好きこそ物の上手なれ |
   
   
   
   
自作の一例。上左よりスジの塩煮・ブタ角煮・野菜の煮物2種、オリジナルカレー、黒豆、田作
伊達巻、鰺とアスパラ・ウィンナーフライ、おから、鯛のあら煮
若ゴボウ煮浸し、若ゴボウかき揚げ、焼売、ちらし寿司
自家製ブロッコリーの炒め物、カレーとハッシュドビーフの相掛け、生トマトパスタ、トンカツとササミフライ
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料理を作るのがガキの頃から大好きだ。
最初に覚えた料理は玉子焼だったっけ。小学校3~4年くらいで既に、家で麺茹でたり玉子焼きや焼飯作るんは大体おれの担当になってた。他も見よう見真似でちょっとづつやれるようにはなってたのだが、やはり格段にレパートリーが増えたのは大学の3回生くらいからだった。いや、従来より収入が減ってしまったもののやはり酒はバンバン呑みたいし、呑む以上はそれなりにチャンとした酒の肴は喰いたいしで、自然とそうならざるを得なかったっちゅうか・・・・・・(笑)。
下宿1階にあった共同の台所にはコイン式のコンロがあって、大家さんから1枚20円でコインを買って使う。一昔前の旅館のTVみたいなカンジやね。火加減にもよるけど、1枚で大体10~20分くらいは使えたような記憶がある。
あ!そうだそうだ、想い出した!相前後する時期に修学院離宮道である音羽川沿いに魚屋が開店したんだった。何でこんなトコに魚屋が!?ってな立地だったけど、下宿からすぐ近く、チャンと尾頭付きのがそこそこ安い値段で売られてたりして、それでずいぶん料理の腕が上がったんだった。鰺、鰯、鯖、鰈、ネズミゴチ、ツバス、イサキ、サヨリ、連子鯛、サザエ、ホタテ貝、赤貝、鳥貝・・・・・・イラストで分かりやすく魚の捌き方を解説した本なんか買って来て、随分色々お造りやら天麩羅にして食べたモンだ。一体全体おらぁどこに行こうとしてたんだろう?(笑)
ちょっと余談で、今は「日本さばけるプロジェクト」とか、ネット上にはこの本よりも多種多様で詳細なサイトが存在する。エエ時代になったモンだ。動画付きで分かりやすかったりもするんで、興味のある方は参考にされるときっと役に立つだろう。
当然、トンカツ屋や寿司屋、ラーメン屋、饂飩屋等のバイトで見聞きしたものも随分役に立った。俗に板前修業は「ウロウロ3年」なんて言われ、先輩がやってる色んな技術を盗んで覚えるってんだから、知らず知らずおれはそれを実践してたコトになる。出汁の取り方や味付けの基本、火加減、下拵え等々、全然体系的でもないし理論的でもなかったけど、何となく覚えちゃったのだ。思えばあの頃は「世間知」ってモノに対してメチャクチャ貪欲だったよなぁ~・・・・・・多分、それはコンプレックスの裏返しだったんだけどさ。
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元々特に出掛ける予定のない休日の料理についてはおれが拵えることが多かったのが、1年以上も続くコロナの外出自粛の影響もあって、最近は格段にその機会が増えた。しかしながらまったく苦痛ではない。かといって嬉々としてやるワケでもなく、今は淡々とこなしてる感じに近い。
「今日は何かを拵えるぞ~っ!」って明確な目的を持ってやることは、リクエストでもない限りあんましない。大体、1週間分の買い物をまとめて休日に済ませて、足りない分はチョコチョコ近所のリージョナルで買い足すって生活パターンなんで、スーパーに行って安いのがあればダダダーッと買い込んで、そっからメニューの組み立てを考えるケースが殆どだ。あまりメニューが先行し過ぎると、それでなくても高い我が家のエンゲル係数はさらに上がってしまう・・・・・要はケチってこってすな(笑)。
それにいくら生産・流通の技術が発展したからって、何だかんだでやっぱし各季節の旬のモンが美味くて安いのだ。「雪中の筍」みたいなコトしたって仕方ないではないか。
煮物は特にこの1年、拵えることが増えた。外食業界がコロナの影響で凹みまくって野菜の流通がダブついたのではないかと思われるが(・・・・・・それって裏返せばそれだけ廃棄量も多かったんだろうね)、良い野菜、ちょっと変わった野菜が安く一般に流通するようになったのだ。あぁ、野菜以外ではアワビ・サザエ・ホタテ等の貝類も値下がりしてたな。
実は煮物って何もむつかしくない。前回書いたように出汁をチャンと作って、素材に合わせた味付けにするだけのことだ・・・・・・って、こぉ書くとまた敷居が高く見えてしまうが、あそこで例に挙げた目安を基本にすれば済む。
けっこう自分的には重要ポイントなんでおさらいしとくと、薄味で素材の色を活かしたい煮物なら、「出汁300ccに砂糖・酒・薄口醤油を各大さじ1」でほぼほぼ上品な味に仕上がる。例えば小松菜と薄揚げ、あるいは冬瓜の煮物なんかこんなカンジ。さらにもっと色を薄くしたければ醤油を小さじ1とかにして若干塩で補うのでも良い。出汁がシッカリ効いてれば、醤油は少なくてもあまり気にならないのだ。
逆に濃い目の味でどっしりと煮含めたい時は、「出汁200ccに酒・濃口醤油・砂糖を各大さじ1、もしくは砂糖の代わりに味醂を大さじ1.5」くらいなカンジだろうか。そいでもって落しブタで水分を飛ばす量を調整する・・・・・・と。
もちろんそれぞれ出身の土地の流儀や好き嫌いがあるだろうから、「これが絶対」ってのはない。ただ、おれ的にはとにかく薄口醤油だけは欠かせない。ところが関東はこれがあんまし売ってないんですわ。1リットルサイズのは大きなスーパーでしか見かけないんですよ。その点関西は良い。メジャーなヒガシマル以外のもけっこう見掛けるもん。
ちょっとヘンな配合は、春から初夏に掛けて良く作るちりめん山椒、これは極端に酒が多い。酒と薄口醤油:味醂を6~7:1:1くらいにするカンジ。おらぁ色の殆んど付いてない「京都のおじゃこ」が好きなんで、薄口しか使わないけど、一般的なのは半量くらい濃口で、砂糖も入ってるかも知れない。ちなみに京都の名店のではもっともっと薄味に仕上げたのもあったりするけど、日持ちしなくなるんで、まぁ上くらいが現実的な落としどころかな?
八方タレも良く作る。醤油と味醂、酒、砂糖を2:2:1:1で混ぜたモンだ。キリッとした味がお好きなら砂糖は省略しても構わない。煮詰めれば鰻や焼き鳥のタレになるし、照り焼きにも使える。冷蔵庫で手羽先をこれに漬け込んで胡椒や唐辛子タップリ振って焼くと手軽に美味い。
ベタな結論になって申し訳ないが、醤油、味醂、酒、砂糖の組み合わせってやっぱし、何だかんだで日本の食文化の到達した窮極の味付けの一つだと思うわ。
あ!あと、これもネットネタ。おれはクックパッドを参考にすることがない。理由はカンタンで、明らかに味オンチかつ無知な人がドヤ顔でレシピ載せてて、むしろそっちの方が氾濫しちゃって、マトモなのが埋もれて探しにくいからだ。玉石混淆で石比率90%以上、みたいな(笑)。同様の不満を抱いてる人は多くいたみたいで、今は「レシピけんさくβ」や「Quugle」といったクックパッドを検索結果から除外できるポータルがあるんで、ゴミ作るようなヒドいレシピに辟易してた人には是非これも紹介しておきます。
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一つ、おれには致命的な欠点があってどうにも作り過ぎてしまう。それでいっつもヨメに叱られてる。たしかに折角作っても古くなって捨てる破目に陥ってちゃ勿体ないし、そもそもケチの名折れではないか・・・・・ってなワケで、いつしか常備菜や保存できるモノを担当するような役割分担が自然とできて来た。
書き出すとキリがないんで上には煮物、それも和食の一部分についてのみ書いたが、常備菜系は他にも色々作ってる。前も書いた通り、叉焼・・・・・・っちゅうか煮豚は月イチくらいで作って色んな料理に使うし、牛肉の赤ワイン煮、カレー等は作ったらストックして消費していく。添える福神漬まで最近は自作することが多い。アッサリしてて市販品より食べやすいのだ。
揚げ物もフライはパン粉まぶしたら1ヶづつラップに包んで、さらにフリーザーパックで密閉して冷凍庫送り。トンカツ、ササミフライ、クリームコロッケ、ポテトコロッケ・・・・・・大体なんでも作ってるなぁ~。それぞれコツがあるんだけど、もぉ長くなるだけなんで割愛します。餃子・焼売・春巻・肉団子・ワンタンなんかも大量に作って、一部はその日のうちに食べ残りは全部冷凍庫。これも細かいコト言いだすとキリないんで後略。
まぁ要するにおおよその和洋中+インド、イタリアくらいは満遍なくやってると思う。どれかのジャンルに極端に拘ってるワケではないし、手間ヒマを掛けること自体に無上の喜びを見い出すタイプでもない。有機だとか自然派でなきゃダメだ!化学調味料なんてもっての外だ!なんて気持ちもサラサラない(濫用する気もないけど)。それ言い出したら、砂糖だって塩だって十分ケミカルやんか。
道具だってヲタクなのは何一つない。鍋釜は至極平凡なティファールの基本セットとかが大半、あとはごくフツーの三徳包丁とか普通に荒物屋で買ったお玉とか・・・・・・そんなんばっかしだ。強いて言うなら圧力鍋と計量カップ/スプーン、ミキサー、木べら、大鍋、中華蒸籠なんかは絶対に欠かせないトコかな?何でもかんでも凝れば良い、っちゅうモンでもなかろう。
多分おれは、かなり根源的な無聊と寂寥を埋めるように、最もプリミティヴな形での模倣と創造とも言える作業を、あ~でもないこ~でもないと愉しんでるだけなんだと思う。でもまぁ成果物は自分で食ってこれまた愉しめるんだから、実にめでたくもありがたい話やおまへんか・・・・・・な~んて自分で自分に言い聞かせながら。 |
    
    
鶏手羽の出汁、ナントカ貝砂抜き中、キビナゴ一夜干し・・・・・・あ!こりゃ市販品(笑)、五目豆、ローストビーフ
餃子、ラッキョウ、梅酒、太キンピラ、ジャガイモと鶏の炒め煮・・・・・・あくまで一例です。
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2021.06.24 |
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