「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
悲しき4駆


一世を風靡した二代目パジェロのカタログ

 空前の4駆ブームである。メーカーは出せば売れる状態で、笑いが止まらないらしい。全くあやかりたいものである。子供の足こぎ自動車だって、ラジコンだって4駆である。「次の買い換えで4駆にしよう」と思っておられる方も結構多いのではなかろうか。
 今回はこの4駆について「4駆はそんなに良いのか!?」を考えてみたい。

●4駆は快適である

 一部のクルマを除いては、とにかく遅い。高速で登りになるとガゼン、スピードが落ちる。重たいのでブレーキは利かんわ、小回りは効かんわ、車幅が広いから狭い道でこすりそうになるわ、背が高くってよく揺れて酔いやすいわ、ともう大変。広いとは言うけれど、それはせいぜい2列目までで、一番後ろに乗せられた日には、悲惨なもんである。ほとんどいじめかゴーモンだ。おまけに、満席だとどこに一体荷物を積むんだ?景色もロクに見えんやないか!

 従って、決して快適ではない!とゆー結論になる。

●4駆は走破性が高い

 単純にこれを信じてエライ目に会った人は沢山いる。戦車かユンボか何かとカン違いして起こる悲劇である。川を渡ろうとして流された(浮力というヤツですな)とか沈んじゃった(所詮鉄のカタマリですものな)。あげくの果てに溺れ死んじゃった、という笑えない話がホントにある。砂浜にカッコつけて乗り込んだのは良いが、スタック(はまること)してオロオロしてる内に満潮になった、とゆーハナシも相当凄い。
 水陸両用車じゃない、っちゅーの!

 雪、それも50cmも積もった所にドカドカ入っていって、カメになって身動き取れなくなった。何せ重いので、凍結した下りでカーリング状態になってガードレールぶちやぶった。等々、これ又、エピソードは枚挙にいとまがない。
 ラッセル車じゃない、っちゅーの!

 何事もムリは禁物。従って、決して走破性は良くない!とゆー結論になる。

●4駆は経済性が良い

 もう最初に言っちゃおう。大ウソである。例えばセールスマンの殺し文句、「ディーゼルは安いですよ」確かに軽油は安いし、燃費も良い。しかし、オイルはガソリン車の倍必要な上に、寿命は半分だ。交換部品もおしなべて、半分位しかもたない。んでもってウルサイ、遅い、ケムリが出るとゆー事はちっとも教えてくれない。
 じゃガソリン車はどうなのか?これはもう寒けがする程、燃費が悪い。

●4駆はカッコいい

 そりゃ、ハヤリだもんな。でも、加えて言うなら、色々パーツをくっつけるのもハヤリである。又、巧いこと勧められる。ステッカーに始まって、デッ歯みたいなの、ハシゴ、おミコシみたいなキャリアに、盆踊りの提灯もビックリのランプ。気付いた時には、東南アジアのタクシーも、花電車も腰を抜かす満艦飾!これでカーステガンガン町を得意気に走れば、気分はもう右翼の街宣車だ。見てるこっちが恥ずかしい。日の丸のステッカーが似合うだろう。
 そしてますます重く、燃費が落ちるとゆー悪循環のアリ地獄にはまって行く。

 ・・・・・・いろいろ悪口を並べ立てたが、要は「マッハGoGo」じゃあるまいし(古いネタで済みません)万能では決してないのだ。それを分かってない方が悪いのだ。登山靴で陸上競技に出たところでまともに走れないし、通勤靴でエベレストに登ろうったって止められる。ゲタでクラブにゃ入れてくんない。スーツにゴム草履では正気を疑われる。ハカマに革靴ではハイカラさんだ。
 つまりは、そーゆーことなのだ。

 ああそれなのに!こんなに分かってるのに!上のエピソードの約半分は、何を隠そう個人的なものなんです。エラソーに書いたけれど、実はそうなんです。

Original 1996 Add 2004
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