今を去ること7年前、鶴見緑地で国際花の博覧会(通称「花博」)が開かれた。随分な盛況ぶりで、連日大入りで迎えた最終日のコトだ。いよいよフィナーレが迫る出口近くにいたオバハンが、かような会話を交わしたのだそうだ。
--------なーなー、ここの花、花博済んでしもたらどないすんねやろなー?
--------ほかしてまうんとちゃうの。
--------わー、もったいな。せやったら、ちょっと位持って帰ったかてかまへんよねー。
--------そやそや。
実は閉会後の草花の行き先はちゃんと決まっていたのだけれども、会話は何の根拠もないまま自己完結し、このオバハン達は手頃な鉢植えを両脇に抱え込んだのである。後は申し上げるまでもない。暴徒化した群衆が手当たり次第根こそぎ持ってってしまい、文字通り落花狼藉の結果となったのだ。
やはり何年か前、福井の方でホタルの放し飼いを鑑賞する催しが開かれた。これも同上のプロセスを辿って、あえなくホタルは全滅。無責任で凶暴なファミリー共の餌食となってしまった。
もうお分かりだろう。今日は激怒ネタである。
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霧に沈む盆地の町、湯布院は今や九州観光スポットの最右翼である。湧出量では別府・登別に続く日本第3位と、もっとコテコテに発展してても良さそうなもんだが、温泉街らしきものもなく、いかにも女性好みのたたずまいである。ま、それをアテ込んだ妙な民芸屋・喫茶店・ペンションが増えまくったのは頂けないけれども・・・・・・何だか銀閣寺の疎水みたいだな。
中心部には金鱗湖とゆー大きな池があって、池の中からも温泉が湧いて、鯉と熱帯魚が同居して泳いでいる。けっこー不気味である。この湖畔に、オハナシの舞台である、素朴な茅葺きの下湯(したんゆ)なる共同浴場が建っている。惜しくも近年建て替えられたが、それでも以前のスタイルを踏襲しているのは喜ばしい。
中には、血色の悪い手をさすりながら痩身のジイサンが一人。いつもの様に話すともなしに話していると、それは、チェーンソーの使い過ぎによる白蝋病だった。温泉病院に通って、その合間にここに毎日入りに来てるそうだ。そんなに入ってたら干からびるんとちゃうか、と心配になる位、老人は常連なのである。ともあれ、温泉のパワーを信じて入る姿は良いものだ。
こののほほんとした静寂を破ってタクシーが2台やって来た。中から降り立ったのは、見事にオバハン7人組。ズカズカ入っていきなり、
--------わあ!入ってる入ってる!
--------こんなの、ほんとに入れるのね。
--------熱いのかな?わ!入れる入れる。丁度いい温度。
--------あんた入ってみたら!?
--------いやよそんなの、アタシ恥ずかしいわ。
--------みんなで写真撮りましょうよ。
バシバシ写真撮られながら私はジッとうつむいて、この動物園の禽獣となり果てた状態をこらえた。件のジイサンも下向いてる。きっと屈辱を噛みしめてるに違いない。
・・・・・・1分か2分か、それ程長い時間ではなかった。元来私は短気なのだ。そしてキレた。立ち上がって一気にまくし立てた。
--------入らんのやったら来んな!!ボケ!!オマエらみたいなんがおるから温泉入れてくれんよーなるんじゃっ!!
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聞くところによると、吹田高校というところで飲酒のカドで全校生徒の1/3が停学になったという。文化祭の打ち上げで盛り上がりすぎたんだそうだ。当初はあまりの処分人数の多さに却って教師がひるんで、厳重注意くらいでお茶を濁そうという案もあったそうだが、結局停学は実施された。
私は、断固支持する。徒党を組んだり数に訴えることで、理不尽が免罪されては絶対にならない。
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