「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
ダイエットツールとしてのチャリ


激安ロードの中では上手く見た目を作ってある「ビートムーン」

 先日、たまたま子供のママチャリに乗ることがあった。上の子はすぐボロボロにしてしまうので、今はバッタ屋で買った9,800円のパチモンに乗せてるのだけど、借りて乗ってみておれはものすごく驚いた。フレームがグニョングニョンだったのである。しなやかとかそんなんではない。ただもう単純に撓むのだ。坂道を立ち漕ぎしたら、右足を踏み込むとBB部がハッキリ反対の左に向かって曲がってるのが分かる。下りは下りで大したスピードも出てないのにウォブルとかヨーイング出まくり。
 息子に言うと全然そんなことはないと言う。ひとえに彼がスレンダーで体重が軽いからだ。でも、いくらおれの体重が重いからといってこのよれ方はあまりにひどい。

 おそらくパイプにはハイテン鋼より遥かに低いグレードの粗悪品が使われてるに違いない。そもそも鋼なのかどうかも怪しいモンだ。溶接した時に熱掛かって焼鈍されたまんまになってんぢゃねぇのか?鉄フレームのバネ効果とかゆうけど、これぢゃぁなぁ〜、と思った。
 ま、この体験のお陰で、ロードとしてはひどく安物とはいえ、普段おれの乗ってるフルアルミのロードがいかに剛性くて安心感あるか、つくづく思い知ったのは収穫だったが・・・・・・(笑)。

 話は変わるが、そういやガキの頃買ってもらった自転車は、派手に転倒するワケでもないのにクランクがだんだん内側に、ペダルが下に曲がって来るのが常だった。だから、各人のクセがつく。友達と取り替えっこなんかすると、しばらくはひどく漕ぎにくい。「何やこれは!?」とか最初は思うが、すぐに馴れる。そうして自分のに戻るとやっぱり違和感がある。結局、みんなそれなりに曲がってるのだった。
 今でこそジャパンメイドだとかなんとか賞賛されるが、少なくとも一般向けの自転車について言うならば70年代初めの国産品のクオリティなんて今の中国製の粗悪品と大差なかった。

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 さてさて、本題だ。カーボンフレームに乗ったことがないようなのがエラそうに言うのもなんだけど、今日はフィットネスとかダイエットの道具として自転車を選ぶなら、フレームの材質はアルミで十分ぢゃないかと思う、っちゅうだけのまことに自家撞着でタンジュンな話だ。

 その前に、そもそも自転車がダイエットの道具となるか?ということだが、これは断言してもいいけど、間違いなくなる。微妙に太ってるのを引き締めるのに有効かどうかは分からないけれど、中年太りで会社でメタボ認定受けてるような----正におれのことなんだけど(笑)----ま、そういったケースには効果テキメンだ。週に2〜3回、1回に30km程度でいいから若干息が切れる程度のペースで走るだけで、目に見えて体重が落ちてくる。ズボンが緩くなるのを実感できる。毎日やろうもんならアッちゅう間に修行僧のようになれるだろう。ほれ、自転車狂になっちゃったSF作家がいてはりましたやん。今はパンターニみたいにスキンヘッドにしてガリガリの。アレ、アレですよ。
 問題はそれを継続できるかどうかなのだ。おれは一昨年から始めて、一度中断してしまった。元の黙阿弥である。勿体無いことをした。今さら言い訳しても仕方ないが、帰るのが夜中で、土日も休日返上が続いてはいくらなんでもムリだった。

 ともあれこうして痩せるためには、詰まる所カロリーを消費しなくちゃなんない。有酸素運動がどうこう言う前にとにかく、平たく言えば「疲れなくちゃならん」のだ。だからトロトロ走って小休止を繰り返すポタリングのような走り方では、そらやらんよりはマシだろうが、あまり多くは望めない。かといって力任せに重たいギヤを立ち漕ぎで、ペダル猛然と踏みまくってダッシュを繰り返すような走り方では膝を壊す。デブはそれでなくても普段から膝に負担が掛かってるのだ。

 そう、膝。チャリは体重が分散されるのと、地面からの衝撃をタイヤが受けるのとで、ギヤの重ささえ適切なら運動量の割にウォーキングやジョギングより遥かに膝に優しいのである。見た目かなりマヌケだが、最近のトレンドではなるだけ細かくクルクル回した方がいいらしい。おれはついつい昔の流儀で重めにしちゃうから、余計に早く息が上がっちゃってるんだけど(笑)。

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 アルミフレームは剛性が高すぎるのと振動吸収性の悪さ、そして弾力性の欠如等があって、それでも他のマテリアルに較べると膝への負担は大きいらしい。そんなんで疲れやすいから長距離には向かないとも言われる。けど実際、1日180kmくらいまではおれの貧脚でも行けたことを思うと、この説がどこまでホントなのかは個人的にはいささか眉唾な気がしている。

 ・・・・・・って、自分で混ぜ返してどないすんねんな(笑)。ともあれ前段の通り、痩せるためにゃ疲れんとあかんワケだし、この「アルミ疲れやすい説」はむしろダイエットには都合がいいのではなかろうかと最近思えて来た。レースに出るワケでもなしカーボンをあちこちに散りばめたグラムを争う軽量化はまったく不必要だ。いや、むしろある程度重量があった方がそれこそ負荷になって良いし、長持ちもするだろう。
 何より値段では圧倒的にアルミのチャリは安い。自転車がフィットネスの手段として断然劣るのは道具代だ。これは特段自転車に興味のない人にとっては大きな問題である。それはそれでどっかおかしいとはいえ9,800円でママチャリが買える時代に、カーボンがいくら良いと喧伝されようと、好事家でもない一般ピーポーが何が悲しゅうてチャリに30万も40万も出す、っちゅうねん。この辺が病膏肓に入ると見えなくなって来るから、自転車乗りはスポーツマンであるにもかかわらずキモヲタっぽくて嫌われるのだろう。

 よしんば30万40万出したとしても、ダイエットの観点からすれば高級ロードなんてマイナス要因ばっかりなんである。何より快適過ぎるのだ。フレームも剛性感があって、かつしなやか(・・・・・・らしい、だって乗ったことないんだもん、カーボン。笑)、車体もとても軽い。ホィールの転がりだって全然違う。変速は面白いようにバシバシ決まる。上から3番目、真ん中のグレードの105(シマノの変速機の名前ね)で大したモンだなぁ〜、といたく感動してたら、ハイエンドのデュラエースには腰ヌケそうなくらい驚いた・・・・・・まぁ、30万・40万の自転車でさえ装着されないほど、コレ、高いんだけどね。
 要はより体力を温存させつつ、より高速に走れるように作ってあるのである。だからそんなんに跨って朝夕の1〜2時間を割いて走る程度では大した運動にならんのだ。大した運動にするには相当トバさなくてはならない。そんなん家の近所でできるかい?サイクリングロードは夜は真っ暗だっせ。幹線道路は夜でもクルマ多いで。歩道はジョギングしてるオッサン・オバハンよーさんいますがな。

 ・・・・・・そんなら、ママチャリでいいだろ?って!?

 それだとやっぱちょとモノとして寂しいやんか。どだい夜中にママチャリでキノコメットなんざ被ってトバしてたら紛うことなき変態やんか。ポリに不審尋問されまんがな(笑)。

 ・・・・・・だから何なんだよ、って!?

 ハハ、だ〜か〜らぁ〜、つまり今のアルミフレームのそこそこロードをおれはとても気に入ってる、ってこってすよ、ダイエットツールとしても。我ながらしょうもないオチで今日はお仕舞い。チャンチャン♪


これまた安い定番、杉村の「PROGRESSIVE」

2009.04.21

----Asylum in Silence----秘湯 露天 混浴から野宿 キャンプ プログレ パンク オルタナ ノイズまで
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