「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
バーチャル温泉街!



 先だって、プラモデルの怪作「箱庭シリーズ」について言及した。実はこのシリーズすごく歴史がある。元祖は「店屋シリーズ」とゆーもので、寿司屋とか鰻屋が確かラインナップにあった。その次に「屋台シリーズ」が出た。夜泣ソバやらラーメン、おでんといったのがあった。んでもって「箱庭シリーズ」となった。既に20年以上の伝統(!)を誇る、超ジャパネスクでフェイクな商品群なのである。レトロブームの先駆的存在と言えるだろう。
  現在は第4世代まで進化して「昭和30年代の風景」とゆー珍作が続々と出ている。”行水”とか”オート3輪の街角”とか、これもそーとーワケ分かんない。普通のおもちゃ屋でも入手可能なので、興味のある方はどうぞ。

 ・・・・・・ で、丁度下敷位の面積のこの箱庭、自分で作った”山の温泉宿”を改めて眺める。谷川とそれに架かる吊り橋、旅館、そして河岸の小さな露天風呂で構成されている。手すりに干してあるタオルまで切り抜いて作る念の入れよう。まあ、ステロタイプな山奥の一軒宿を良く表現していると言えるだろう。
 もしこのテの紋切型で典型的な「温泉街」を作るなら、どんなストラクチャやシーナリィが必要か?と、フト考えたのであった。

  誠にバカバカしいが、今回はその考察の結果である。

●立地

 平凡な谷沿いであることが望ましい。余り狭くても急でも困る。道幅はクルマ一台がやっと通れる程度。石畳にするかどうかは好き好きで。電柱はゴチャゴチャと立てとく。入口付近に「歓迎○×温泉」の古びたアーチを建てて完成。

●旅館

 最低10軒は必要。木造3階建が理想的だが、ワザとらし過ぎるので、建て替えたものも数軒混ぜる。老舗から場末までグレード展開も忘れずに行っておきたい。又、裏の谷川に面して昼ならズラーッと布団を干す。高温泉なら、溝から湯気が立ち昇るのも、欠かせない情景だろう。

●土産物屋

 少なくとも1軒は必要。温泉街で食堂兼業の例は、意外に見ないので土産専門にしておこう。

●食堂

 温泉街の食堂はショボいものと相場が決まってる。ノレン出てなかったら、民家と見違えそうな侘しいたたずまいが良い。

●温泉寺

 大きい必要はない。お堂に薬師如来を放り込んで、共同浴場近くに建てたら完了。前には温泉縁起の看板を出すこと。

●温泉神社

 これも小さい祠で十分。少し荒れ気味が臨場感ある。大抵廃仏棄釈の嵐をくぐった為か、寺と神社は隣り合わせである。ついでに源泉も近くにこしらえよう。

●共同浴場

 最低2ケ所欲しい。凝った木造の物と、コンクリート素塗りでボロボロ、内部カビだらけを各1だ。露天の例は少ない。

●谷川の橋

 古びて素っ気ない鉄の橋がリアル。遊歩道もお好みで。

●食品店・酒屋

 これは地味だが欠かせない。必ずあるものの一つ。

●遊技場

 間口1間程のシケて、ナサケなーいパチンコ屋、射的、スマートボール等から選んで。

●ヌード小屋

 物好きな人へ。関東ならば「関西ヌード」と看板出すこと。その他スケベ系が好きなら、オプション増やす。

●大衆演芸場

 ある程度大きな温泉街でないと似合わない。御自由に。

●スナック

 昼間はシケた喫茶店で、看板は紫の行灯が似合う。「さち」とゆー屋号で、薄幸そうなオバハンが座ってるとハマる。


  加えて、地酒の看板、名所案内図、温泉タクシーやバスの終点の小さい車庫、旅館案内所に看板、とバランス良く並べ、下品な団体/家族連れ/ワケありの男女/客引き/場違いな客/地元民etcを適宜配すれば、立派なバーチャル温泉街の出来上がり。そしてそれは確かに、「失われた情景」に違いない。

  プラモ、或いはゲームソフトメーカーにリクエストしてみたいと真剣に考えてしまった。マニアックなヒット商品になることウケアイでしょうな。

Original 1996 Add 2004
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