「ロード」といえば、内紛と並んで弱小タイガースの名物である。夏の甲子園の間、球場を明け渡さなくてはならないので全国巡業に出る。これが「死のロード!」なーんて呼ばれて、ハナシにならない成績の言い訳に良く使われて来た。でもそんなん、飛行機も新幹線も高速もロクに整備されてなかった時代の話なのは、ファンならずとも重々承知のことだろう。
ロードとは直訳すれば「道」だが、この場合「道中」とでも訳すのが妥当だろう。今回はこの「ロード」についてあれこれ・・・・・・。
・・・・・・何故、ああも、アメリカ人はロードムービーが好きなのだろう?名作「イージーライダー」にしかり「レインマン」やら何やらと数々の作品がある。どれもこれも大陸横断だ。西部開拓やゴールドラッシュの記憶が、血の中に刷り込まれてるとしか考えられない。
異常天才タランティーノの「フロムダスク/ティルドーン」の前半は、いかにも彼らしい、ひねくれたロードムービーのパロディだし、ドイツの気鋭ヴェンダースは「パリ/テキサス」で、小津安次郎が砂漠でロケしたよーなノリの不思議なロードムービーを作った。
アメリカ人がロードムービーに弱い事、知ってんだ。
主人公は、アウトローだったり犯罪者だったり、何かのトラウマ抱えた若者だったりと、まあ、色々だけど、ストーリーはホンマもう紋切り型。
旅する
↓
苦労する
↓
友情・愛情・絆が深まる/取り戻すor自由を獲得する
これだけ。これだけを延々と繰り返すところは、時代劇の人情話もハダシである。演歌かブルースか、時代劇かロードムービーか、ってトコだろう。
一方、日本にはこの名作がない。数も少ない。理由は簡単。狭いだけでなく、名所旧跡が多過ぎるからだ。風景がストーリーを喰っちゃう。どんなルートを辿っても観光地巡りになってしまうのだ。これでは「火曜サスペンス」や「土曜ワイド」と変わらん。さもなければ「水戸黄門」か「弥次喜多道中」である。所詮は、慢遊記の域を出ない。
え!?北海道を舞台にしろって!?
あきまっかいな。結局、道内ウロウロしてチョンだもの。原野の中でやったら、ただの行き倒れである。風景だけではダメなのだ。理由はもっと他にある。
多分、ロード第何章とかゆーて、チマチマジメジメした、四畳半フォークのなれの果てみたいな歌がヒットしてしまう、その心情性にロードムービー不毛の根はあるのだろう。
それは、たかが数週間のドサ回りが、「死のロード」なんて大袈裟にスポーツ新聞の見出しに載る、度量の小ささとも重なる。
誰か才能のある人、日本を舞台にしたロードムービーの傑作を、ここは一つ作って見せて欲しいと、心の底から、切に願う。
とはいえ、D・ホッパーさんもすっかり中年になって、バスクリンの風呂に入って嬉しそうにしとる。「イージーライダー」も遠くなりにけりだ。あの腹でハーレー乗った日にゃ、ヘルスエンジェルスやもんな、全く。
・・・・・・てなワケで、悪口・与太バナシ大会になってしまったが、この厄介な「ロード」、筆者はロードノベルの傑作を物色中であります、と牽強付会にオチを付けて終わることにいたしましょう。
お粗末さまでした。 |