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軽さバカ・・・・・・軽量素材小考

 
見た目はほとんど同じだけど・・・・・・

http://www.montbell.com/より
 自分で担ぐことを考えると、たしかにアウトドアグッズは軽くて小さいほどいいに決まっている。おそらく最高の理想は「手ぶら」か「ドラエモンの4次元ポケット」だろう。
 ところが、いくら軽くしたって種類をたくさん持てばそれなりに重くなる。ホンマのことをゆうと、個々の道具を軽くすることよりも、そもそも持って行くd数を少なくすることの方が軽量化と体積減らしには有効だったりするのだ。

 伝説的バックパッカーである「グランマ・エマ」ことエマ・ゲイトウッドは1950年代、今の水準からすればお話にならないような重く貧弱な道具で数々の偉業を成し遂げている。それも高齢で。なんちゅうバーサンだ。そんな彼女の荷物はたったの9kgほどだったという。要は余分なものを一切持ち歩かなかったのだ。

 それでも日進月歩の研鑽で、より軽量でより強靭な素材は日夜研究・開発されている・・・・・・そんな軽量素材に光を当てて今日はちょっと私見を書いてみよう。

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 まずはこの手の素材では古株の「ダウン」。

 モンベルやイスカのカタログなりホームページを見たら分かるとおり、同じ性能なら化繊よりダウンの方が軽い上に体積が小さくなる。例えばシュラフで比較すると、最もポピュラーと思われるモンベルのスーパーストレッチの#3で化繊が1230g/8.0?なのに対して、ダウンは980g/5.0?、と2割以上軽くて、6割くらいのかさしかない。
 ちなみに上記のものはノーマルラインだが、さらに生地素材を軽量化してダウンのグレードを上げたU.L.になると645g/3.3?、と重量で半分、体積は4割にまで抑えられる。
 リュックの中で場所を取るのはテントとマットとシュラフなので、ここまで軽く・小さくできるのはなるほどとてもありがたい。マカロニ4つ束ねたような中空、カール、とさまざまなハイテクを駆使した化学繊維よりも、天然素材(ガチョウの胸毛)を丹念にほぐして脱脂しただけのものの方が保温性や伸縮性で未だにはるかに優れている、っちゅうのはスゴいなぁ~、と素直に感動さえしてしまう。値段が高いだけのことはある。

 しかし、かく言うおれ自身は、実は化繊党なのである。そりゃおまはんがケチやからちゃうんかい!?と言われそうだが、違う。耐水性や防カビ性の低さ・・・・・・つまり取り扱いに気を遣う繊細さがイヤなのだ。ダウンはシュラフカバー必携といってもいいくらい、水にはめっぽう弱い。そしてテントはよほど気候のいいときならともかく、内部は結露して濡れない方がおかしいような代物だ。
 テント立ててメシ食ったらおれは、あとはサッサと酒飲んで寝たい。そんな時、小袋からカバー出しーの、シュラフも袋から引っ張り出しーの、広げて中に入れてーの・・・・・・はどう考えてもめんどくさい。化繊ならババッと広げておしまい。少々濡れても速乾性なのですぐ乾く。

 現時点ではその辺のアバウトさを優先して、おれは化繊しか買わないのだ。

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 続いてこれも古株の「チタン」

 「チタンヲタ」と言われる人がいるくらいにチタンの人気は高い。軽さ、頑丈さ、といった点に加えて独特の梨目の地肌やクロームがかった色合いの質感(熱処理したものは虹色になってたりする)、値段の高さゆえの所有する優越感が人気の理由だろう。スプーンやフォーク、箸みたいな、「軽量化してもさほど効果のないようなもの」までチタンである。実はおれも何点かは持ってるが、鍋釜まで全部チタンで揃えようなんて気はサラサラない。

 理由は実にカンタン、軽いけど熱伝導性が悪いからだ。熱を通しにくい鍋釜なんて根本的にどっかおかしいとおかしいって思いません?だからコッフェルはフツーのアルマイトのもの。てやんでぇ!アルツハイマーが怖くって、アルマイトが使ってられっか、ってんだベラボウめ~!っちゅーカンジかな(笑)。
 コップでチタン製を持ってるが、これは熱伝導性が低くて縁が熱くなりにくい、っちゅうから買ったのである。あと、強火に脆いといわれるが、それについては良く分からない。実際に持ってる人の話を聞いてみたいものだ。 

 
あ、重さが書いてありますね~。

http://www.naturum.co.jp/より
 話はそれるが、スポーツ選手に愛用者が多いファイテン、アレってホンマ効くんだろうか?「チタン」っちゅうだけでアテられやすいバカが多いことに目をつけた、単なるプラシーボなんぢゃないかとおれは睨んでる。だって、おれはチタンの腕時計してても、左腕に何も感じないぞ。

 「スカンジウム」についてもついでに触れておこう。ジュラルミンをさらに強く軽くするために混入される希少金属だが、ぶっちゃけ、ソロ用テントで1.5kg以上あるような、大して軽くもないもののフレームに用いといて軽量化を謳う愚はどうにかならんもんか?って思う。貴重な金属をこんなコトに使うなら、もっと日常的なクルマにでももっと使ってほしい。

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 最後は最近、大ブレイクの兆候を見せる生地素材「シルナイロン」。

 いや、これにはむっちゃ驚きましたね~!個人的には15dnのナイロンリップストップを初めて見たときくらいの衝撃かな。シルナイロンとはナイロンの両面をシリコンコーティングしたもの。とにかくこれを使ったゴーライト(Golite)やグラナイトギア(Granite Gear)、あるいはインテグラルデザイン(Integral Designs)のザックやテント、タープ類には心底驚いた。この前のエッセーでもこれらのブランドには触れてて重複するけど、それくらいに衝撃を受けた、ってコトだ。
 何でこんなペラペラでちゃんともつんや?と言いたくなるほどに生地が薄い。薄いから軽くできる。ザックの重量には生地だけでなく気室の数やベルト、サイドポケットやデイジーチェーンといった色んな付属品も影響するから一概に言いにくいが、従来の1/3~1/2くらいまでに軽量化される。


Granite Gear ”Vapor Trail” ・・・・・・容積58リッターで850gしかない!
 
Golite ”Lair1”・・・・・・2つ併せても960g!入口の幅は1.3mある。

同上
 ところが、だ。やはり欠点はある。一つはしまいにくさ、である。シリコンは潤滑剤に使われるくらいに摩擦係数の低いものだ。それを全面に使用してるものだから、あまりにツルツル・サラサラで畳みにくいのだ(・・・・・・ま、だからしまいやすい、っちゅう人もいるのでこれはかなり主観的かな?)。オマケに生地そのものは何だかパリパリしてて、しなやかさに乏しい気がする。さらにはこの性質ゆえ、シームテープが貼れない、っちゅう問題もある。ゴーライトは「濡れると縫い糸が水含んで膨張するので、縫い目からの水の浸入はありません」などとノーガキ垂れてるが、ホンマかいな~?と正直思うな。
 耐燃性については実見してないので良く分からないけれど、おっかないことにものすごく燃えやすいらしい。これだけは試すわけにも行かず、そぉいう体験をされた人がいたなら、どうかご教授いただきたいところだ。

 ちなみに似た素材に「エピック」っちゅうのもある。これは繊維一本一本がシリコンコーティングされたもので、より一層の軽量化が図れるそうな。あまりに生地の繊維が滑りやすいので、ちょっと尖ったものが当たっても、そこだけ糸が避けるように動いて穴が開きにくい・・・・・・らしいが、マジっすかぁ!???それよっかそんなんで雨漏りせんのん?

 さて、初めに取り上げた2つの素材についてはかなり否定的な意見を書いたけど、このシルナイロンだけはちょっと今後積極的に取り入れて行ってもいいな、と思ってる。そんなんもあって先日はファウデ(Vaude)のテントで「ホーガンウルトラライト(Hogan Ultralight)」っちゅうのを買った。素材表記が何だか良く分かりにくいが、どうやらこれもフライはシルナイロンだ。ボトムはそれにさらにポリウレタンコーティングをかけたものらしい・・・・・・語学力がないとアカンなぁ~(笑)。
 ともあれ、近いうちに実際に使ってみて、もう少し長所短所を把握したいと思ってる。

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 イヤよイヤよ、と言いつつ悪い男に惹かれて堕ちていくオボコ娘のように、懐疑的な態度のままおれも、なんのかんので結局は「軽量ヲタ」の道を少しづつ歩み始めている。こんなけエラそうにあれこれクダ巻いといて、3年後に同じテーマで書いたら、全く違う意見になってるかも知れないっすね・・・・・・な~んて、朝令暮改で軟調なのを暴露して今日はおしまい。チャンチャン♪

2006.12.24

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