「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
脱力観光宣言!

  新シリーズをお届けする。先日、百貨店の話でも少し触れた「脱力観光」とゆーヤツである。このコトバ、実を言うと私のオリジナルではない。何年か前に、マンガ家の相原コージと竹熊健太郎が組んで、雑誌の企画モノでやってたのだ。

  要は、余りにくだらなく、チープで、時代遅れで、悪趣味で、いかがわしくて、キッチュで、エログロナンセンス(←死語です)で、モンドで・・・・・・etc 、な終わっとる場所を観光することである。
  入った瞬間、目が点、会話が止まって深〜い脱力感に襲われるよーな観光。アッパーよりはダウナーな、コークよりはヘロ、スピードよりはハシ・・・・・・おっといけない!まあ、そんな観光のコトだ。
  桂小枝(この人の名前が出るの2度目だな。あの番組好きなんですよ)が探偵に行く「パラダイス」を想像してもらえれば分かりやすいだろう。

  観光の目的には、全身の筋肉が弛緩して一切の緊張を喪失するようなリラクゼーションもあるだろう。だからこの「脱力観光」とゆーのも、かなりイビツではあるが、結構楽しい。

  どんな地域にこのテの施設があるのか?と言うと、古くからの大観光地で団体客の多い所、加えて現在はやや集客に苦しんでる観光地の周辺に目立つ。伊豆・熱海を筆頭に、別府、南紀・伊勢、北陸なんかが代表例だろう。淡路や琵琶湖近辺も欠かせない。
  多分皆さんの脳裏に真先に浮かんだのは、何たって「秘宝館」の類だろう。最初に挙げた形容詞が、殆ど当てはまるもんな。ただ全部の秘宝館が脱力なのか?と問われれば、そうでもなくて、未だに結構テンション維持してる所もあるし、それにあれでしょ!?男性諸氏なら、心底イヤそーな顔して実はシッカリ見てたりするやんか。この辺が悲しい性っちゅーか、一部が脱力しきれない難点ではあると思うのだが、如何なものだろう。

  残念なことに、観光業界も年々ハイパーになって来て、全国の脱力観光施設はどんどん姿を消しつつある。一方で新手の脱力系も懲りずに登場している。例えば各地で展開されている「時代村」。あらひどいわ。もーサイテー。又、「越前大仏」を筆頭とするバカデカ系の仏さん。あれもどうしようもなく劣悪である。脱帽よりも確実に、脱力する。

  しかし、この新参の連中は脱力以前に、余りのボッタクリにアタマに来る。明らかに詐欺そのもののフンダクリかたである。脱力観光は違う。やっとる側がどこか、融通の効かない生真面目さとナゲヤリと思いつきの同居した、不思議な情熱に動かされてなくてはならない。何で私財を投げ打ってまでこんなしょーもないもんこしらえたんや!?と精神状態を疑いたくなるフロンティアスピリットの残滓が必要なのである。
  もひとつ新参者には真似出来ない点がある。それは時を重ねても資金難でリニューアル出来なかったことによる、「古ぼけたナサケなさ」みたいなものだ。時代村にせよ、アホ程デカい大仏にせよ、営業母体はバブルに浮かれた、餓鬼道に落ちとる奴等じゃないですか。金だけはある、いやあった。今はどう資金繰りしてるものやら・・・・・・まあ良い、30年後を楽しみにして置こう。

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この「脱力観光」。何も見学施設だけに止まらない。脱力旅館や、脱力遊園地、脱力鉄道なんてヴァリエーションもある。数少ない体験の中から、これらを逐次御紹介することで、余りのくだらなさに全身の力が抜ける感覚を少しでも味わって頂たい。そして、脱力観光という隠微な楽しみに足を踏み入れてもらえたら幸いである。

Original1997 Add 2004
----Asylum in Silence----秘湯 露天 混浴から野宿 キャンプ プログレ パンク オルタナ ノイズまで
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