところは沢山あるとは申せ、随分自動運転に近付きつつある。
 確かに乗り物を操るのは楽しい。それがあるからチャリやら単車やら自動車を乗り継いで来た。しかし、そんなことに煩わされず気儘に景色眺めて写真撮ったり、本読んだり、みんなでワイワイ言ったり、時には寝たりしながら走って行けるのも、それはそれでとても楽しいコトだと思う。あまり個人的にはやりたくはないが、もちろん仕事だってできるだろう。何か報告書いたり、資料作ったり、商談したりとか。もう、移動は全部クルマ任せ・・・・・・と。

 そこまで考えてふと思い付いた。

 これまた死語の世界だが、2〜30年前までは「デートカー」なんて呼ばれるクルマがあったのを想い出す。デートくらいどんなクルマでもできるやろ〜がぁっ!?って思うんだけど、「二人だけの世界」ってなワケだからだろうか2ドアのクーペを指すことが多かったように思う。ホンダ・プレリュードやニッサン・シルビア、トヨタ・セリカあたりがそうで、頂点に君臨してたのはトヨタのソアラだった記憶がある。金のないヤツ向けには3ドアハッチバックなんかがそれっぽい売られ方もしてた・・・・・・そのうち呼び方は「スペシャリティカー」だとか「ハイソカー」なんて、如何にも浮利に溺れまくった時代らしいモノに代わり、そしてどれもこれもバブル崩壊やらその後の空前の4WDブームとかでみんな消えてったのだったが。

 上に書いたようなロボット化の進む流れの中で、ひょっとしたらそのうち真のデートカーが再び登場するかもしれない。それが何かっちゅうとつまり、走らせながら脇目も振らず車内でセックスに没頭できるような、いわば「走るラブホテル」みたいな形で(笑)。ともあれ、それくらいに自動運転が切り拓く地平は、今のおれ達からでは想像も付かないようないろんな可能性があると思う。
2016.01.16

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