焼いて売るから焼売ちゃうんか!? |

めんどくさいんで今はこんな風に包むことにしてます。
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おれの知る限り、焼売を文字通りホンマに焼いて売ってたのは、大阪・キタはお初天神通りにあった名店・「阿み彦」くらいではなかったかと思う。もう昔のハナシだし、2~3度行ったくらいなんで大分記憶も薄れかけて来てるんだけど、焼売っちゅうよりは雲吞みたいな不思議な形で、一皿にいくつだったっけかなあ~・・・・・・とにかくちょっと小振りで上品なサイズに狐色の焦げ目がついて供されてた。意外にシッカリ脂で焼かれた、っちゅうか半分揚げたような感じがあって、とても独特だったのを覚えてる。
あの辺って呑んだ後のシメで立ち寄る人が多いから、そんなアホみたいに爆盛り自慢の店は少なかった。今は大阪土産でそれなりにメジャーになった一口餃子の「点天」なんかも元々は北新地にあって、同じようなニーズで小さくなってったらしい・・・・・・ん!?元祖は「天平」だったかな!?ハハ、もぉ忘れました。
焼売ネタで駄文書こうと思い立ってあれこれ想い出しつつ調べてみたところこのお店、とても残念なコトに4年ほど前に後継者難から閉店しちゃったらしい。おれが知ってるのはお初天神の表か裏か忘れたが、入口の鳥居近くの小さな店だったけど、その後再開発で飲食ビルの中に移転して繁盛してたみたいなのに、実に勿体ない。
気付けばあの辺でナニゲに贔屓にしてた店もいつしかなくなったり、移転してまったく雰囲気が喪われてるのが増えたような気がする・・・・・・そらそうやわな、おれがあの一帯をのたくってたのは昭和の終わりから平成のごく初めの頃、もぉ30年以上の歳月が流れたんだから。感傷に浸るも何も、そら変りもするわな。
さて、焼売のハナシだったね。
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------蒸して食うのに何で焼いて売るやねん!?
------ほれ言い出したら、別に腐ってへんのに豆が腐るで豆腐やんけ!
・・・・・・ってな理屈っぽいワリには実に幼稚で他愛ない会話を小学校の終わりあたりで交わされたことのある方は、恐らく数え切れないほどいることだろう。ひょっとしたら日本人のほぼ全員だったりして(笑)。
そうなのである。焼売はとにかく蒸すモノなのである。本場中国ではその後に軽く焼く例もあるみたいで、正に冒頭の「阿み彦」がそんなスタイルだったワケだけど、大方は蒸してそのままのようで、「焼いて売る」なんてことはないみたいだ。「ほたら何で焼き売りって書くねん!?」とおれだって思うが、どうにも語源が良く分からない。
それはともかく、おれの中での焼売って、何だか「餃子より二倍高級な食べ物」ってなイメージがある。ちなみに春巻はさらに高級、小籠包はその上と思い込んぢゃってる自分がいるんだから仕方ない。だから餃子はワシワシと何個食べてもOKな気がするが、焼売はそんな遠慮会釈なくパクついちゃぁ絶対にダメなのである。増してや春巻とか小籠包を食い散らかすなんて、神をも畏れぬ所業と言えるだろう(笑)。
こんな考え方が刷り込まれたのには、間違いなく大阪近辺の特殊な中華料理屋事情が影響してる。以前も書いたように、古くは「珉珉」に始まる安価な餃子チェーンの影響で、近畿圏では大体どこの中華料理屋でも餃子の値段が他の点心類に比べて安かったのだ。今は全国チェーンになった玉将だって、やはり安くて大きな餃子が元々は一番のウリだった。実際、今でも餃子は1人前二百何十円くらいでも、焼売は四百五十円とかするっしょ?「二倍高級」ってあながち間違ってないと思うんですけど・・・・・・。
一方で焼売はスーパーのチルド製品では物価の優等生的存在だったりもする。赤い厚紙の箱に入った定番のヤツなんてアータ、12個入って実勢価格100円くらいだっせ。これ一箱チンして食えばケッコー満腹になれまっせ。明らかにチョー安いし、それになんだか遥か昔から値段が変わってないような気がする。
そんなんだから、子供の頃に「シロ」っちゅうてイオンになる前のジャスコのそのまた前のスーパーでコイツを初めて見た時は衝撃的だった。丁度お持ち帰り寿司ってのが広まり始めた時代で、あれも本来高級で高くなくちゃならんモンが安くて子供心にも驚いたんだけど、同じような違和感があった。マルシンハンバーグもかな?・・・・・・まぁでも、その後実際に食してみて、まったく肉の食感も野菜の食感もない、パン粉を混ぜて押し固めたような不思議な中身に愕然としたんだけどね。でもそれでも100円は安いわな。
そう、一体全体何を混ぜ込んだらああなるのか、この具っちゅうか餡っちゅうか、中身が市販品の焼売ではどうにも怪しい・・・・・・って要するにデンプン質の「つなぎ」なんだろうけれど、つなぎがメインの食材を押しのけてちゃアカンやんか、と。そら焼売と違うて団子やで、と。
当然安くなればなるほど中身が怪しいのは言うまでもない。しかしながら、有名な崎陽軒のシウマイにしたってやっぱしちょっとつなぎが勝っちゃってる。いや、大好きですよ、崎陽軒。新幹線で出張に出る時とか、いつもぢゃないとは申せケッコーな確率でここの駅弁買うし、シウマイだけでなくあの陶器で出来た剽軽で可愛らしい醤油入れ(・・・・・・「ひょうちゃん」って名前もチャンとある)がおらぁお気に入りなんで、あれ欲しさにワザワザ買って帰ることさえあるくらいだから・・・・・・でも、なんですよ。
この「中身の具のワケの分からなさ」こそが、も一つ焼売がメジャーになり切れない理由の一つなのではあるまいか。別に肉々しくなくても良いんだけどさ。
あぁそうだ、崎陽軒を採り上げたんなら、西の雄である豚まんの「551・蓬莱」についても触れとく必要があるだろう。文字通りここは豚まんが押しも押されぬ看板メニューなんだけど、実はサイドメニューに焼売があって、それも普通のとエビ焼売の2種類とケッコー力入れてたりして、これがやっぱしつなぎ感はあるもののナカナカ美味かったりする。ヨメなんて豚まんよりもむしろこっちを贔屓にしてるくらいだ。
一方で餃子はヒドい。どぉ言えば良いのか、美味い不味いとかではなしに根本的に餃子の味と違ってるんですよ。思うに豚まんと焼売の味付けはかなり近いトコにあるけど、餃子ってちょとちゃうモンね。ついでに言うと、一部の店舗でのみ売られてる甘酢団子、これはもっと人気出ても良いって思うな。
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閑話休題。
そんなんで自分で気合入れて焼売を拵えてみることにした。思えば餃子はしょっちゅう作ってるのに、焼売ってこれまでやったことがない。まずは学習だ・・・・・・ナニナニ?要は豚ミンチを塩でシッカリ粘りが出るまで混ぜたものに、玉ネギのみじん切りに片栗粉振って水気が出ないようにしたのを合わせる・・・・・・基本はこれだけやん。楽勝やんけ。ほいでもってあとは味付けはやや濃い目の甘めにすれば餡は完成。包むのは餃子よりもカンタンかも知れない。
まずは最もベーシックなレシピで試してみたら、これがとぉ~っても美味いぢゃあ~りま記念は中山競馬場。市販品に感じるつなぎだらけの食感ではなく、キチンと肉やらタマネギが存在感を主張してるし、食べ飽きしない。
これに気を良くして、その後いろいろ改良を加えて試してみた。肉を粗挽きにしたり干しエビを混ぜたりカニ身を混ぜたり・・・・・・モドキでカニカマにしてみたり(笑)、玉ネギを少し減らしてその分白ネギにしたり、僅かに椎茸やタケノコのみじん切りを加えたり・・・・・・結論は、あんましゴタゴタ弄らない方が良いってことだったけど。
ただ、貝柱の干物を少量の水で戻してからユックリ柔らかくなるまで煮たものをほぐして汁ごと入れるのは、かなり美味い。これってそのままだとムチャクチャ臭いのに、不思議なコトに隠し味程度に混ぜ込むと一気に味に深みが出るんで、今では欠かさず入れるようにしてる。元ネタは件の崎陽軒だ。やはり売れる店には売れるだけのノウハウがあるんだなぁ~、って気がしましたわ。
ちなみに肉は粗挽きよりも細かい方、また、フツーの脂っぽいのではなく赤身肉のミンチにラードを加えた方が美味い、っちゅうか上品に仕上がる。
かくしてコロナ禍の引き籠り生活の中で我が家の休日の夕方は、点心屋の厨房のようになりつつあったりする のである。 |

そのバリエーションは800とも1000とも言われる「ひょうちゃん」。
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https://sss-yokohama.com/より
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2021.07.03 |
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