先週の続きである。私はプログレ少年からパンク少年に宗旨変えしたのだが、理由が理由だけにココロザシは極めて低い。しかし元来、語るに落ちたココロザシの低さこそがパンクの本質なのだから仕方ない。筋は通ってる。
地道に努力するパンクスなんて脚の速い亀よりブキミである。だから不動のメンバーで10年も続くパンクバンドがもしあったら、それは最早「パンク」ではない。「やってられねーぜ!デストロイだぜ!ノーフューチャーだぜ!」は基本やろ?真面目にスケール練習なんてやってられっかい!
シドはピストルズに入るまで楽器に触れた事も無かった。んでもってロックンロールスウィンドルで、恋人殺して、仮釈の晩にヘロのオーバードースでストーン、見事にあの世行き!全くもって刹那的、ただのアホだ。
え?ストラングラーズ?それは言わない約束でしょ、お父っつぁん。
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ともあれギターのテクの問題は、パンクに乗り換えることで解決したのだったが、新たなる問題が起こった。
そう、みんなカッコいいのである。ウニかウルトラセブンみたいだけど。
ズングリムックリで中肉中背のパンク野郎は珍しくもナサケない。そんなん再結成後のJロットンだけだ。その当時のパンクスは皆、長身痩躯の身体つきでとにかく怒ってた。アタマもトサカ立てて怒っとった。
思い立ったからと言って、体型はすぐに変えれない。それこそヘロでもボンボン打てばアッとゆー間に痩せるのだろうが、そりゃムリな相談だ。
いかんいかん、オレにはコミックバンドしか道はないのか・・・・・・?
さて、パンク爆発中のイギリスで、ほぼ時を同じくして1枚のLPが自主制作で出される。「セカンドアニュアルレポート」とゆー味も素っ気もないタイトル(訳すると「第2次年度報告」だ)で、収められたのは、テープやシンセ、リズムボックスにエレキ類による膨大な轟音の数々である。
これを出した連中こそが、元祖インディーズにして総本家ノイズ/インダストリアル本舗の雄、GPオリッジ率いるスロビンググリッスルであった。 何せノイズだ。ハウリングとフィードバックの嵐だ。パンクより100倍手っ取り早い。それにアタマ悪そーなパンクスより、暗い分だけ何か考えてそうだ。
既に高校も卒業してた私は、テもなく飛びついた。飛びついたのは自分だけではない。機材少々と「気合」さえあれば、誰でもすぐに始められる。メロディもサビも何にも要らん。ドカーンバキボキ!ホイ!いっちょあがり!
このお手軽さがウケて、ノイズバンドは伝染病の蔓延よりも速く世界中に広まった。ホワイトハウスにSPK、鉄工所の宗教音楽みたいなノイバウテン、ホンマに宗教走ったMビアンキ。日本の誇る(笑)非常階段etcetcetc。
こんなアホな音響に3年近くもハマッてた。LPを買いあさり、自分でテープ作って、掘っ立てバンド作って、ライブハウスに足繁く通ってたのだ。
メルツバウとゆーバンドのライブに行ったら、80人位しか入らないトコで200Wのアンプをフルアップ!それも2台!3日間、頭の中でセミが鳴いていた。そんなのは日常茶飯事で、もっと狂ってるのは掃いて捨てる程おった。ハナタラシ(現ボアダムズのヤマツカがやってた)とかね。
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そしてある日、飽きてしまったのである。そりゃそーだ。金太郎飴の極致のワンパターンで、ドッスンバリバリばかり繰り返して、何のラチが開くと言うのか?それに同時に、大事なことを又もや忘れてたコトに気付いたのだった。
テクよりルックスより何より、音楽には「センス」が必要なのである。たとえノイズでも・・・・・・否、これは失礼なことを言ってしまった。むしろ通常の音楽のイディオムを放棄したノイズだからこそ、より一層の「センス」が必要なのである。
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