「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
カン違いすんなよ!

 あまりこーゆーネタは振らないことにしてるし、ちょっと前に勝手な評価とを安易に書き散らすことに批判的な姿勢をあらわしたのだが、さすがにカチンと来たので、今日は少々文句系で書いてみよう。
 とは申せ、具体的な店の名前とかは書かない。もし万一読まれた方で「あ、あそこかな?」と気づいても黙っとくようにね♪

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 所用で東京郊外に出かけることになった。普段あまり行かないトコなんで、せっかくだから何か美味い店はないかいな、と事前にネットで探してみると、駅近くにラーメンチャンピオンだか何だかの始めた店があるのが見つかった。
 実はおれはあの番組って、あらゆるTVプログラムの中で最もくだらないものと思ってるのだけど、ま、話のタネにはいいかぁ〜、ってなキモチで立ち寄ってみることにしたのである。

 その店は、小さいけど、ラーメン屋にしてはコ洒落た外観である。ドアを開けると驚くほど店内は狭い。カウンターが6〜7人、テーブルが4人分しかなかった。
 行列ができるほどではないが、絶えず満席で客足は途絶えずに回ってる感じ、それなりに人気店で繁盛しているのだろう。

 入口で食券買って座らされたのは壁際のテーブル席だった。座るとなんとスペースが肩幅一杯しかない。椅子もマトモに引けない。それでもって水はセルサービスだ。どないしたらウォータークーラーのところまで取りに行けるっちゅーねん?箱抜けの奇術でもやれ、っちゅうんかい!?
 客席はかように狭いのだが、奥の厨房は意外に広い。妙な話である。後から思えば、この辺の姿勢にすべてが現れてたのかもしれない。

 太麺が自慢らしく「茹でるのに5〜6分かかります」の張り紙。おれは関西時代、「ラーメンの太いヤツなんて人間の食うモンちゃいまっせ〜!」くらいに思ってたが、こっち来て太麺の美味さが分かって来たような気がする。「家系」の各店や「大勝軒」「二郎」・・・・・・太い麺がよく合う味なんだわ。だから、ちょっと楽しみ。

 ・・・・・・それにしても10人ほどのキャパのわりにオーダーミスが多い。「**お持ちしました〜。」「え?大盛頼んだんでですけど。」「あっ!替え玉ですぐお持ちします〜。」とか、「小ライスです〜。」「あの、頼んでませんが・・・・・・」「それ、こっちぢゃないっすか〜。」みたいに、僅か10分たらずの間にそんなやり取りを数回聞いた。少し不安になる。

 そうこうする内にラーメンが運ばれてきた。

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 まず一目見て呆れた。

 スープがほとんどないのだ。延びたラーメン、あるいはつけ麺の麺だけ運ばれてきたのかと思ったぞ。

 おれは御代1,000円也の「全部入り」っちゅーのを頼んだのだが、具は分厚いチャーシューが4枚と味玉子とシナチク、そしてなぜだか茹でキャベツ。その上にはなんかジャムみたいな茶色いものが塗ってある。
 少しお高めとはいえ、見た目はこうしてそれなりにハデなのだが、肝心のスープが麺がひたる程度にしか入ってない・・・・・・まぁいいや、それだけ精魂込めて仕込んだ貴重なスープなんだろう。具や麺を押しのけてまずはスープを一口。

 おれはふたたび呆れた。

 トリガラやブタ中心に取ったと思われるとても濃いそれは、メチャクチャに「ぬるい」のだ。人肌くらいしかない。ぬる燗かよ!?

 言うまでもなく、動物性のスープは脂やゼラチン質の融点温度が高いので、温度が低いとベタベタ・ニチャニチャして舌にまとわりつくし、喉ごしが悪くなる。オマケに異常に濃いんで、暖めてない濃縮白湯スープを飲んだらこんな感じになるのかもしれない。ともあれ、ラーメンでぬるいスープなんて美味い不味い言う以前の問題だわ。論外だ。

 続いて麺。自家製麺みたいだが、ま、可もなく不可もなく、ですか。チャーシューは、それだけ取り上げるならナカナカ柔らかく美味いのだが、どうにもちょびっとしか入ってないスープの味がくどくてくどくてアンバランス。シナチクもこの「コンデンススープ」の前には存在感ゼロ。オマケに茹でキャベツが難物。何で、ここにコイツがいるんだよ!?みたいな奇妙な感じ。でもってその上に塗られてあった茶色いジャムみたいなのが強烈にサカナ臭く、スープに溶かしても染み付いてるのがたまらない。何だか液体濃縮ダシを間違って口に入れたような不快感だけが残る。あまつさえ刻んだ生タマネギが申し訳程度に入ってるが、これまたものすごくミスマッチ。

 つまり、全てがバラバラ。まとまり、とか統一感とはまったく無縁。なんかあちこちの有名店のいいところや特徴を節操なく寄せ集めただけのような感じで、正直、ちっとも美味くなかった。店を出て歩いてるうちに少し気分が悪くなるほどにくどかった。

 これがラーメンチャンピオンのたどりついた味だとしたら、とんでもない見当違いやど。

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 しかしいくらバッタモン番組とはいえ仮にもそのチャンピオンになったくらいだから、多分、店主はとてもラーメンが好きなのだろう。そして普段から研究熱心で、研鑽と精進を重ねて理想のラーメンを作り上げようとしているだろう。その気概まで否定しよう、って気はサラサラない。

 でもな〜、身動きができないような客席にしといて水はセルフサービスで、んでもって厨房は広くて、オーダーミス連発して、人肌のスープを出すことは、そもそも「商売」になってへんやんか。店として対価を取って始めた以上、そこはアンタの実験室ぢゃない、ってコトだ。
 コテコテの濃縮ダシを作る前に、自家製麺がなんだとウンチク垂れる前に、それらを何とかしろ、と言いたい。

 肝心のラーメンだって、積み上げてるだけぢゃん。まさにスープにそれが如実に現れている。あれもこれもドンドン突っ込むのは自由だ。いいけど、結果的に出来上がったのが「業務用濃縮ダシ」では話にならない。それは足し算しかできないバカのやることだろう。共産主義ぢゃないんだからさぁ、原料をぶち込むほど美味いものができる、なんてありえないんだよ。ちったぁ引き算を覚えろよ、って言いたなるで、ホンマ。

 エエか?金取って自分の世界観の押し売りをするににゃぁ、その前に勉強せんならんコトがラーメン以外に山ほどあるんやぞ!思い上がって勘違いすんなよ!・・・・・・と今日は一気に悪口まくし立てて、溜飲下げさしてもらいました。チャンチャン。

2005.11.14
----Asylum in Silence----秘湯 露天 混浴から野宿 キャンプ プログレ パンク オルタナ ノイズまで
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