「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
ゲゲッ!・・・・・・・山で死「ね」ということ、外伝


御在所岳逆ギレババァの成れの果て・・・・・・ぢゃなかったな、近影(笑)。

 ・・・・・・兵庫県って、伝統的に醸造とか発酵が盛んなトコなんだろうな〜、って思う。

 まず挙げられるのが日本酒。「灘の生一本」で知られる日本酒、月桂冠を筆頭に黒松白鹿、菊正宗、白鶴、沢の鶴、大関、剣菱、白鷹、日本盛、少し離れて伊丹の白雪・・・・・・ね!?想い出すままにちょっろっと並べただけでも日本酒のメジャーブランドがズラズラ並んでる(ちなみに月桂冠は伏見の酒でもあるが)。今は地酒ブームなもんで大手メーカーっちゅうだけで何だか粗製濫造に思われちゃって、どうにも三文安く見られがちなんだけど、この辺がバッキバキに本気出したらムチャクチャすごい酒が造れるのは間違いなかろう。
 例えば菊正宗の銀パック。アレ、一升わずか千円ほどの安酒なんだけど、ぢゃぁこのクオリティと恐らくは付け香とは申せフルーティーな香りをこの値段でこれだけ安定的かつ大量に地方の小さな蔵が出せるんか?っちゅうたら、奇蹟のように酵母の突然変異でも起こるわ、ジャンボ宝くじ当たるわ、無担保で融資されるわってなコトがない限りは絶対ムリと断言できる。たったの千円でこれだから、本当にスゴい。ブランドのプレミアム性のためにも1万円クラスのをもっと造ればエエのにねぇ・・・・・・まぁおらぁ買わん、もとい買えんけどな(笑)。

 後はヤッパシ八ッ橋、醤油やろうね。野田のキッコーマン、銚子のヤマサと並ぶ醤油大手、ヒガシマルの本拠地は龍野で、揖保川の川っぺりに巨大工場があったりする。関東の濃口に対してこちらは淡口醤油っちゅうやっちゃね。「薄口」ちゃうんやね、「淡口」、これで「うすくち」と読ませるって恥ずかしながら知らなんだ。ただ、今では寡占化が進んだのと淡口醤油自体の消費減少もあって、かつては30以上もあったという蔵も10くらいしか残ってないのはいささか残念だけど、それでもマルテンとか二次加工に注力してるブンセンなんかは関西地盤とは申せ、けっこう大きいトコもある。それと特筆すべきは「オウギイチ」のブランド名で売られる末広醤油かな?ここのはマジで美味い。この地に引っ越して来てから豆腐やお浸しの懸け醤油はコレばっかしになったもん。ちょっと高いけど、少し掛けるだけで十分なんで意外に得かも知れない。他にも矢木醤油とか小さい蔵だけど良いモノ作ってると思う。
 申し添えると淡口醤油って、色が薄いから中身も薄いって思ってる人がひじょうに多い。訳知り顔で「あんなん、塩ばっかしや!」っちゅうてるアホを実際に見たこともある。ほたら白醤油はどぉなんねん!?塩水か?ってね。誤解も甚だしい。別に肩持つ気はないとは申せ、淡口には淡口のチャンとしっかりした複雑玄妙な旨味はある。色が濃ければ味も濃い、なんてバカな思い込みに過ぎない。

 ともあれ、地場産業があるってのはエエこっちゃと思うし、そんな土地柄もあってか発酵食品全般に対して意識高い人が多いような気がする。それもまぁ悪いコトではなかろう。

 発酵って別に酒と醤油だけの専売特許ではない。納豆、味噌、酢、味醂、漬物、パン、ヨーグルト/チーズ・・・・・・どれも肉眼では見えない小さな菌の働きによってそれぞれ独特の味が出ているのだ。驚くべきは魚の糠漬け、「へしこ」ってんだけど、あの猛毒で名高いトラフグの肝もこうして漬け込んで3年くらいするとスッカリ毒が抜けてしまうんだそうな。今回、大地震に見舞われた能登の名物にたしかあったハズだ。ちなみに兵庫県、酒と醤油以外では大きな会社あんまし無いかな。あ!日之出みりんはあれ、キング醸造っちゅうて稲美にあんだけどね。
 菌ってホンマにスゴいやっちゃなぁ〜、って思うし、そんなのを利用した人間の知恵と食への情熱もナカナカ大したモンだ。そして発酵食品はおしなべてどれも美味い・・・・・・ま、シュールストレミングやクサヤなんてハードル高いのもあるけどさ。どのような化学的メカニズムが働いてるのかは分かんないけども、発酵によって元の食材そのままでは絶対に引き出せなかったであろう独得の味や香りが生まれているのは紛れもない事実だ。おれ自身も酒はもちろん、発酵系の食品はどれも大好きだ。朝は大体、味噌汁・納豆は欠かさないし、ヨーグルトもけっこうなペースで大きなパックのを消費してる。和の味付けが多いから、料理に醤油・酒・味醂は調理場の足許の抽斗のいっちゃん手前にある。一般家庭で料理用に濃口/淡口、掛け醤油には別に濃口/淡口使い分けてるトコなんてそんな多くないだろう。味噌も常時数種類を使い分けてたりする。醸造はもちろん、やはり発酵食品って美味いのだ。

 ・・・・・・そこまではおれも大いに認める。しかし問題と本日のネタはそっから先だ。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 美味いを通り越して、「発酵食品は健康に良い!」どころか「発酵食品で病気が治る!」なんちゅうのを布教して回る困ったチャンがいるのである。最近流行りのコトバで言うところの「エビデンス」なんてロクスッポ無いままに、妄信だか狂信だか知らないけどファナティックに説きまくるバカがいたりするのである。いやホンマ、マジで宗教入っとるね。統計取ったワケぢゃないけど何となく女性に多い気がする。やはりアレっすかねぇ?子供にはちょっとでもカラダに良いモノ食べさせたいって母心が暴走しちゃったんすかねぇ?・・・・・・って気持ちは分からないでもないが、しかしどしたって癇に障るし、やっぱし社会にとってもこのような似非科学的な主義主張が垂れ流されるのは決して有益なことではないだろう。だってほぼほぼデマなんだもん。
 そもそも論で「発酵」って何か?っちゅうと、実は「腐敗」とメカニズムとしては何も変わらない。前者が人間の役に立ち、後者が人間の役に立たない・・・・・・実はそれだけの違いに過ぎないんだけど、発酵推しなクセにそんな基本的なことも分かってないまま何だか確信に満ちて目を輝かせて語られてる方が多過ぎる。

 一つ有名なエピソードを挙げておこう。ブルガリア人はヨーグルトを大量に食べてるから長寿だ、ってハナシ。みなさんも一度は聞いたことあるっしょ!?アレ、20世紀の初頭にメチニコフってロシア人の医者が発表したんだけど、実は全くの間違いだったりする。実はその後の大規模な調査によって、ヨーグルト食べてるからって特段寿命に有意な差は無いってコトが判明してるのだ。メチニコフ自身も提唱した手前もあってか固くこれを信奉し、来る日も来る日もドンブリ鉢に入った大量のヨーグルトを食べ続けてたそうだが、享年はたしか70くらいとあんまし他の年寄りと変わらない寿命だった。

 ・・・・・・って実はおれ、しばらく前に発酵絡みでのちょっとしたハナシがあって、上に述べたようなんだったら困るなぁ〜、って色々リサーチしてたんっすよ。んでもって最近のネットはほれ、失礼なコトに自分の端末の所在地情報から勝手に近くの情報拾って来たりしますやん。
 そしたらアータ!恐ろしいコトに一人のオバハンに行き当たってしまったのだ。いや、最初はおれも気付きませんでしたよ。だって今は平仮名で名乗ってるし、苗字変わってたし、元の苗字も名前の漢字もとても珍しかったんでそっちの字面で頭にインプットされてたし。

 みなさんは覚えておいでだろうか?もう7〜8年前になるだろうか、観光地だけど意外なまでに峻険な三重の御在所岳にロクな準備も登山届もせず、思い付きで一人でプラ〜ッと登ってキッチリ遭難して、幸い救助されたにも拘らず警察で説教されたことに逆ギレして、ディスりまくりの長文ブログをアップして大炎上した岐阜在住のアホなオバハンがいたことを。
 そのあまりの突き抜けたヒドさに、コイツはそのまま遭難して死んでた方が良かったんちゃうか!?っておれも思ったくらいに性悪で身勝手で思い上がったオバハンだった。そんなんで、「山で死『ね』ということ」っちゅうタイトルで駄文にも纏めたことがある。

 何とまぁコイツがですよ、旦那から離縁されでもしたか(・・・・・・って、苗字変わってるから多分マジで離婚したんだろうな〜)、実家がなんかどうか知らんが、あろうことかいつの間にやら岐阜から姫路に引っ越して、今はそこを拠点に発酵に関する上のようなデマを発信・・・・・・ちゃうな、撒き散らかしまくってるのである。「バカは死ななきゃ治らない」とはよく言ったモンヨ、もといモンだ。
 まぁ、当時30代後半くらいだったから今ははもぉ40も半ばを過ぎてるだろう。旦那と別れて何とか食ってかなくちゃならん、っちゅう事情があるんだろうとは思う。身から出た錆とは申せ、気の毒は気の毒だ。
 それなら黙って、弁当工場の盛り付けとかピッキングセンターの仕分けでもやってりゃいいのに、どうもこのオバハン、自分は一旗揚げられるだけの優れた資質が備わってると自惚れてるみたいで、その挙句がムチャクチャに胡散臭い発酵とか自然食ビジネスらしい。これまた胡散臭い「醸せ師」なる民間資格を麗々しく掲げてたりもする。マジメにイチから腰据えて勉強して栄養士でも取れ、っちゅうねん。ホンマやるコトなすコト、スカしてるワリにその実態は単なる一知半解・一攫千金の近道行動ばっかしやな。

 言ってることはここまで書いたのがヒントになるんで、検索掛ければすぐ見つかるだろうし、PV増えて本人も助かるだろうから、是非とも笑い飛ばしながらコイツのYouTubeで観たってください。その内容はあまりにアホ過ぎてマトモに取り上げる気にもならない。こんな与太に引っ掛かるのはよほどの情弱だけだろうとは思うが、ターゲットの主婦層は得てしてそんなんばっかしだからそれなりに釣れてるんだろう。しっかしそれにしてもさぁ、動画の向こうのアンタ!何だか目ぇ据わっててコワいっすよ!ちょっと狂って来てんとちゃいまっか?発酵食は強欲には効きませんか?亜鉛や重曹、クエン酸は功名心には効きませんか?(笑)

 ともあれここにプンプン漂うのは、馥郁たる発酵の香りではなく、異様なまでの腐臭だ。やはりあの山で死んどきゃ良かったんだ・・・・・・いやホンマ、マジでおらぁ思うぞ。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 また何週間か経った。

 おれが絡むかもしれなかった発酵ネタのハナシは、しばらくして流れたって聞かされた。持ちかけてきた方は申し訳なさそうにしておられたけど、取り敢えずおれは、このキチガイに関わりになるやもしれんリスクが何となく下がったような気がして、少しばかり胸を撫で下ろしたのだった。

2024.03.09

----Asylum in Silence----秘湯 露天 混浴から野宿 キャンプ プログレ パンク オルタナ ノイズまで
Copyright(C) REWSPROV All Rights Reserved