餃子への頌歌、リターンズ |

異様な迫力を漂わせる「ホワイト餃子」
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http://blogs.yahoo.co.jp/y_sairin883/より
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餃子が好きだ。
餃子が好きだ。
餃子が好きだ。
餃子が好きだ。
餃子が好きだ、好きだ、好きだ。
ズーッと昔に「餃子への頌歌」ってタイトルでおれの餃子への思い入れを書いた。どんな字を書いたのか今ではもう知りようもないけれど、幼い頃、東住吉区の実家の近所にあった「ヤマトウンジョウ」って中華料理屋の1人前50円の餃子が自分の原点だ、ってな内容だった。
これも何度も書いた話で、関西は関東に較べると随分と餃子の値段が安い。それは古くから元祖餃子チェーンの「珉珉」(残念なことに今はちょっと店舗が減ってしまったようだが・・・・・・)が安く供していたことに加え、王将がさらなる安価で店を展開したことが影響しているように思う・・・・・・一言「珉珉」の名誉のために申し上げて置くならば、こっちの餃子も美味い・・・・・・っちゅうか個人的にはこっちの方がシュミだ。路地裏みたいなちょっと暗いところに赤い引き戸が並んでお稲荷さんの宝珠を思わせるマークが見える、それがおれの「珉珉」の印象なのだが、そこで中身がちょっと柔らかめでかなり薄めの皮がやや浅い焼き色になってるのを、ビールと中国焼酎である「白乾児(パイカル)」なんかでつまむのである。これは王将にはない世界だ。あ~、たまらん!食いてぇ!
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それはさておき、関東の餃子は高いと思ってたのが、越して来て何年目だったろうか、関東にも極めて良心的な価格で餃子を売ってる店があることを知った。その名を「ホワイト餃子」という。つい最近値上がりしてお持ち帰りの生餃子で10個270円になってしまったけど、少し前までは10個220円という驚くべき値段だった。1つが大きくて1人前食えば、充分お腹一杯になれる。
ただ、一般的な三日月型の餃子に馴染んだ感覚からすると、この餃子は随分異様な印象を与える。まず何より形がヘンだ。まるで風呂敷包みか信玄餅のような巾着型で1個がかなり大きい。アカンボの握り拳くらい、と言えばいいだろうか。こんなにボリュームのあるのを10個200ナンボで売ってるのだから実に良心的と言えよう。次に皮がヘンだ。異様に分厚くパンとか豚マンのようなもっちりした食感の皮である。ひょっとしたら醗酵生地なのかもしれない。さらにはその調理法である。めちゃくちゃハードコアな焼き方をする。フライパンに並べるところまでは同じだが、そこに熱湯をダバダバ注いで、強火で煮ながら蒸すようなことをする。湯が半分くらい蒸発したら、そこに今度は油をダバダバ注いでジックリと揚げていくが、それだけでは終わらない。最後、油を捨ててこんがり焼き上げるのだ。要は「煮る、蒸す、揚げる、焼く」を全部やっちゃうのである・・・・・・やらんのん「炒める」だけやん(笑)。出来上がった姿はまるで揚げ饅頭。
これだけ変わってるにもかかわらず、味はオーソドックスっちゅうかフツーに餃子してて食べ飽きない味だ。残念なことに家の近所に店がないので、たまに店のあるトコまでわざわざクルマで出かけてって、100個くらいまとめ買いするようにしてる。なぜか最初から冷凍で売られてるので保存が利くのである。
一応ここ、千葉の北端、野田市に本拠を構えるチェーン店である。公式サイトもあったりする。ただ、昨今流行りのお手軽フランチャイズなんかではない。昔ながらの暖簾分け方式による頑なな商いなので、そんなあちこちに店があるワケではない。そぉ言った意味では古風に「連鎖店」とでも読んだ方がいいかも知れない。昼間に店を覗くと、家族総出で俯いて一心不乱に餃子包んでるのが何とも慎ましくて実直な商売という感じで好ましい。
関東暮らしも長くなり、おれはだんだん不思議な事実を知るに至った。このホワイト餃子スタイルの店、北関東一円に多いように思えるのである。古河駅前にある人気店「丸満」、前橋の「わがまま餃子」、川口や流山にある「ぎょうざ屋さん」、市川駅近くにあった「ひさご亭」なんかはかなり原形を留めていなかったがやはりこのスタイルだった・・・・・・どこも調理法も同じでエクストリームでハードコア。ただし餃子の聖地・宇都宮では新規参入の店以外では見かけない。ま、最近はけっこう全国に広まってるみたいだな、巾着型。薄皮の対極にあるけれど、これはこれで世界があっておれは好きだ。
おそらくこの奇妙な餃子、ルーツはやはり「ホワイト餃子」ではないかと思う。創業年代が他より古かったり、そのスタイルが古風っちゅうか、飾り気とかケレン味がないのもオリジナルと思わせるに充分だ。
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そうだ、餃子とは関係ないけど暖簾分けで想い出した。同じように頑なな商売してる「いもや」についても触れておこう。ここは天麩羅の店で、600円そこそこで天麩羅定食が食える。神田・神保町の半ちゃんラーメンで有名な「さぶちゃん」の裏手にあるのがたしか本店だったと思う。真っ白な暖簾に綺麗な白木のカウンターで、ひじょうに混み合うのにいつも店に清潔感があるのが◎。なぜかステンレス皿に載っかった天麩羅とご飯、それに赤だし・漬物(これがどっちも美味いんだわ!)が付いて来る。単品で天麩羅をさらに追加することも出来るものの、まぁ食ってもせいぜい千円札1枚でお釣りが来る程度だから、ホント実直な商売だと思う。
仄聞なので事実かどうかは知らないが、ここは夫婦者にしか暖簾分けをしないらしい。要は、夫婦での店舗オペレーションを前提にしたビジネススタイル、ってコトなんだろう・・・・・・ハハ、横文字使うと浮くなぁ~(笑)。
でも、この「いもや」も昨今の促成栽培的なFCビジネスからすると頑固一徹な徒弟制の香りがプンプンするのが敬遠されるのか、昔は東京のあちこちにあったのが、最近では随分お店が減っちゃってるらしい。悲しい話である。今でも暖簾分けで気を吐くのは「勝手にコピーして合格になったら名前名乗って良し」の「ラーメン二郎」やつけ麺の元祖東池袋「大勝軒」の一党くらいだろうか・・・・・・ラーメン屋ばっかしっちゅうのもなんだか寂しい話ではあるな。
しっかり修業して技術やスピリットや何やらを身につけたら、慎ましやかに郷里近くかなんかで暖簾を出す。そんな世の中のサイクルが成り立たなくなってるってちょっとヘンではある。
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暖簾分けはさておき、餃子の話だった。
ラーメンブームが一巡した影響か、ここの所、餃子のグルメガイドが増えてきているように思う。「羽根付き餃子」なんて要は片栗粉がカリッと焦げてフライパンにへばりついたのを妙にヨイショして有り難がってみたり(いや、ま、あの網目状のコゲはおれも大好きなんだけど・・・・・・)、宇都宮の次を狙って浜松だとか川崎だとか津だとか、あちこちの地方都市が名乗りを上げてみたりと浅ましくもけたたましく、実にみっともない。ブザマでさえある。
ただ、餃子はムーブメントとして絶対にラーメンには勝てないだろう。味が劣るとかそんなんではない。どぉにもこぉにも絵的にラーメンより地味なのだ。赤やら緑やらの変わり種も無くはないが、大半は皮の白色が基本でそれにせいぜい焦げ目のキツネ色くらいだから、あとは形とか並べ方、器くらいしか差別化が出来ない。この点でラーメンは実に楽で、麺、スープといった基本部分だけでなくチャーシューやらシナチク等の具材で十分に派手な紙面作りが出来る。つまりはヴィジュアル的に読者への訴求が餃子ではどうにも弱いのである。
さらに料理自体ものすごくシンプルなので味の上でも極端な差別化がむつかしい。入ってるのは豚肉と白菜(あるいはキャベツ)、ニラ、ニンニク・・・・・・別にトンコツも鶏ガラも煮干しもヘチャチャもないし、あれやこれやブチ込むとそもそも餃子でなくなってしまう。タマネギなんて入れ日にゃぁ豚マン、海老やら春雨入れた日にゃ春巻きになってしまう。とても変化球が投げにくいし、たとえ投げたとしてもそれがメインストリームになれないのだ。コンサバであることを運命づけられた料理と言える・・・・・・いや、そうあって欲しい。
そりゃもちろんカンタンなものほど追求しだすと奥が深いのは世の常で、配合や野菜類の絞り方、隠し味、包み方に焼き加減等々、唸るほどに美味しく作るのはカンタンではない。それはそうだ。
でも、店主の肩に力の入った主張や能書きだらけの餃子なんて食いたくもない・・・・・・あ、どんな料理だってそうか(笑)。
ともあれ、餃子はフツーでさりげなく、そしてちょっとばかし地味くらいでちょうどいい。あんまりド派手にしゃしゃり出られたら、シミジミした思いが薄れてしまいそうやんか。 |

これが「珉珉」の餃子。関東にも店あるやん!!
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2010.04.25 |
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