「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
神なき国にて憤慨

 唐突だが、おれは「自分探し」ってコトバが大っきらいだ。ついでに言うと「癒し」ってコトバにも虫酸が走る。甘ったれでワガママで筋道が通ってなくて個人主義のカタマリなのを、耳触りよく置き換えただけなのが明らかだからだ。しかし、そういうことをヘーキでほざく若い衆が多いらしい。試しにWEBで「自分探し」ってキーワードで検索かけてみな。山のようにヒットする。
 ちょっとやってみて「イ゛〜〜〜ッ゛!!」ってなりましたわ。

 「自分探し」と言えば聞こえはいいが、ホントおれには、自分の無能さ・何もなさに眼をふさいだ「ない物ねだり」としか思えない。

 なおかつ、かかる連中は、大人しくコタツにでも入って自分とやらを探してりゃいいものを、旅に出たりなんかするからよけい始末に負えない。

 ・・・・・・ともあれ、そんなアホでフワフワ・フニャフニャした「自分探しの旅の若者」の典型例と思われる、コーダショーセー君とかゆう無為徒食のプータローが、無謀にも何をトチ狂ったか、これだけ行くな行くなと言われてるイラクにロクな準備もしないままノコノコ出かけて行って、そうしてキッチリ誘拐された挙句、殺されて首を切り落とされたそうである。別段、いい気味とまでは思わないが、当たり前の結果である。
 テレビで誘拐犯の撮ったビデオが流れていた。弱々しい声ではあったが、この期に及んでなおノー天気な彼は、「日本に帰りたいですぅ〜」などと太平楽を並べていた。心底こいつはバカだなぁ、とおれは少々感心してしまった。

 電車の吊広告に目をやると、彼の無鉄砲はあれこれ週刊誌で取り上げられている。ついでに本屋で立ち読み。どれもこれも冥福を祈りつつも、かなり内容は辛辣なものばかりだ。当然だわな。何々?友人曰く「母親思いの優しい若者」だと?言うに事欠いて何を言い出すやら。類友なのか何なのか、まぁツレの連中もユルいユルい(笑)。
 ヴォケッッ!!母親を気遣うんなら、大人しゅう鉄工所でも板金工場でも就職して、月々家に金でも入れてろ、っちゅーねん。それでもやりたきゃ「自分探し」とやらはできまっせ〜♪・・・・・・徒労だろうけど。
 おまはんの脈絡のない無謀のせいで、おかあはんはバカ息子の命の心配で、だけでは無論なく、国まで巻き込んだ大騒動に発展して各方面にメーワクかけてることで憔悴しきってはったで。

 「優しい若者」って、あーた、単に意志薄弱で、自分の持ってる薄っぺらな道徳の教科書的良識が世界中で通用すると信じてるようなおめでたいヤツのことかい?って思う。単なるヘラヘラした男にしか思えんがのう。
 おれはこのマヌケなニーチャンと一面識もないし、こーゆー手合いとウダウダ話しても間違いなく時間の無駄だし、関わりにもなりたくもない。しかしマトモに税金払ってる者として、こんなヤツの命を救うのにケッコーな税金が使われたのは、要らぬ高速道路を作るのに税金が使われるのと同じくらいハラが立つ。

 この前イラクでふんづかまった、バカの3人衆にもおれはとてもムカついた。戦後民主主義の生んだ奇形児だ。特に「自分がイケてないのをイラクの民衆に癒されに行ったような」デブのオンナと、ミョーに三白眼で筋金入りの代々木系の家に育ったようなヤセたガキ、あいつ等こそむしろ殺されるべきだったようにも思うが、いずれにせよ今度のショーセー君のハッピーマンぶりはヤツ達以上、超ド級だな。

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 どうしようもなくすでに「自分」はいる。それは恐らくは「自分探し」の「自分」とは異なる・・・・・・まずそのことを阿呆な若者は知るべきだ。そして自分がいて、そいつは「自分探し」なんてコトバにアテられる程度の低脳であることを知り、さらに、自分の目を通して世界を見る以上、そこが家の茶の間であれ、退屈でクソな職場であれ、戦火のイラクであれ、そこで自分を見つけたと思ったとしても、それは自家中毒の錯覚に過ぎない、ってことを徹頭徹尾思い知るべきだ。

 自分なんて見つかるものか!自分が自分に見つかってたまるか!?おれは「私」をテーマにこのホームページをやってくと書いたけれど、これっぽっちも自分を探す気なんてない。

 もう一度書く。どうしようもなくすでに「自分」はいる。たしかにそれはちょっと悲しいし、寂しい気がするけど、動かしがたい事実だ。


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 漫才ブームの当時、まだデビューしたてでつなぎ着て「ツッパリ漫才」で売り出してた紳介・竜介を、おれは高校の近くにあった大阪薬科大学の学園祭で見た。竜介はその頃すでにもう「パシリ」のオーラ漂うなさけない雰囲気があったが、紳介はそのまくし立てるしゃべくり・毒気において、将来性を感じさせる才気に溢れていた。

 ・・・・・・その島田紳介が、同じ吉本興業社内の別のタレントの女性マネージャーをボッコンボッコンにして訴えられたそうである。ま、大体コトの顛末のソーゾーはつく。多分ドツき回されたのは高学歴でクソ生意気な勘違いオバハンだろう。吉本はマネージャーに超高学歴な連中を置くって噂を聞いたことがあるし。ま、でも、オンナに手を上げるのはイカンわな。これはちゃんと謝らんとイカン。

 それでも、や。

 おれはこのオバハンが公に訴え出たことは、マネージャーとしてはとんでもない思い上がり、断然間違ってると思う。失格やからすぐこの業界から足洗え。それが訴え出たケジメやで。
 こんなことくらいで訴えてて芸人のマネージャーが勤まるかい!?ショージキ、カタワにもならんと命あっただけマシやと思とけドアホ!!と、実に不愉快。

 あのね〜、芸人ちゅうのは、それが一流であればあるほど端的にゆうて「この世の人」やったらアカンねん。もっと極論すると治外法権な人であるべきやねん。そして、紳介は一流やわ。だって売れてるもん。売れるがすべてなんや。芸人っちゅーのは、タレントもそうだが、売れてナンボ、視聴率が稼げたらそれでええのであって、あとはムチャクチャでもかまわんのですわ。
 特に「笑い」!この前も書いたがおれは「笑い」という芸を、素晴らしいものだと思ってる。そしてそれを生業にして頂点に立ったものが、何でしょーもない常識の世界で生きなアカンのやとも思う。
 しかし悲しいことに、春団二の時代ならともかく、今はシャレの許されにくい息苦しい世界であるのも事実だ。メチャクチャなだけでは一流芸人も生きていけない。やっさんの末路みたいになる。

 ここでマネージャーが必要になってくる。マネージャーが単にスケジュールの調整やブッキング、出演料の交渉をするだけの事務方と思ったら大間違い。自分の仕事の認識がそんな程度のマネージャーなら、とっとと業界を去るか、アカ抜けしないB級タレントに一生くっついてればよろし。

 賢明な方ならすでにお分かりだろう。一流芸人のマネージャーの使命とは、この世ならぬ存在である(それも荒ぶる)芸人とこの世を結ぶコトに尽きるのだ。つまり霊媒や神主、巫女、シャーマンのような存在でなくてはならないのである。オラクルを伝えるデルフォイの巫女みたいなもんで、生半可な覚悟でなれまっかいな。ものすごい使命でっせ、これは。おれにはまずムリだな。
 大体この世ならぬ存在っちゅーのは、その極めて限定された能力において非常にありがたいけれど、大方の部分では人間に災厄をもたらしたりするものなのだ。それに上手く仕え、最大限いい方向に能力を発揮していただく、それがマネージャーであろう。

 このオバハンは、二重の間違いを犯している。まず第一に自分の仕事の何たるかがサッパリ分かってない。二番目にヨソの神さん怒らせといて祟られて、わがの神さんにすがらず、異教たる「お寺」にお払いに行くようなマネをしやがった。
 これをマネージャー失格と言わずして何と言おう。

 もう一つ腹立たしいことがある。
 肝心の紳介のマネージャーは何してたんや!っちゅーコトだ。どんなヤツかは知らんけど、こいつの分かってなさもスゴいわ。

 ええか?わがが神主やら巫女やってる神社の神さんが、他んトコからきた物の道理の分かってない馬鹿な巫女に愚弄されたらどうする?で、神さんが怒り出したらどうする?命を賭けてでも馬鹿とは戦い、神さんにはコトを穏便に収めていただくように哀願するでしょ?畏み〜畏み〜、ってさ。

 マネージャーとは、労働対価以上の犠牲的精神までが求められる、今時珍しい聖職なのである。

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 他にもハラ立ちの種は一杯あるが、あんまし書くと血圧が上がりそうなので、今日はここまで。

2004.11.05

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