「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
愛憎っちゅうと大袈裟だけど・・・・・・スチールとビルダー


最近ではいっちゃん欲しいTOMMASINIのSINTESI。
古臭く見せかけて中身は最新素材だったりするのがミソ。

http://beans-tm.cocolog-nifty.com/より

 それにしても最近自転車関係のネタばっかやなぁ〜・・・・・・ま、ハマってんだからいいか。

 初めての自転車は20インチの子供用だった。次の自転車はミニサイクルっちゅうて今のママチャリみたいなカッコで24インチ・5段変速のん、その次がユーラシアのランドナー、でもってビゴーレの吊るしの金満号、ジャイアントの安物MTB・・・・・・今のがフルアルミなだけで、過去のはどれもこれもフレームは鉄だった。っちゅうかその頃、素材はほぼ鉄しかなかったのだ。

 今でこそ余程の安物以外は鉄=クロモリってフツーに思われてるけど、当時クロモリは高級品とされていて、一般的にはただの鋼、ちょっと高いのでもハイテン鋼(高張力鋼)が使用されていた。ユーラシアは盛んに素材がクロモリであることをカタログで謳っていたけれど、実はそれだってメインの三角だけで、後ろのステーやフォークはハイテンだった。決してユーラシアだって安いチャリではなかったが、それでもそんなもんだ。それくらいクロモリは高級だったし、あとは特に目新しい素材もなくバテッド(管の肉厚)がシングルだとかダブルだとかを競っていたのである。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 カーボンのウニョウニョした有機的でダイナミックなフォルムもいいけれど、やはり昔ながらの鉄の細いフレームは見慣れているのもあって、これはこれで素直にカッコいいなぁ〜、と思う。ある種完成したエバーグリーンなカタチだ。また、素材的にも錆びやすいのさえ気を付けてれば安価な割にタフだし、ちょっと曲がったくらいなら引っ張りゃ直るし、たとえ折れても溶接で比較的簡単につなぐこともできる・・・・・・って、いや、実際にそのような事態に陥ってそこまですることはないだろうけど、とにかく定番品の安心感みたいなんがある。

 だから、今のアルミでロードに馴染んだら次はやはりスチールのスッキリしたのが一台欲しいなぁ、と漠然と思ってる(・・・・・・もちろんカーボンも欲しいけど、笑)。ただ、カーボンにはまだ発展途上なトコが多々あって3年くらいでいわば「型遅れ」になってしまうのが、鉄ならもう進化も退化もない。そぉゆう点では特にレース機材にするワケでもないので投資効率が高いと言える。デローザのネオプリマートやコルナゴのマスターXなんてまさにそんなモデルだ。さらに擬古典的なトマジーニのシンテシ、あるいは比較的安価に変えるアンカーのネオコットやパナモリなんかもいい。
 別に隅々まで古臭く仕上げる必要は感じない。今の最新の信頼性の高いパーツでフツーに組めたらいい。パッと見が鉄の細いシルエットなら、あとの細かいトコはまぁ何でもエエんだ。要はだいたいの見た目がOKならOKなワケだ。

 ・・・・・・っちゅうか、おれのイメージとしてはむしろ積極的に、往年の空冷のネイキッドの単車を最新のアフターパーツでバキバキにチューニングして最新型に拮抗するマシンに仕上げるようなのが面白いんちゃうんか、と思ってる。
 亡くなっちゃったけど真田哲道ってオッサンの開いた「ワークス」ってショップがこの路線の嚆矢で、昔の空冷Zにワイセコのボアアップキット、CRキャブ、集合管、サークのオイルクーラー、アールズのステンメッシュのホース、ダイマグのホイール、ロッキードやブレンボのブレーキ類、当然フレーム強度が不足するからあちこちに補強を噛まして元の馬力の倍くらいを絞り出していっちょ上がり!ってな手法だった。

 そんな風に、見た目を決定づけるフレームは古いけど(嗚呼、エンジンたるおれも古く、あまつさえ非力だけど!)、いろんなパーツは最新型でスパルタン、っちゅうのがチャリにあったっていいと思う。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ただ・・・・・・その核となるフレームをビルダーでオーダーメイドでこしらえるか?と問われると、いささか「?」なのである。

 値段が高いとかそんなんではない。価格的に見て日本のビルダーは実はそんなに敷居の高い存在ではない。上述のコルナゴやデローザの鉄フレーム買うよりはうんと安上がりだったりする。
 鉄が素材として終わっててダメともぜんぜん思ってない。いやいや、バネ感とかややこしいことを言う気はない。どうせそんなんおれにはあまりハッキリとは分からんのだし(笑)。ただもう平たく言って、安くはない金出して買う以上、軽さと剛性っちゅう相反する絶対性能だけでなく、他にも耐久性とか保守のしやすさとか流行り廃りのなさとかもおれにとっては重要なファクターなワケで、総合的に見てスチールの優位性はまだまだ高いからだ。

 でもそれでもビルダーには頼まない。

 何ちゅうか、一言でいって今の日本のフレームビルダーって進取の気風に欠けるだらしないトコが多いようで、何とも気が乗らないのだ。手慣れたスチール、それもクロモリばっか、言葉は悪いけどその世界に「逃げ込んでる」ように見える。素材は判で押したようにカイセイ022とか019で、10年1日の如く変らぬものを作ってる印象しかない。何だか「和三盆はやはり讃岐産に限りまんなぁ〜」とかゆうて、その実新しい素材試したことなんてこれっぽっちもなく、伝統やら格式の上に胡坐かいてる老舗の和菓子屋みたいだ。
 それかあらぬか多くは今やじり貧状態で、商売畳んでしまった所も多い。流行ってる所は流行ってるが、たいていは個人営業の一代経営で、代変わりしてからも続いてるところなんて滅多に聞かない。そんな零細ばっかだから、ちょっと注文が立て込むとサバき切れなくなって6ヶ月とか1年とかヘーキで待たせよる。

 そりゃぁ他の素材を導入するとなると設備投資が掛かることは分かる。アルミは溶接が鉄みたいに単純にはできないし、カーボンは最後に瀬戸物みたく窯に入れて焼き固めないとアカンもんらしいから、そぉゆうのを入れる資金や土地が必要なんだそうな。治具とグラインダーとトーチで何とかなる世界ではないから、個人の工房でそんな感じでやれてるのって国内では数えるほどしかないんとちゃうかな?

 しかし、鉄と一口にゆうたかていろいろあるやんか、と思う。おれはあまり詳しくないから良く分からないけど、ニッケルバナジウムだとかニオブだとかマンガンモリブデンだとか、鉄って不思議なことにちょっと微量成分を添加して合金にするだけで特性が劇的に変わるみたいで、まだまだ研究改良の余地は残っているみたいなのだ。ちったぁ鋼管メーカーに掛けあってオリジナルの鉄パイプ作らせるくらいのガッツのあるとこはないもんかね、と思っちゃう。

 ・・・・・・まぁ、今の日本のビルダーの実態と資本力からすると妄言だよな。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 今年は何かとモノ入りが多かったのでちと厳しいが、大マジで来年は1台こしらえようと思ってる。

 とは申せ、今はこうしてスチール、それもマスプロ製品ので盛り上がってるけど、キブン屋で移り気なおれのことだからしばらくしたら全然違うことを考えてるかも知れない。いやいやそれどころかすっかりロード熱が冷めて、「やっぱアルミのMTBやね〜」とかホザいてる可能性だってあるかもよ。だって飽きっぽいんだも〜ん。
 それでも、だ。今回述べたことの骨格はそんなにブレてないだろう。

 メーカーでは想像もつかんような新技術を取り入れた先鋭的な製品をどっか個人の工房が出してくれませんかね〜!!
 ホント、このまま先細りなんて寂しいやん。


昔、憧れたのはこれ、ZUNOWでした。

http://media.photobucket.com/より

2009.06.25

----Asylum in Silence----秘湯 露天 混浴から野宿 キャンプ プログレ パンク オルタナ ノイズまで
Copyright(C) REWSPROV All Rights Reserved