「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
アウトドアキャンピング!

 以前約束した「宿泊編」を今回から2回に分けてお届けする。しかし、大事な事を忘れていた。実の所、キャンプ/野宿/露営と呼び方は様々だが、外で寝るのは苦手なのだ。たとえセンベイだろーが、襟周りが垢でテラーッと光ってよーが、布団にもぐり込みたい方なので、テントと聞くと気が重い。真綿の布団が重いのは大好きなんだけれども・・・・・・。

 料理編と異なり、屋外で寝るとなるとある程度道具が必要になって来る。これが第一の問題だ。車中泊だ、フルフラットシートだ、と言ってもそもそもクルマが要るじゃないか。持ってないヤツはどーするんだ?
 それに、試しにやってごらんなさい。まず、熟睡できない。目覚めた時には身体のフシブシがこわばって痛む。クルマだからと安心は出来ない、夏でも結構冷える。カゼひいてもかなわんし、どだい、翌日の運転がおっかない。

 じゃ、テント張ったら眠れるのか?これが上手く行かない。余程疲れているか、馴れているか、それとも鈍感かでないと、マトモには寝れない。一人ならミノ虫みたいな格好ではあるが、寝返りも打てる。しかし、何人かだと厳しい。寝袋は妙なもので、出ると寒いが入ると暑くってたまらない。
 それで、寝言・イビキ・歯ぎしりなんぞするヤツがいたら(皆寝苦しいので、被害に遭う確率は普段よりはるかに高い)、馬乗りになって首でも絞めてやりたくなって来る。殺すとは過激だが、少なくともケリの2つや3つ入れるのは、これは人情というものだろう。許してくれ!ドカッ!バキッ!
 やっと寝ついたと思ったら、顔がムズムズする。何じゃい!と払い除ければアリさんが行列を作っとる。あーもう、こんなトコ来るんじゃなかった〜!

 更に雨でも降り出そうもんなら、もう悲惨の極致。惨劇の一夜となる。

 ジメジメするし、ジワーッと染み込んで来るし、それより何より、雨音がうるさくって眠れやしねえ!これが豪雨ともなれば命ガケである。マジでヤバイ。
 ・・・・・・で、朝になって充血した目で、ビチョビチョになったテントをたたむ。そりゃもうサイテーの憂鬱さ。寝袋まで濡れちゃった日にはシビレまくるとゆーもんだ。

 まだ、ある。これが一番腹が立つ。必ずこーゆー手合いが居るのだ。

 --------いやぁ〜、全然寝れへんかったなあ〜

 ウソツケ!オマエだよオマエ!オンナの名前呼んで、顔中の筋肉緩めて眠り呆けとったんは!クソッ、やっぱりとどめを刺しとくんだった。また、こーゆーアホもいる。

 --------うわ、ベッチャベチャや・・・・・・アタシ濡れちゃったんです。

 コラ!20年前に終わったギャグを飛ばすな!本家・宇野センセイだって、こんなセリフもう今では使わんぞ。メンバーの殺気の状況次第では、途方もない脱力感の3秒後にフクロ叩きだ。終日、ハミ子にされる位で済めばラッキーだ。
 これ以上は紙面もないし、怒濤の下ネタに走りそうなので止すが、全部実話である。

 どうですか?こんだけ一気にまくし立てたら、まず野外で寝ようという気が失せたでしょ?

 そーですそーなんですそれでいいんです。猫も杓子も、カラフルなテントやタープの下でギッシリスシ詰めになってる方が、余程どうかしてる。野外で料理はともかく、何でそんなに寝たいのか。ホント、しんどいだけですよ。
 とゆーワケで次回は、それでもキャンプしたい、外で眠りたい人へのアイデ ア集です。




 では、それでもテントを担いでキャンプを目指すアナタに続編です。まずは基本。これは一つだけ。

  〜〜いかに道具を減らすか?〜〜

 これだけ。その、最低限必要な物は、以下の通りになる。料理編とは違うので注意してもらいたい。

  1.テント・・・・・・悲劇を避けるためにも、極力シッカリしたものを。
  2.寝袋(シュラフ)・・・・・・最近は封筒型が主流だが、高冷地の場合も考えてマミー(ミイラのこと)型で良い物を。
  3.マット・・・・・・安物で良い。厚手で、広さのある物を。

 次は場所探しだ。シーズンのキャンプ場は止めとこう。花火が飛んで来てテントが溶けて穴開いた。カラオケ持ってくるアホが居る。隣のサイトはカップルだ。ランタン消す位の余裕を持てよ。脱がして行くトコまで、影絵になって全部丸見えやぞ!反対側では子供が夜泣きだ。犬連れてくるなよな。ワンワンワンワンうるさいやないか!あーっ!例の赤いボルボの犬やんけ!
 これが仮にも人間の泊まる場所なのか。阿鼻叫喚の騒音地獄じゃないか。こんなんでも、最近は予約しなけりゃダメだし、1サイト何千円もふんだくられる、と来たもんだ。テント張る数まで規制されたりしてる。

 そもそも、お仕着せの場所ではつまらない。

 女性はどうか知らないが、男性諸氏ならガキの時分一度はやったことがあるだろう、「基地ゴッコ」。あれだ、あのスピリットだ。
 その場所は、空き地の土管であったり、裏山の雑木林の中のお堂であったり、誰も近寄らない磯の上の松林であったり、どれもこれも親達が理解に苦しみ、眉をひそめるような、いわば、子供にとっての「悪所」だった。
 あの頃の感覚を、今一度、呼び起こせば良い。どこか秘密結社の愉悦と、通過儀礼が持つ厳粛さの渾然一体となった気持ち、それを味あわせてくれる場所を自分なりに見つけることだ。その結果が、たとえ児童公園の隅っこであっても、多分、錦の褥(しとね)となる筈だ。いや、なってくれんと多少困る。こんなけ大演説ぶっちゃった手前、収まりがつかんとゆーものだ。

 でも、絶対ダメな場所が一つだけある。河原である。増水のペースの速さを決して甘く見てはいけない。後、幽霊の出そうな場所は、個人的には避けたいですね。肝っ玉の太い人にはかえってオススメかも知れないが。
 全ての条件の整った場所なんて、あるワケがない。どこか不足する部分、不便な部分があるからこそキャンプなんでしょ!?だからいっそ、自分がココ!と思った所に、四の五の言わず泊っちゃえば良いのだ。

 さあキャンプシーズンはもうすぐそこです。老婆心ながら最後に一言。天候の急変と昼夜の寒暖差、そして地元の不良少年グループの襲撃にだけは、くれぐれも御注意下さい。

 アナタのキャンプが、決して快適ではなくても、素敵な一夜になることを切に願って、この稿の締めくくりといたします。



2004補足
 ここでは昔の野宿経験に基づいて、かなり否定的な内容で書き連ねている。しかしその後、妻の勧めが元で一式買いなおしたのがキッカケで、すっかりアウトドア派に戻ってしまった。道具の進歩は実に素晴らしい。昔に比べると快適そのものである。

Original 1996 Add 2004
----Asylum in Silence----秘湯 露天 混浴から野宿 キャンプ プログレ パンク オルタナ ノイズまで
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