激辛一代!! |

現在家にある辛味調味料。左の2本が悪趣味なブレアの製品。
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辛いモノが大好きだ。
・・・・・・といっても塩辛さは好きではないし、おでんにベタベタ塗るとはいえ芥子の辛さにはあまり魅力を感じない。ワサビの辛さは胸のすくような爽快感がとても好きだけど、何にでも使えないのがいささか欠点ではある。胡椒や山椒系のしびれるような辛さも好きだが、それメインはいささかツラい。やはり唐辛子の辛さが飽きが来ないっちゅーか、いっちゃん好きだ。
とはいえ、ま、いちおーおれも生身の人間なんで限度はあるし、セルフマゾヒストでもないし、TVとかで見かける「タバスコ一気飲み」みたいな大道芸もできない。単に平均的な人よりも辛いモノが好きなだけ、くらいに思って下さいな。
どの程度辛いモノ好きかを具体的な数字で書いてみると、だいたい「ココイチ」のカレーの10辛に、飛び辛パウダーをさらに振りかけたものがフツーに平らげれる程度、と思っていただいていい。つまり、あまり大したことはない。
それでも誰かといっしょに食すと大いに引かれる。「よくそんなんフツーに食えますねぇ〜」なーんて、尊敬の眼差しというよりは、軽蔑と驚嘆の入り混じった顔で言われる。
おれの好きなラーメンで取り上げた鶯谷の「哲学堂」でも似たようなことがあった。ニンニクラーメンや甘辛レバー、ガツ塩、皿ワンタン等、数あるここの名物の一つに「無料の激辛キムチ」っちゅーのががある。自家製で水気の少ない独特のモノだが、これが猛烈に辛いだけでなく、ほのかな甘みもあって実に美味い。ラーメンに入れろと書いてあるが、ビール頼んだ付き出しの小皿にとってチクチクつつくと、これがもう酒のアテに最高の味。
初めて行ったとき、おれがあまりに喜んでパクパク食べるもので、連れてってくれた同僚は隣で驚きつつ呆れていた。
ま、今日は気楽にそんな辛いモノにまつわるバカバカしいエピソードをいくつか取り上げてみよう。
え!?まだマクラ?って?・・・・・・はい、上はまだ前フリです。
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ラーメン屋といえば、大阪にいた頃、酔っ払って何の気なしにラーメン屋に入ったら、ここがいくらでも辛いラーメンを作ってくれる店だった。ちなみに新記録を樹立すると店に色紙を張り出してもらえる。酔いの勢いもあっておれは新記録への挑戦意欲が猛然と湧いてきた。・・・・・・見れば、その時点での最高記録は50倍。泥酔しつつセコいところはセコいおれは、5「1」倍に挑戦してみることにした。1倍だけ多目、いやセコい(笑)。
製作が始まった。カウンターの上に大ぶりの丼が置かれ、大きな缶詰から、カキ氷のシロップをすくうような、柄の長い小さな柄杓状のもので豆板醤が、1ぱぁ〜い2はぁ〜い、と鉢の中に入れられていく。番町皿屋敷のお菊さんなら上限10杯どまりだが、ここはエクストリームなラーメン屋だ。ナサケ容赦なくドンブリの中に赤い豆板醤は溜まって行く。
・・・・・・最後の51杯目が注がれたとき、豆板醤は鉢の6分目近くまで溜まっていた。バカ正直に同じ小柄杓で1杯すくって入れられるタレがなんだか虚しい。割るためのスープもほとんど入らない。デロンデロンの中に麺が入れられ、型通りにチャーシューやシナチク、ネギ等が添えられていっちょアガリ。
さっそ割り箸を割って麺を引き上げたおれもさすがにかなりビビッた。明太子スパゲッティみたいになってやんの!すなわち、麺にビッシリ豆板醤がまぶされた状態。覚悟を決めて口に運ぶ。
ううっ!ムチャクチャに塩辛い!
当然である。豆板醤は全体の約1割が塩なのだ。アルコールが回って濁った頭でおれは愚考した。これは水飲んだらダメだ!いくら飲んでも足りなくなる。短期決戦しかない!・・・・・・なるだけ麺に唐辛子が絡むようにしながら最初に食って、次に具材で塩辛さを緩和し、いい加減汁の冷めた頃合を見計らっておもむろにすすりこむ。何だかラーメンのスープっちゅーより、色といい粘度といい、それは「ケチャップ」のようであった。
めでたく新記録達成。色紙に名前その他を殴り書きして店を出たところで、おれは吐きまくった。自動販売機で何本もジュースを買っては吐き、這うようにして部屋にたどり付いて、蛇口から直接水をガブ飲みしては吐いた。吐いた。吐いた。吐いた。吐いた・・・・・・それでももう遅かった。
翌日、おれは顔がはれ上がり、熱が出て会社を休んだ。理由を聞かされた上司は呆れ果てていた。
何年後かにその店に再び立ち寄ったら、記録は何と!「100倍」に塗り替えられていた。ドンブリから豆板醤あふれるんとちゃうんか!?といぶかしみつつも、101倍に挑む気は、残念ながら起きなかった。死ぬ、って。
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いささかジャンクだが、インスタントラーメンにポテトチップスを入れると、ナカナカこれがイケるのをご存知だろうか?フツーのポテチなら塩ラーメンが合う。おれはジャンクフードがあまり好きではないのだが、例えば「プリンに醤油をかけるとウニの味」とか聞きつけると、試してみないとどぉにも気が済まない方なのだ。
プリンに醤油、の話はガセだった。キュウリに蜂蜜もガセ。しかし、このインスタントラーメン+ポテチは、案外イケた。学生の頃の話だ。
当時、「激辛ブーム」っちゅーのが興っていた。市販品としてはケタ違いに辛いグリコのカレー「LEE」や、コイケヤの「カラムーチョ」が発売されたのもこの頃である。そんな中、ウロ覚えで申し訳ないがたしか「激メン」ってーのが発売された。故・三橋美智也がCMやってた気がする。食ってみると市販レベルとしては相当辛い。そして思いついた。
・・・・・・激メン+カラムーチョはどぉなんだろう?
さっそく実行。なかなかいい。スティックタイプのポテトなのがシナチク的な食感さえかもし出してる。しかし、イマイチ酸味が上手くかみ合ってない気がした。しばし黙考の結果、タバスコをぶち込んでみることに。
ペペペッとふって一口・・・・・・効果のほどがよく分からない。さらに、ペペペッ・・・・・・う〜ん?ペペペッ、ペペペッ。気づくと半分くらいにタバスコは減り、ラーメンはとんでもない辛さになっていた。捨てるのも惜しく、おれは頑張って食い・・・・・・そしてハラを壊したのだった。
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記憶をさらに遡ると、中学あたりがこのようなバカな努力っちゅーか、イッパツ芸の原点のような気がする。おれを含めた数名は、餃子の具を取り出して、芥子を詰め込んで食べれるかを競い、そして急性胃炎になったのだが、もうイチイチは書かない。
・・・・・・結局、辛いモノ好き、ってそのルーツにあるのは大阪弁で言うところの「イチビリ」なんだろう。真っ赤っかになったものとかを平らげて見せて、周囲の人間を驚かせたい、って非常に幼稚な自己顕示欲が働いてるのだ。お代ももらえないのに、命がけの芸の一種ではあるだろう。そぉいやレーザーラモンが芸のためにタバスコ目薬にしたって話があったなぁ(笑)。
もう今はイチビリではやらない。せいぜい、悪趣味なデザインのペッパーソースで有名なブレアの「サドンデス」(タバスコの約25倍の辛さ)をクリアしたら、「メガデス」(約270倍)に挑戦しようかな?と思っている程度だ。十分すごい、って?そんなことはない。
現在市販されてる辛味調味料で最も辛いのは、タバスコの実に3,500倍(!、※)の辛さなのだから。
おれなんてまだまだ文字通り、甘い甘い。児戯の範疇よ。
註(※):
辛さを表す単位、っちゅうのがあって、「スコビル」と呼ばれる。一般的に売られてるタバスコが大体2千スコビル。市販最強が「The Source」の710万スコビルと言われている。限定品では上記ブレアの「午前6時」が純粋カプサイシン結晶を取り出して1,600万スコビル(何とタバスコの8千倍!!)を達成したらしい。アホやね(笑)。ちなみにカプサイシンに替わる新種の辛味成分でも発見されない限り、これより辛いモノは理論的には作れない・・・・・・ってーか、ここまで行ったら差は分からない。それどころか、口に入れることさえできないだろう。
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2006.01.25 |
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