全ての二郎もどきへ |

まぁ、どこの店も大体こんな感じです。
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http://makopi.sakura.ne.jp/mt/より
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・・・・・・恥を知れ!クズ!腹切って世間様に謝れ!っておれは言いたい。
「二郎」も最近では全国区になって来たんで、知らない人は以前よりは少なくなったとは思うが、念のために解説するならば、これは東京発祥の独特のラーメンである。本家本元は慶応大学・三田キャンパスの正門近くにある小さな三角形のお店だ。
最大の特徴は太くて硬い麺、コテコテ・ギタギタの白っぽいスープと聳え立つモヤシとキャベツ、ゴロゴロしたチャーシューといった圧倒的なボリュームにも拘らず、たいへん良心的な価格で提供されてることにある。かつては慶応大学の体育会系学生御用達みたいな存在で、鍋持参で大量に買いに行くなんてコトもあったらしい。また、野菜・油・スープの濃さ、ニンニクトッピング等がすべて無料となっている。まぁ、とにかく漢な佇まいではある。
券売機で普通か大盛りか、チャーシューは普通(2切れ)か増し(5切れ)かダブル(10切れ)かの6通りの組み合わせから選んで食券買って、トッピングについては「マシマシ」だの「カラカラ」だの呪文みたいなオーダーがあるのだけど、ロクに分かってもないのに通ぶってやるとイタいんで、まぁフツーに「野菜増し、ニンニク入りで」ってな風に分かりやすくハッキリ伝えた方が良いと思う。ちなみにおれは大盛りの時は「麺カタ」って注文することが多い。ボリュームがあまりにも凄いんで、普通の硬さだと最後の方で延びて来るのだ。
ハッキシ言って、ジャンクで爆食である。スーパーハイカロリーである。お腹の弱い人だと効果覿面なくらいの脂の量である。大ダブルで野菜増しなんかにすると聳え立つようなのが出て来る。
ここの店主の山田さんってオッチャン、とても良い人らしくて、その味に惚れ込んだ連中がスープをあれこれ自分なりに工夫して再現して持って行って、彼から認められれば暖簾分けが許されるってなアバウトなやり方で、黄色い看板に大きく「二郎」って書いた店が首都圏を中心に増えてったのだ。そんなんだから店によってけっこうどころかかなり味や盛りが違ってたりすることもあるが、殆どの店はとにかく大盛りだ。
熱狂的なファンは「ジロリアン」などと呼ばれており、「『二郎』とはラーメンではない。『二郎』という食べ物である」とか世迷言までほざいて、本店だけでは飽き足らず、全店コンプリートに勤しんでたりする。おれは二郎好きなことは好きだけど、ぶっちゃけそこまでではない。大体、三田本店至上主義でもないし、たまに仕事で外出した時に黄色い看板見付けたら何となく立ち寄る程度だ。それにもう最近では大ダブルなんて頼むこともなくなった。せいぜい小ブタ(普通盛りのチャーシュー増し)くらい、野菜は増やしても脂や醤油は増やさない・・・・・・いやもう、年齢と血圧考えたら無茶は出来ません、ってば先の唐揚げ・・・・・・なんちって。
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さて、この二郎系に関してはこのあまりにユルい暖簾分け制度が災いしたか、いつの頃からか不届き者が全国各地に現れるようになった。大まかに言ってそれには2つの系統がある。1つが黄色いテントに「次郎」「二朗」「次朗」「太郎」等の紛らわしい名称で、見た目や味、注文システムをそれらしく似せて来る一統、もう一つが店の名前は違うけど、勝手にスタイルをコピーして「インスパイア系」などと呼ばれて悦に入ってるシレーッとした一党だ。そこまでコピーしたんなら、チャンとオッチャンのトコに行って味見てもらってお墨付きもらやぁエエのに、横着な彼等はそんなことさえもしない。中国のパクリのパチモン商品を嗤えへんで。
ちなみにクオリティ的に言うと前者の方が落ちる店が多いような気がする。仏作って魂入れずの典型で、見た目だけで食ったら全然ダメなのが目立つ。後者はある意味オリジナリティを打ち出そうとはしてる分、まだちったぁマトモなのかも知れないが、土台を丸パクリしといて何をか況やで、同じ穴の貉だろう。それどころかさらにアレンジを施した挙句、何だかゴタゴタと収拾が付かなくなっちゃってる店が多いような印象がある。ちなみに前者はワリと全国まんべんなく点在してるのに対し、インスパイア系は何故か大阪と北海道に目立つ。まぁ、カレーが百花繚乱になってたり、生活保護の受給率で1位を争ってたりで、メンタリティは近い所にあるのかも知れないな(笑)。
いずれにせよ、おれはこれらのパチ二郎が大嫌いだ。オリジナリティを打ち出すだけの才覚が無いのなら、コソ泥みたいなコトしてないで素直に弟子となって教えを乞え、っちゅうねん。せいぜい一人千円ほどの実直で慎ましやかなビジネスモデルをパクってんぢゃねぇよ。
どうもラーメン屋目指すヤツには、「過当競争」とか「生き馬の目を抜く」っちゅうのを精神的貧困と卑劣さの言い訳にするような腐ったヤツが多いよね。
実の所、食べ物に関しては、屋号の商標や製法での特許は認められてるものの、味付けや盛り付け、注文システム等の創意工夫に関する権利は全く保護されてなかったりする。全く以てひどい話ではあるが、それが現実だ。それを良いコトに、クズ共が跳梁跋扈してるのである。
言い出せば何もラーメン屋だけ、「二郎」だけに限った話ではない。ほか弁なんてのもヒドい有様で、「ほっかほっか亭」「ほっかほか亭」「ほっかほっか弁当」etcが林立してた時代があった。ちなみに本家本元は「ほっかほっか亭」だけど、何だかんだとゴタゴタ続きで分裂して今は「ほっともっと」が出来たりしてる。中小のFCチェーンばかりではない。大手だってアザといことは平気でやってる。かつてのビールのドライ戦争なんて正にそうだった。どこももう先発のアサヒのスーパードライに似せたラベルと味でやってたもん。フォロワーはとっくに全部消えたけどね。最近だとちょっとパターンは違うけど、「創味シャンタン」と「味覇(ウェイパー)」のトラブルなんかもあったっけ。ここまでの主張でお分かりだろうけど、おれはだから「味覇」は絶対に買わないことにしてる。卑怯なヤツに与してはいけない。
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秋葉原の電気街の外れに「じゃんがら」っちゅう有名なラーメン屋がある。東京の博多ラーメンではかなりの老舗の行列店だ。ここはラーメン屋にしては珍しくタコ壺商売に徹しており、多店舗展開は行わず、今でも全部で3店舗くらいしか店は無かったと思う。そんな「じゃんがら」に関して、もう15年くらい前になるだろうか、かなり大きな騒動があった。
何と、屋号を商標登録してなかったのを良いコトに、縁もゆかりもない水戸の「ピラミッド・オフィス」っちゅう如何にも胡乱な名前の有限会社が商標登録して「元祖じゃんがららぁめん(商標特許登録済)」と名乗ってチェーン展開し始めたのだ。ここまでエゲツないパクリ、っちゅうか看板の乗っ取りも珍しい。一澤帆布の長男並みの極悪非道ぶりだろう。ほぼ犯罪である。ちなみに「商標特許」なんてコトバは存在しないのだけどね(笑)。
当時はそんな事情があるとはツユ知らず、家の近所に出来たので、「うわ~!あの『じゃんがら』できたんだ!」って、スッカリおれもコロッと騙されましたわいな・・・・・・で、店に入って大ゴケした。
アキバとは似ても似つかぬ味なのはともかく、これがもぉムチャクチャに不味いのである。麗々しく「無化調」とか謳ってんだけど、そもそもが美味くないんだからどうしようもない。とにかく水っぽくて不味かった。味の素でもなんでもブチ込んでエエからちったぁマトモな味にしろよ!って怒鳴りたくなった。麺も何だか3袋100円で売られてる焼きそばみたいな黄色い蒸し麺で救いようのないレベル。
基本、おれは飲食店で食べ残すことはしないけど、この時はあまりの不味さにちょっと残した記憶がある。それくらいひどかった。
天知る地知る天網恢々痒みにムヒ、っちゅうヤツで、このパチモンの「じゃんがら」は悪評立まくりのブーイングの嵐で、ちょうど急速に広まり始めてたネットの力もあってアッちゅう間に世間から淘汰されて消えて行ったのだった。当然ながら近所の店もすぐにツブれた。ザマミロ。
調べてみるとまだ数店舗残ってたりする。ホンマどんな神経してんだろうねぇ・・・・・・。
過去にいくつかのカテゴリーでも触れた通りで、おれは決してコピーやパクリ、フォロワー、エピゴーネンといったモノを100%全否定するツモリは無い。どだい人間活動の全ては模倣から始まるモンだ。そしてその模倣が広がった氾濫の中から再び本当に新しくて面白いものが表れる。それは芸術の歴史が証明している通りであって、ある意味仕方ないこととも言える。
ただ、そこにはオリジネイターへの素直な敬意が必要なのだ。0を1にするのも1を2にするのも1増えるってコトでは同じだろうが、0を1にするのは塗炭の苦しみを伴う。それに対する敬意がどうにも「二郎」のエピゴーネン共からは少しも感じられない。だから・・・・・・
全ての二郎もどきへ、恥を知れ!クズ!腹切って世間様に謝れ!っておれは言いたい。 |
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2018.09.20 |
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