「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
イヤなら辞めろ!!


おれケッコー好きやったな、この人。

 ・・・・・・ってちょっと前、村上世彰が、株買い占められた阪神の社員がイヤがってるコトに対してそう答えてた。

 まことにもって至言である。イヤなら辞めりゃぁエエんだわ。企業において、「辞める権利」はたとえ社畜であれ最低限認められた権利なのだ。残りたい、けど不本意な資本家の下にいるのはイヤだ?あ゛〜!?ナニ寝ぼけてんねん?・・・・・・ならば戦うか辞めるか、なのである。

 もし、この嫌がった社員たちが私的に株の売買で財テクやってたりしたらおれは許さない。オマエらは「株」という回路を通じて資本家たろうとしてるのだよ。資本家は労働者から搾取するのが本来的にその責務なのだよ。でも自分の会社に欽チャン顔のオヤジが資本を注入するのは許せないってか!?典型的な総論賛成各論反対だな・・・・・・自己瞞着もはなはだしいってモンだ。

 会社勤めが楽しいかと問われれば楽しくはない。
 対価を伴う労働は「労役」に他ならず退屈だ。
 もはや組織の中での出世ゲームは自己実現の具にもならない。

 当然やん。

 ・・・・・・それが高度成長期に生まれ、総じてぬくぬくと育ち、世代として「挫折」も「敗北」もロクに味あわなかったおれ達が、多かれ少なかれ抱いている偽らざる感情なのではないか?とおれは思ってる。
 ま、その割におれは変にあきらめが悪くてしぶとく、執念深いところがあるのと、少年時代に叩き込まれた「ムダを省いて合理的に量をこなす方法論」みたいなものが、会社組織の中ではいい方に作用したみたいで、何とかそれなりにやって行けてる方だろう。でも底流には虚無がある。
 そりゃーもちろんツラいことが重なって辞めたいと思ったことは何度もあったし、思うように提案が進まぬときには同僚同士で愚痴もこぼすし、ヤケ酒を飲むこともある。思えばこの数年酒量は増えたかも(笑)。
 でも辞めなかった。ビコーズ、おれが辞めたいのは「会社員そのもの」であって、別にそれはこの会社に限ったことではないからだ。だからまぁ、あまり不当でない程度に糊口をしのげればどうでもよかった。

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 さて、匿名性・無各性の陰に隠れて、会社のことをあれこれネットの掲示板に書き散らす人が世の中たくさんいらっしゃる。2ちゃんとかにもスレが一杯立ってるのだが、おれにはどうしてもよく理解できない。正直、なんでそんなんに血道上げるんだろう?時間のムダやんけ、って思う。

 ネットの掲示板に書き込めるってコトは、近くにPCもあるんだろし、回線もつながってるんだろう。なら、何でもいいから作った方がいい。今はやりのブログなんて、設定ホント簡単でおれはビックリした。ぜひ試してみることをオススメする。お金も掛からないしね。
 え?ネタがない!?絶対に大丈夫!!ネットの世界に氾濫する個人主催のサイトやブログの90%・・・・・・いや、99%は「どぉでもいい些細なことをウダウダと書いてあるだけ」だからだ。おれがそうであるように(笑)。
 ・・・・・・ってーか、ウダウダした詰まらないことを緻密に書いた方がサイトは盛り上がったりする。盛り上がれば楽しい。楽しいとタブン、仕事のウサなんて忘れちゃうよ。いいカタルシスだ。
 ただ、持続するにはかなりの根気や粘り強さが必要なのも事実。実際、ゆるいしくだらないけどおもろいな〜、って思ってたお気に入りのサイトが、そのうち放置されたまんまになり、消滅することはやたらと多い。ちょっと悲しい。

 よく考えれば別にネットでなくたっていいんだな。何だっていい。

 ときに「レクリエーション」、っちゅーコトバをみなさんはご存知だろう。通常は「余暇活動」と訳され、仕事や勉強の息抜きに遊ぶことをさす。でもこの綴りをよく見てみると「Re−Creation」って書く。つまり「再創造」ってコトだ。何を創るのかっちゅうと、これが実は「労働の意欲」だったりして、興醒めなのだけど・・・・・・思えば昔の人は「労働の再生産」なんて言ったりしてたなぁ。どうにもこうにも労働第一で、余暇活動は副次的な添え物扱いなんだよね。
 でも「Create」って言葉がここにあるのは----言葉遊びに過ぎなくて申し訳ないのだが----いささか啓示的に思える。やっぱ「創る」ことこそが、大事なのだよ。巧拙を問うのは後からでいい。

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 取り敢えず言えるのは、掲示板でゴニョゴニョ言ったってアナタの状況は何も変わらないってコトだ。ちょっとは長く会社にいるので対処法についてあれこれ。

 まずはたいていの会社には「組合」ってーのがあるだろう。本当に不満があるなら、あそこに行ってみることだ。日本の労働組合の風化が叫ばれて久しいとはいえ、ちゃんと故あることならば対応してくれるはずだし、アオ臭いことで騒いでるだけなら諭してさえくれるだろう。ま、そぉしてナァナァにされてモミ消されることもあるかもしれないけど・・・・・・。
 でもこれは多数派組合の場合よ。2つ以上組合があって少数派組合に行った場合は、3段下と同じような結果をたどる場合があるので注意しようね〜♪

 でも小さい会社だと組合ないこともある。本当に非合法なことが相当程度おこなわれてるなら、そんなとき強い味方がいる。労働基準監督署、ってヤツだ。ちょっと大きな町にはだいたいある。彼らは労働法に関する部分で警察権を持ってるからもぉ強い強い。企業は大体において長いものには巻かれると決まっているので、ここがやってくると面白いようにヘーコラするはずだ。タレコミ電話だけで済むので金も掛からず手間も要らず、効果は絶大。
 でも、彼等は要は警察なんで絶えず「検挙率」ってーのがある。だから微罪ではイチイチ動いてくれないけどね。

 金とヒマがある人にはいきなり弁護士雇って訴訟、ってのもあるだろうが、そもそも金とヒマのあるような人が会社に対して不満を抱くような立場にあるとも思えないな(笑)。
 それにあらゆる業界には体制派と反体制派がいる。弁護士のの世界においても然り。企業側の方を別に、権力の走狗とか悪魔に魂を売り渡したとか言う気はない。生活の安寧のために良心を売り飛ばすのは誰だってやることだ。一方で反体制をネタにいい商売してるヤツ、いわゆる「ゴロ」もいれば、「人権」って名前のカルトの熱心な信者も一杯いるからね。
 それはともかく、ま〜訴訟に持ち込むとこうして双方の弁護士が入り乱れてややこしくなる。会社への不満程度でやるとめんどくさいだけだろうし、まず示談か何かに落とし込まれて最終的に大赤字。

 注意すべきは「プロの活動家に頼む」ってヤツだな。何ぢゃらユニオン、なんて名前で一杯あるけれど、彼等はプロ、すなわち職業的活動家であるからして、対価を取る。その代わりキッチリやってくれる。街宣車乗り付けてワーワー、ビラまき、ノボリ、団交要求・・・・・・どれもソツなくこなし、確実に会社からいい金額を引き出してくれる。
 そこまではいいのだが、ピンハネされる。けだしこれは当然である。彼らだって霞食って生きてるワケぢゃない。どれだけの経費が掛かったか考えれば、大半をカスリで取られても文句は言えまい。労働運動だって慈善事業ぢゃないのだ。しかし、本当にタイヘンなのはここからだ。
 ・・・・・・オルグされるのである。どこだって人手は欲しい。特に新左翼系は高齢化の波をモロにかぶってて、後継者難は伝統工芸の世界より厳しいのだ。それに、どんなに頑張ってもお上から手配の人相書きが回ることはあっても、人間国宝には決してなれないしねぇ。
 冗談めかして書いたけれど、このオルグは極めて巧妙かつ苛烈である。新興宗教の洗脳と大して変わらない。気づいたときには駅前のがなりたてる街宣車の周りでビラ配るハメになってたりしてな。

 不特定多数の大衆に訴える、って手もまぁ、ある。でも、マスコミにタレこんだって、よっぽど面白いネタでないとニュースバリューないからまず黙殺されますな。アナタの受けてる仕打ちが特別なものだと思ってるのはアナタだけだ。日本中に同じような事例はあふれかえってる。自費出版やそれこそ個人サイト・ブログでもいいけど、実名出さんと意味不明だし、かといって実名出すと会社から逆に提訴されるかも知れんし、世間から同意を得られるどころか、私怨系の吉外と見なされていぢられたり荒らされたり、祭りになって炎上したりもある。まぁシッカリした覚悟キメてシッカリした証拠集めせんとむつかしいだろう。

 ・・・・・・ところでこうした他力本願になる前に、問題に対してアナタは一度だって社内で声を上げたことはあるだろうか?吠えなくとも、唸り声くらいはあげたことがあるのだろうか?
 結局は自主規制して、発信すると危険分子とみなされて睨まれると思って、良い子のフリしてネコかぶってません?

 そんなことないって。企業は企業でアナタと同じくらい保身のカタマリなのだから。言われれば必ず動揺する。そりゃまぁたしかに工夫は必要だが、ちょっと上手にささやけば効果テキメンですよ。
 え!?自分の将来に傷がつく?ダイジョーブ。そもそも初めからアナタにそんな大層に傷つくほどの将来なんてありゃしない。おれにもないけど(笑)。ノーフューチャーフォーユー、ノーフューチャーフォーミーだ。
 コソコソやらずに正々堂々、感情に押し流されずに客観的に窮状を訴えられれば、間違いなく多少なりとも状況は変わる。あろうことか「案外骨のあるヤツやんけ!」って評価さえもされる。

 ウソぢゃないって。

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 声を上げる勇気も、駆け込む手間をいとわぬ覇気もなく、ウダウダと埒の明かない会社の悪口を掲示板に書き込むことで、辛くも日々のウサを晴らしてる人たちよ。ホンマ、そんなにイヤなんなら辞めりゃぁええんですわ。少子高齢化も進んでることだし、口に合うだの合わないだの生意気言わなきゃ勤め口はいくらでもある。

 あ!それがいっちゃん思い切り必要ってか!?
 
2006.01.21
----Asylum in Silence----秘湯 露天 混浴から野宿 キャンプ プログレ パンク オルタナ ノイズまで
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