「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
超ドシロートが語る!スノボはまり道

 あけましておめでとうございます。今年も当コラムを、どうかごひいきに願います。

 さて、昨今のスノーボードの流行には目を見張るものがある。所謂「スキー人口」は80年代半ば(丁度「私をスキーにつれてって」の頃)の2200万をピークに減り続け、現在は1700万強と言われる。又、平均年齢も上昇の一途である。逆にスノボは倍々ゲームで増え続け、既に300万人は軽く突破している。当然ながら、若い連中が多い。
 この大ブレイクした人気は、少なくとも長野五輪までは伸びるだろう、と言われている。

 この人気に乗り遅れまいと、雨後の筍でメーカーが参加して、ブランドは板だけで何と!300以上。スノボ専業、サーフィン屋、スケボー屋、本家スキーメーカーに、得体の知れないのまで入り乱れての戦国時代。
 さらにウェアやら靴も加えるともう、ワケが分かりまっしぇん。

 それかあらぬか売値も高い高い。この価格破壊の御時世に、定価売りが原則とはナメとるよなー・・・・・・と思っていたら案の定、今シーズンはかなりの値崩れ。だって、どう見たって供給過剰なんだもんな。去年10万でビタ一文負けんかったんが、平気で3万で売られてたりする。

 そう、スノボは今、正に、爛熟一歩手前の「旬」なのだ。ストリート系ファッションなんてもー冬は、完全にスノボだもんな。あんな暑苦しいカッコでよー街歩くなー、と呆れたり感心したりもするが・・・・・・。

 私事で恐縮だが、このうなぎパイのオバケみたいなのに乗る「スノボ」に、昨年来、ハマリまくっている。生来とてもヒネクレ者で、流行にはすぐ反発するクセに、このテの「疾走感」にはすぐアテられてしまったのだ。
 やる!と決めた理由がもひとつ。一言で「不良のガキの遊び」みたいだからだ。茶パツ・ギンギンのピアス/リングは定番だか、スキーの万人向けの上品さに較べると、大層ガラが悪そうだ。青春から遠ざかる焦燥感がそうしたか?
 大体、横乗りってゆーとこが、斜に構えてて面白い。

 2月のスキーツアーも聞く所によれば、スノボOKのゲレンデに行くという。実は「やってみたい!」と考えておられる方も、「むつかしそうだ」と尻込みしておられる方も、どちらも案外多いんじゃないだろうか。

 ・・・・・・てなワケで、又もや4話連続で、超ドシロート(ついでに言うと、運動神経はとても鈍いです)なオッサンでもできちゃった、スノボの楽しさ・情報をお届けできれば、と思う。
 ちなみに昨シーズンは7〜8回行ったけれども、結構サマになるもんです。来週以降の予定は以下の通りです。では、今週はここまで。さようなら。

予定
 A道具購入編B初日編Cノーガキ編

附記
 申し訳ありませんが、主流のフリースタイルボードについてのみ取り上げてます。アルペンボードは依然、値段的にも非常に高く一般的でない点と、やや「らしくない」ということで、割愛させて頂きました。ちなみにスピードは断然、アルペンの方が出ます。今稿をまとめるに当たって参考にした本、及び買うフリをして話をうかがったショップは相当あります。いちいち挙げるスペースがありませんが、ここに記して置きます。




 今週は「道具購入編」。早速始めまひょか。

 最初に買ったのは悲惨だった。貧乏なんで予算が5万円しかなかった。板とビンディングは、バッタ売りの19800円、靴もこれ又バッタで1万円、ウェア上下まで買う余裕はとてもないから、下と尻パッドと手袋だけで、上なんかユニクロの1000円フリースに防水スプレーぶっかけてたもんな。
 全く約立たずのゴーグルやら、ワックスやらの小物入れても、ホンマに5万円で収まってしまったのも、一層情けない。反動でブランドに走っちゃった。

 でもまあ、板なんて最初は安物で充分だ。だっていずれにせよ、マトモに滑れんのだし。下手なんであっちこっち突っ込んでキズだらけになるし。
 では必要物の一覧をババババーッと箇条書きにしよう。滑る遊びなんだから、スピード感が大事だろう。総予算は10〜15万くらいでOKだ。

●ボード
 去年までは短め(身長マイナス20〜30cm)が流行ってたが、今年はやや長め(身長マイナス10〜20cm)と昔に戻ってきたそうだ。柔らかめのヤツが良いらしい。有名ブランドだけで軽く20は越える。余りガラとかにこだわらすショップに相談すべきだそーだが、やってられっか!ねぇ!?

●ビンディング
 靴を板に固定するもの。スキーと違ってコケても絶対外れない。最初は板のオマケで充分さ!年々高性能になってる。

●ブーツ
 シッカリしてて防水が効いてハイカットで、ヒモがゆるまずカカトの浮かないのを買えば良いと言われるが、そんなヤツはヨユーで3万円以上する。確かに、予算はここに掛けろと言う人も多いが、高いよ、全く。

●ウェア
 動きやすく・寒くなかったら何でも良いんじゃなかろうか。どーせどれもこれも作業服みたいなデザインと色だし、シャツイチで滑っとるバカもおるしなー・・・・・・。こだわりたい人はカタログブックを良く研究して下さい。

●帽子
 これは大して値も張りませんので、毛糸で厚手の物を買いませう。スキーより頭を打ちやすいのは事実だから。

●手袋
 スノボ用のを安物でもいいから買いませう。最初はコケまくるのでなるだけ長めのヤツを。でもプロにはノーグラブの人もいるよなー。

●ゴーグル
 馴れない内はサングラスは危険。とゆーのも顔面からベチャッといくことが多いからだ。とはいえ、ドラゴンのサングラスはカッコええよなー。日本人、眉毛ハミ出すけど。

●プロテクタ
 最低、ヒップパッドは必要。尻から落ちると脳天に突き抜ける痛さ!!リストガード・ニーパッド・肩パッドもあるに越したことはないが、もっと上手くなってからでも間に合う。

●小物
 リーシュ(流れ止め)はオマケで充分。でも絶対必要。デッキパッド(板の上に貼る滑り止め)は好き好きで。ポーチ(首から下げるのが主流)は安いから好きなのを。メンテナンスキットはマメな人に。後は各自の工夫で。

 ちなみに私は今年、Morrow3D、NorthWave、Sessions、SmithV3ってトコです。ブランドヤローになっちゃいました。



 さあ初日だ。もしアナタにカレやカノジョがいたとしても、初日だけはコッソリと一人で、又は同性同志で出掛けることをお勧めする。それくらい大変だ。

 ゲレンデに着くとうなぎパイが沢山滑っとるぢゃないか。気ははやるが、ちょっと待った。初日に守るべき5ケ条を挙げておく。独断ではない。色々聞いて回った結果なので、結構信用してもかまわないだろう。

  1.靴紐とビンディングは死ぬ程締めろ!
  2.黙って10回リフトに乗れ!
  3.座り込むな!板は外すな!
  4.悩むな!考え込むな!
  5.極端な緩斜面は練習にならん!

 これさえ守ればすぐOKだと思ったら、甘い甘い。難行苦行はこれからだ。・・・・・・クツはいて板つける。バタン、いきなりだ。スケーティング(片足外してこぐ事)出来ないとリフトも乗れんとゆーが、ありゃウソだ。とにかく乗る。失敗してリフト停めて周囲から白眼視されても、それでも乗る。乗ると上手な連中がギュンギュン行くのが見える(ちなみにキチンとエッジで滑るとギューンと音がする。乗れてないとゴーッとゆー音)。うらやましーなぁ、と思うなら、精進あるのみ!

 リフトから降りるのも恐怖だ。前行くヤツもホラ、こけとる。無理矢理降りて、這ってでもスタート地点まで行こう。ビンディングは締めまくる。

 ともあれ最初は”ズリズリ”からだ。正しくはエッジスライディングと言う。進行方向に対し、板を直角にズリズリと滑る。立ち上がるだけで5〜6回は軽くコケる。ハッキシ言ってナサケナイ。が、もっとナサケナイ事には30cmも進めん。立って滑ってる距離より、コケてずり落ちてる距離の方が多いよーな気がする。ズリッ、バタン、ズリッ、バタンを繰り返す内に、くやしくて涙ぐんで来たりする。涙だけならまだいいが、ハナまで垂れとるやないか!とてもカレやカノジョには見せられん。雪と涙とハナでグジョグジョの顔を、だ。
 「どーしてこんな、シンドイ事はじめたんだぁー!」という後悔の念もそろそろ頭をもたげて来るだろう。それでも懲りずに、精進あるのみ!

 前向き・後ろ向き、一通り出来るようになったら次は、”横綱土俵入り”だ。”木の葉落とし”とも言う。よーは”ズリズリ”でジグザグに進む。これもまあ、パタパタコケる。しつこく、精進あるのみ!
 その内、板が進行方向に向いて来る。当然、スピードが出る。又、コケる。ひたすらコケては起き上がりを、2〜300回は繰り返す。すげえ運動量で、もうフラフラだ。

 し・か・し♪ここまで読んでメゲそうになったアナタ、大丈夫!

 ゲレンデが傾きかけた西日に輝くころには、あら不思議、ちゃーんと滑れるようになってますから。とは言え、何だかアヒルがお尻振ってるよーな具合ですけど。でも、それでも、まがいなりにも、下に行けるようになります。絶対保証します。そしてそこからは、メキメキ上達します。この、とっつきにくいけど後の上達の早い点が、スノボにハマる最大のポイントではないでしょうか。

 5回も行けば、それなりにカービング(エッジで滑る事)も、ギャップやバンクで跳ぶ事(ちょびっとだが)も、緩斜面でクルクル回る事も、どーしたワケか出来るようになる。自分でも不思議だろうけどね。

 ただ、上に散々述べたように、初日は泣ける。これはもう一種の通過儀礼だと思ってあきらめるべきだろう。ちなみにスキーでカービングをマスターしようと思うと、最低2シーズン位かかる。だからだから、精進あるのみ!!



 最終話は、スノボに関する様々な誤解・風説(特にスキーヤーからの風当たりは強い)について、一表にしてみた。参考にして頂きたい。

誤解・風説 ○× コメント
買うと高い × 今ではスキーと変わりません。安いのも増えた。
急斜面に弱い × 全く逆です。水平・上りはサッパリです 。
難しそう × 初日だけ。習熟曲線が異なる。
場所が少ない 依然規制のかかってるところはあります。が年々開放するトコは増えてます。
ボーダーが怖い × じゃ、ヤンキーモーグル系はどうやねん!?
スキー出来んと × いきなりスノボで上手いヤツはゴマンといる。
チーマーみたい × 確かに群れてる若い衆が多い。座り込んでばっかりのトドも多い。でも、カップルで来てデレデレやっとるスキーヤーだって多いぞ。
下手クソが多い 仕方ないでしょう。日が浅いんだから。
店に入りにくい × 今は量販店でも扱ってます。
しゃがむの面倒 数年内にステップインが主流になります。
危険だ スキーの事故と確率的には大差ない。ただ、捻挫打ち身は、滑る姿勢の関係で多いように思う。道具をシッカリすれば防げる。
リフト乗り降り大変 × 馴れたら平気。ホホイのホイ!
スピード出ない × 全くのデマ・偏見。むっちゃスピード出せます。
いきってる 当たり前でしょ!?カッコつけは大事な事だ。
もてる × 本人次第でしょう。それは。
目障りだ × 10人中9人はシロートなんだから。寛容に!
新雪に強い 絶対、スキーよりこれは楽しい。
エッジが効かん × ウソです。ジブならともかく、普通は効きます。ちなみに「バーンに弱い」とゆーのも、ウソです
ウェアが寒そう × 見た目の偏見です。
ウェアが地味 ハデなのも増えました。人気はもひとつですけど

 最後に、昨年見たリフト降り場のオッサンについて。仲良くなって話を聞くと、57才からスノボ初めて現在63才。彼は交代の時間が来ると、バートン・カスタム51に颯爽と乗って、モタモタしてるニイチャン・ネエチャンをブチ抜いて下ってったのでありました。これって、クールじゃありません?



2004補足
 スノボブランドの栄枯盛衰は激しく、個人的にユニークな作りが大好きだった”Morrow”もK2に吸収されて消えてしまった。誤解・風評も今読み返すと、「何リキんでんねん!?」みたいな事柄ばかりで笑えてしまうが、ま、当時の時代世相が分かるということでそのままにした。

Original 1996 Add 2004
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