考えたくない動物・・・・・・チコちゃんには永遠に叱られ続ける |

だからチコちゃんは永遠の5歳で子供なのだ。
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https://www.takaratomy-arts.co.jp/より
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みなさんも「ヒト」って種が学名で「ホモ・サピエンス」って名付けられてるコトはご存じだろう。一般的には「考える人」って言われてるが、正しくは「知恵のある人」らしい。まぁ同じようなコトゆうとるな。或いは、パスカルの「パンセ」にある有名なコトバ、「考える葦」ってのが似たような文脈にあるのも間違いなかろう。
もちろん、これらの言説を否定するツモリは毛頭ない。そこまでおらぁ大それた人間ぢゃぁござんせんってば、パタパタ。
でもさぁ〜・・・・・・ってかなり思うのだ。それってホンマなん!?逆ちゃうのん!?って。
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最初に気付いたのはもぉ随分昔、パートの一人がある日、「マニュアルは無いんですか?」みたいなことを言って来た時だった。その人はまぁ所謂「入力補助」ってのをやってくれてたんだけど、当時は画面側での入力制御にも限りがあって、打ちながらある程度あれこれ考えなくちゃならないコトがあちこちにあったのだ。
------う〜ん、ない・・・・・・ってか、申し訳ないけど作ってない。
------(かなり不満そうに)何でですか?
------だってまだあちこちまだ弄りながらやってっから固定的なマニュアルの作りようないし、それにそこまで必要ちゃうやん。
------示してくれれば言われた通りにやりますから、ワタシ。
------いや、そこまで厳格に全部示せればそもそも人力で入力なんてしてないよ。機械にやらせるわ。
------!?
------この仕事、ケース・バイ・ケースなことも多々あるしさぁ、分からんかったらナンボでも訊いてよ。判断するから。
------・・・・・・。
おらぁてっきりこの発言が、「間違えたコトで叱られるのはヤダ」みたいな一種の保身から出たものだとばかり思ってたんだけど、しばらく観察してると、どうやらそればっかしぢゃないみたいなのである。平たく言うと彼女は、何も考えずに淡々と見た通り、あるいは極端に単純化されたルール程度で入力したかったのだ。事務作業に頭を使いたくない、っちゅうこっちゃね。理由だのリスクだのなんだのウ〜ンって考え込むと、たちまちそこでテンポやリズムが崩れる・・・・・・それが気に食わない、と。まぁ、気持ちは分かる。ただ、彼女の基礎能力は低いどころかけっこう高い方で、そんなアタマ真っ白にして手だけ動かすコトを求めて来るのはいささか意外な気がしたことを申し添えて置こう。
・・・・・・ともあれ1コードのグルーヴ感のみ追及して、延々とファンクでも演奏させたらスゴく向いてるかも知れないな、こぉゆう人は。
一時期、「マニュアル人間」とか言われたタイプって、大体みんな同じような思考回路なんだろうな。マニュアルによって自己の責任回避をしたいだけではない。実はあ〜でもないこ〜でもないって考えて判断するのがとにかくめんどくさいのである・・・・・・って、そこまで必死で手を動かさなくても片付けられる程度の作業量しかお願いしてないんだけどねぇ。
しかし、そんな彼等・彼女等の求めるところのマニュアルがどんなものか知ると、いささかゾッとする。ホント、操作の手順「だけ」が書かれてるモノが欲しいらしい。「これはこぉゆう理由だからこぉなんだよ」って説明と、その結果の納得や了解がないと、おらぁ何やるにしてもとても不安でキモチ悪いんだけど、マニュアルを求める人はどうやらそこについてはあまり気にしてない・・・・・・ってかめんどくさい。
そんなんだから新人が入っての引き継ぎなんて、横着して本人たちだけでやらせようなんてしたらエラいことになる。大体こんなカンジのやり取りで。
------そう、そしたら[ENTER]押して。
------はい(・・・・・・な〜んて、殊勝に手帳に付けたりなんかしてる)。
------それでそこのボタンを[クリック]
------はい。
------で、最後に[はい]。分かった?
・・・・・・そこにあるのはひたすら手順のみ、理由や意味が語られることは一切ない。これって無意味な数列を丸暗記するのに等しく、それはそれでひじょうに苦痛ではないかと思うのだけど、案外それでスーッと行ってしまうのがムチャクチャ怖い。だから当然、それらのステップのプライオリティみたいなんもない。そしてその結果、キモの部分スッ飛ばしてまるでアホみたいなチョンボやらかしたりする。まんま「人真似は猿の行水」を地で行くパターンだ。同様の経験をお持ちの方は絶対沢山いることだろう。
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ちょっと上とは違うが、自分ちでもあった。
一昨年だか、久し振りに布団乾燥機っちゅうのを買った。住まう段々とマンションも規制がうるさくなって、布団のベランダ干しがままならなくなって来たからだ。信じられないコトに布団挟みを咬まさずにそのまま手すりに掛けて、それで落っことした家とかいるらしい。敷布団とかやったらホンマ兇器やで。
それで仕方なく扇形に開く専用の布団干しのフレームみたいなん買って、それに引っ掛けてたんだけど、やはりベランダの内側だとスッキリ日が当たらないし、どうもグニャグニャしてて使いにくい、ってヨメがゆうんで買ったのだ。
何十年ぶりかで買った乾燥機は随分進化してた。昔は何か空気で膨らむ風船みたいなんを掛け敷きの間に挟む方式だったのが、今は二又に分かれた延長式のパイプみたいなんで熱風を送り込む。音も随分静かになった。もぉヨメは大絶賛。そこまでホンマにやる必要あるのか分かんないけど、今では午前中の日課にしてるらしい。長雨の時とかやはりありがたみがある。
しかし、しばらくする内にどうも乾き具合にバラ付きがけっこう激しいことに気付いたのだった。やはりあんなパイプぢゃぁ均一に風を拡散するのに限界あるんかなぁ?って思ってたんだが、たまたま平日休みの日に見てると、そりゃバラ付きも出るハズだ。パイプを引っ張って伸ばしてない。
------うぁ!?パイプそのままやん。そんなんやったら半分しか乾けへんやろ?
------ん〜、そやったっけ?
------見たら分かるやん。
------あぁ〜・・・・・・でも、風は出てるやん。
------そんな中途半端やったらムダちゃうん?
------やらんよりはマシやろ?毎日やってんねんし。
------・・・・・・。
行為の意義や目的なんてどぉでも良いらしい。続けるコトに意味がある、ってジムとかフィットネスのエクササイズかよ。
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いささかアイロニカルに書いちゃったんだけど、冷静に考えたら案外これって、レベル低いながらもそれなりに人間の創意工夫の為せるワザなのではないか?って気もする。もっと言えば、人は成長に伴って考えたくなくなり、それで現代社会はある意味成り立ってる・・・・・・と。
たしかにあらゆるこの世の物事(・・・・・・森羅万象と言っても良いだろう)については、合理性の有無はともかく、全て理由や意味がある。でもだからって何でもかんでもそれを考え、学び、十分に理解した上で行動せにゃならん、、ってなったら、おれたちゃ身動き取れないどころか人間生活自体成り立たなくなってしまう。いや、その前に気が狂うかもしれない・・・・・・「何で歩行者は右側通行なのか?」「何でクルマは走るのか?」「何で自転車のチェーンは右で、バイクは左なのか?」「何でこんなにサラリーマンが多いのか?」「何でパソコンは動くのか?」etcetc、∞!・・・・・・いやマジ、やっとれんっしょ?
どうやら人には合理性や矛盾の有無にかかわらず、行動をとにかく無条件に受容したりルーチン化するコトで余分な知恵を使わないでおこう、みたいな欲求が本能的にかなり強くあるんぢゃないか?ってコトだ。アタマも使えばカロリー消費するし、省エネやね・・・・・・と。
「定型化欲求」とでも呼べば良いかも知れない。呑み屋で「取り敢えずビール」なんかもまぁ似たようなモンだな。スティーブ・ジョブズで有名な「私服の制服化」にしたって、それがジョブズだったから美談にもクールなエピソードにもなってるだけで、実態は同じハナシだ。いや、御大層な省力・省人化なんて〜のも機械使ってややこしくやってるっちゅうだけで、根っ子のトコでは実はとても近いトコにあるのかも知れない。
如何だろう?おれのこの「人間は考えたくない動物」である、って仮説・・・・・・そらまぁ、「考えようにも考えられないよりは知的」なんだろうが。だから人はチコちゃんに永遠に叱られ続けるのだ。 |

このイラストはナカナカ秀逸だなぁ〜、って気がしました。
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https://ockhamsbeard.wordpress.com/より
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2023.03.26 |
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