「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
虹色の温泉

 今回は或いは、ひょっとしたら多少役に立つかな?とも思う。一体全体、温泉にはどんな色があるのか?についてである。まずは一覧表ににしてまとめてみた。ご覧頂きた。
 ◎はよく見かける、○はまあまあ、△は珍しい、×は多分無い、である。

透明

×

×

×

×

×

濁り

×

×

×

×


 では左上から順に具体的に書いて行きましょう。

●黒の透明
 黒とゆーよりは、コーヒーに緑茶を混ぜたような色。ヨウ素・臭素を含む泉質で、海沿いに多い。余談だが、東京都内23区の温泉の多くはこれ。

●黒の濁り
 何だかヘドロみたいな湯で、硫黄泉の一種になる。灰色であることも多い。これがドロドロの本当のヘドロ状になったものは、鉱泥湯と呼ばれて、見た目の不気味さとは大違い、美容効果抜群!しかし、滅多に無い。

●無色透明
 何のかんの言って、こいつが一番多い。実に様々な泉質がある。湯の花がフワフワ漂っているとより雰囲気が盛り上がるが、必ず有るとは限らない。湧出時には無色透明で、時間と共に色が付くことも多い。尚、金鉱山のある所には、高温で無色透明のアルカリ性単純泉が必ずと言って良い位にある。

●白の濁り
 フツー「温泉」と言やあ、これを想像しますな。でも実際はさほど多くはない。含まれる硫黄や石灰分で白くなる。信州白骨温泉などホント、牛乳みたいである。これが天プラの衣状にボテッとなったものは、白泥湯と呼ばれて大変珍しい。

●ピンクの透明
 無い無い。あったら驚くだろーな。

●ピンクの濁り
 ストロベリーシェークじゃあるまいし、おまへん。

●赤の透明
 そりゃ多分、イチゴシロップですぜ、旦那!

●赤の濁り
 これは意外に多い。有名なのはやはり、別府の「血の池地獄」だろうが実際は冷鉱泉に多い。いずれにせよしかし、鮮紅色ではなく朱褐色。冷鉱泉によくある泉質の、炭酸鉄泉も似たような色合いであることが多い。そうそう、有馬温泉も真っ赤っ赤。香寺の裏手にある中村温泉も真っ赤でトマトジュースを連想させる。

●オレンジの透明
 そりゃバスクリンだよっ!バ・ス・ク・リ・ン!

●オレンジの濁り
 「赤の濁り」と同系統で鮮やかなミカン色の温泉がたまーにある。時間の経過と共に褐色になって行くのが殆どだが、島根の木部谷温泉はビックリするようなオレンジだった。

 ・・・・・・と、ここまでで今週の紙面が尽きました。次週は黄色からです。



 早速始めましょう。黄色からです。

●黄色の透明
 単純硫黄泉と呼ばれるのにある。これまで幾つか紹介したと思うが、どちらかと言えば低温泉に多い。

●黄色の濁り
 硫黄の結晶は真っ黄色だが、温泉では見たことありません。

●緑色の透明
 酸性緑礬泉とゆー大層な名前の泉質が緑色で、北海道カムイワッカの湯の滝、同じく北海道恵山高原(旧:原田)温泉等々、活火山の火口近くの温泉で見かける。強烈な酸性で、殆どサンポールに浸かるよーなもんである。

●緑色の濁り
 真緑は見たことない。灰緑色だったりすることが多い。黒灰緑と何とも表現しにくい色もある。基本的には硫黄泉の状態による。

●青色の透明
 以前に書いた。正苦味泉とゆーマンガンを含む泉質。又、熱湯の硫黄泉でマリンブルーがある。それ以外はクールバスクリンでしょうな。

●青色の濁り
 多分無いと思う。ただしかし、理由は不明だが白い硫黄泉を写真に撮ると、ナゼか青みがかって写ります。

●紫色の透明
 カクテルじゃあるまいし、無い無い。

●紫色の濁り
 絶対に無い!と思います。

●茶色の透明
 恐らく無いでしょう。湧出してすぐの状態では在る。鉄サビの混じったよーなもんだ。流行らないホテル・古いマンションに多い・・・って違うってば。

●茶色の濁り
 これは、赤の濁りや橙の濁りと同じで、成分・時間経過で茶色になったりする。従って、茶褐色であることが多い。逆にものすごく珍しいのは黄土色で、寡聞にして北海道の二股ラヂウム温泉(ラ「ジ」ウムではありません。念の為)位しか例を見ない。

 ・・・・・・・・・・・・

 最後になったが、一日に何度も色の変わる温泉と、タイトルの虹色の温泉について。

 まず、一日で色の変わる温泉。これは実在する。信州志賀高原近くの五色温泉(豊中とはちゃいます)がそれで、見た限りでは、透明・黒・白・灰緑の4色を見て驚いた記憶がある。他にも伝承としては、5つじゃ7つじゃとあるけれど、それらの多くはマユツバな中でこんなに見事に変わるとはナカナカのもんだろうと思う。
 んでもって虹色の温泉。何とこれも実在する。新潟から北海道にかけての日本海沿岸に散在する。これでハハーンと気付かれた方は、きっと昔の中学校の地理に詳しい人だろう。いずれも油田の掘削で湧出した温泉で、湯の中に原油が含まれるため、虹色にデラデラ光るのだ。何のこっちゃない。
 しかし、近年はオイルフィルターで濾過しちゃうので、光ってるのは滅多に見ることが出来ない。それに第一、そんな湯に入ったら、カラダ全体石油臭くなっちゃってたまりませんわいな。

 と、まあオチがついたところで、終わらせて頂きます。お役に立てそうですか!?


2004補足
 白骨温泉は着色問題で大揺れに揺れている。しかし、「温泉と言やぁ白の濁り」とありがたがるアホが多いのがこの問題の根本のような気がする。

Original 1996 Add 2004
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