究極のアウトドア野宿食材 |

これが結論と思ってたんだけどな・・・・・・。
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う〜む、このネタもどのカテゴリーにしたら良いのか悩むテーマだな・・・・・・ま、どっちゃでもエエんだが、何となく気分でこっちのグルメの方に放り込んでやろう。
以前から野宿にピッタリの食材でいいものがないか考えていた。決して「アウトドア」ではない。「野宿」だ。アウトドア、っちゅうとやれBBQだ、燻製だ、ダッチオーヴンだ、パスタメーカーだと煩くて仕方のないことばかり言う輩が多いのがどぉにもうっとぉしい。山のような道具詰め込んで、家でもやらんようなことを外行ってまでやんな!っちゅうねん。
とにかく野宿の食事におれが求めるものは、軽くて嵩張らず、速く作れて、腹一杯になって、水と燃料をあまり使わず、後片付けが簡単なものである。それならおまえシリアルとサプリ齧っとけ!とお叱りを受けるかも知れないが、あれはどぉにもモゴモゴ・ボソボソしてて喉に詰まる。それに寒い冬の晩だといかにも侘しい。温かいモノ、水気を含んだモノ、は重要なのだ。
日本のアルピニズム黎明期の伝説的登山家、加藤文太郎は食料に甘納豆やジャコ、南京豆等を持って行ってたそうだ。おれが求める遥か以上のシビアな条件が冬山には求められる。様々な実体験から編み出された彼の結論は今の時代にも立派に通用する慧眼だと言えるが、まぁおれはそこまでは考えていない。
今回は野宿にふさわしい食材、ことに主食に相当するモノって何だろ?っちゅうことについての私的な格闘の記録である・・・・・・いや〜、相変わらず実に下らないなぁ(笑)。
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一番の基本は何たって米だろうと思う。一種の乾物状態になってるから出来上がり量からすれば携行するには随分体積で小さくて済むし、やっぱし美味しいし、どんなおかずにでも合う・・・・・・のだが、炊くのに時間がかかる。トランギアだと余程風防をシッカリしないと1回のアルコール注入で間に合わない時がある。あと、洗うのはまぁ無洗米を使えば良いとしても、食べ終わった後にコッフェルを洗うのがけっこう面倒だ。デンプンのねばねばは細部にまで入り込んでいる。
戦国時代には兵糧として干飯っちゅうものがあった。これは炊いたご飯を乾かしたものだ。同様の考え方で揚げたものもあったらしい。どちらも湯をかければ即座に食べられる優れたフリーズドライ食品である。携行食として工夫されたものだから、今でもそれなりに通用するとは思うのだけど、行く前に拵えなくちゃなんないのがどうにもめんどくさい。昔から山屋で売られてるアルファ米も概ねこれに当たると思って間違いないが、こいつが1食分だとどうにも少ないし2つ食うと味気ない、っちゅう代物だ。おまけにバカみたいに高い。
煮たりレンジでチンするだけのご飯も試してみたがダメだった。煮るには恐ろしく時間がかかるし、どだいパッケージが大きくて山用のコッフェルには入り切らん。仕方ないから中身を開けて取り出して雑炊にでも仕立てるしかない。
餅もかなり試した。しかし、山で焼き餅は大変だ。ガスコンロにせよアルコールコンロにせよ、匂いが付くし、火力の問題でこんがり焼きあがる前に黒焦げになってしまう。実はプリムスの2段になって直火の当たらない焼き網なんてーのも持ってるのだけれど、そこまでして焼くのも面倒だ(←何で買うんだよ!?笑)。かと言ってフライパンで焼くのはおれの流儀に反する。ぢゃ、煮餅にするか・・・・・・って、それだとおれの料理についてはやたらコンサバで堅物なアタマでは雑煮くらいしか思いつかない。
パンもそれなりには使える。そのまま口に入れるだけでOKだし、食器類になすりつけながら食べ終えれば洗う手間がかなり省けるのも嬉しい。ところが元が膨らませて作ったものだけに嵩張る。ツブれてしまっても食ったら一緒とはいえ、それではどうにも残ない。何より寒い季節は、そのまま食べると冷たい。特に、食パンやロールパンは一回で食べ切るには少々多いから翌朝に残ってしまうが、これがもうコワコワになってるは冷たいわで泣けてくる。
次に考えたのが麺類でスパゲティ。素麺や蕎麦でもいいのだが、コイツ等には吹きこぼれの問題があるのと、茹であがりに大量の冷水が必要なのがアウト。それと食べ方のバリエーションに幅がない。あまりケッタイなものは拵えたくないし。
コイツの優れてる所は、携帯性に優れてる上に少量でもお腹一杯になって、なおかつ腹もちがいい、ってコトだろう。同じ炭水化物でどこが違うのか、このデュラムセモリナっちゅうのはひじょうに満腹感が得られる野宿の強い味方だと思う。おまけに最近は温めるだけのレトルトのパスタソースが何種類もあるので、マトモに料理らしい内容でお手軽に美味しくバリエーションが楽しめる。第一おれはスパゲティが大好きなのだ。
しかし、みなさんご承知の通り、スパゲティは茹でるのに大変時間がかかる。それに火力が強くないとコペコペにくっ付いてしまったりもする。それに長い。折らないとコッフェルに入らない。初めっから長さ半分で茹で時間短いポポロサラスパ、なんてーのもあるけど、これがフツーにスパゲティとして食べるには不思議と不味い。
実は嵩張らないってコトでは粉食が一番だろうが、これはどうにもチャンとやるとなると迅速さに乏しく、手っ取り早くやるには調理法が限られてしまう。ホットケーキミックスだろうが小麦粉だろうが米粉だろうが蕎麦粉だろうが、素早く食べるには水と混ぜて薄く焼くか、スイトンにでもするしかないし、まさか山の中でうどんや蕎麦捏ねて踏ん付けるワケにも行かない。要はいずれにせよ結構ややこしいのである。
・・・・・・そんなこんなで数年前に辿り着いたのがマカロニだった。味はまぁスパゲティと似たようなモノ。それでいて早茹でっちゅうのにすると茹で時間は短いし、コッフェルにパラパラ入れて適当にかき混ぜておればすぐに出来上がる。上にぶっかけるのは同じパスタソースでOK。冬でも温かく食べれるのも嬉しい。携行性の点では、中空になってたり、形が少々変なのが欠点とはいえ、ザックの隙間には詰め込みやすい。
しかし、最後に麺類の宿命とも言える「湯切り」の問題がどうしても残ってしまう。これも水場のない所では何とも勿体ない。
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それが、だ。先日、おれはついに見つけてしまったのだ。
ヨメと買い物に行った折、輸入食材店に山積みになってたそれを試しに買ってみた。家に帰って早速作ってみたら、これが案外イケる。そして食べてるうちに、おれはこれが永年決めあぐねていた究極の野宿用食材であることに思い至ったのである。
作り方は実に簡単。適量を鍋に出し、同量の熱湯を掛けて5分ほど蒸す・・・・・・それだけ。それで終わり。もう少しシッカリした食感に仕上げたければ湯の量を少し増やして若干煮れば良い。蒸籠みたいなもので蒸したり、油を混ぜたりしたらもっと美味しいらしいが、山の中ではそんなことするワケないわな。具を混ぜたければ混ぜればいいし、味付けしてもいい。基本は汁モノぶっかけて食うようだが、あまりこれといった決まりはないようだ。そいでもって元の粉は同じデュラムセモリナだから味はパスタにそっくりだ。従って腹もちも良い・・・・・・完璧ぢゃないか!!
・・・・・・その究極の野宿用食材とは何か?
何のことはない。種明かしをすると、それは北アフリカ一帯の主食、「クスクス」だったのである。 |

輸入食材の常で、こんな感じの素っ気ない箱に入ってたりすることが多い。
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2009.06.15 |
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----Asylum in Silence----秘湯 露天 混浴から野宿 キャンプ プログレ パンク オルタナ ノイズまで
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