「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
令和元年の終わりに


本物は実は壇ノ浦の戦いの時に海に沈んだと言われる。

 それにしても天災の多い一年だったなぁ〜、って思う。

 それも水害系が異様なまでに多かった。ザッと振り返ってみると、夏の初めくらいにちょっと大きめの地震が山形の日本海側であったくらいで、後は地震も噴火も目立った動きがなかったのはありがたい限りだなんだけど、その一方で夏には佐賀あたりを中心に集中豪雨があって、これはまぁ西日本のどこかで毎年あるような大雨なんかなぁ〜、くらいに思ってたら、秋以降に15号・19号というあまり間を置かずに襲来した台風に加え、台風ではないけど10.25豪雨がダメ押しのようにあって、中部から東日本の各地がこれまでにないくらい大規模な風水害に遭った。
 象徴的なのは出来たばかりの北陸新幹線の新しい車両が10編成120両だったっけ?全部水に浸かってオジャン。保険入ってるから埋め合わせは出来るだろうが、1台3億円で360億円の損失っちゅうからエラい豪儀なハナシだ。ダイヤがどぉこぉとか後先考えず、本線上に並べてトンネルの中にでも避難させれば良かったのに。上下線どっちも使えば1.5kmほどだから何とかなったろう。あとは千葉の市原の打ちっ放しのゴルフ練習場の倒壊も忘れられんね。タマランですよ、ホンマ。あんな鉄柱がティッ!って家をチョップするんだから。オマケにワケの分からん三流弁護士がいきなり登場して、経営者にヘンな入れ知恵して、賠償金は払いませんとか言い出して事態をややこしゅうするし。
 それ以外に屋根が取れた、埋まった、浸かった、壊れた、流されたはもぉ枚挙に暇がない。そんなんで顔面蒼白になってるのが損害保険業界で、支払総額が4兆円とか言われてる。まぁ、保険なんてそもそもの歴史がパブでの賭博から始まったんだから、グズグズ泣き言並べず、賭けに負けたんだからとっとと払え、っちゅうこっちゃけどね。これまで散々エリート面して甘い汁吸って来たんだしさ。ナ〜ニが保険料値上げぢゃ、ボケ!下流生活に堕ちてみろ!

 ともあれホント、水害は後がやらしい。泥水に浸かるとなんもかんも全てパーになってしまって、もぉ捨てるしかない。知り合いにも実家が水没したのがいるが、ホント、想い出も感傷もへったくれも言っとれん状況で、出来る限り早く全部捨ててしまわないと、とにかく臭いわ黴は生えるわ湿っぽいわで、キショク悪くてどぉにもならんとのコトだった。
 洪水の水嵩の上昇速度は、想像を遥かに超えて速いとのコトだ。その実家が浸かった彼も言ってた。ご両親はまさかそんな速さでそんな高さにまで水が来るとは思ってもいなかったそうな。普段の状況を知ってることが逆に正常化バイアスになってしまって行動が遅れてしまうのである。

 マンの悪いことに、かくして新元号の始まりと共に国内はご難続きとなってしまったのだった。即位の礼も延期になったモンね。

 八卦見ではないから来年のコトは分からない。ただ、ペシミストではあるので不安要素はいくつでも挙げることが出来るし、それらのレベルがこれまでになく高まってるようにも見える。その辺について一年の最後に纏めてみようと思う・・・・・・あ、政治・経済のハナシは止めときますね。こっちはこっちでかなりヤバい感じなんだけど、門外漢で疎いからさ。

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 ・・・・・・まずは風水害。

 やっぱ地球温暖化の影響なんだろうか、それとも迫りつつあると言われるポールシフト(今年だけで北極点は200km以上動いたらしい)によるモンなんだろうか、気候がいささかおかしくなってるのは誰の目にも明らかなように思える。冒頭に挙げたように風水害も何だか年々増加傾向にある風に見える。決して否定はしない。

 ただ一方で、降水量に関して「*月の**での観測史上最高」ってな報道が連発されまくってることについては、おらぁちょっと眉唾なんぢゃないのか?って気もしてる・・・・・・っちゅうのも、昔に較べてアメダスやら気象レーダーや衛星による観測網のメッシュが飛躍的に細かくなったオカゲで、各地の降水量がより緻密かつ高精度に調べられるようになってるからだ。つまり、昔から猛烈な豪雨はそれなりに発生してたんだけど、それが正しく把握できてなかった、と。そら新記録バンバン出ますわな。
 「線状降水帯」なんてコトバにしたって観測機器類の性能向上によってこの10年くらいで一般化しただけであって、同じような現象は当然ながら昔からあったワケだし、それをあたかも近年の地球温暖化と結び付けて考えさせるよう誘導するメディアには、どぉにも欺瞞を感じるのも事実だ。
 また、南房総方面中心に屋根が飛ばされまくったような風の被害については、むしろかつての台風の方が風速だけで見るなら凄まじいのが目立ってたように思う。例えば昭和36年の第二室戸台風の瞬間最大風速は84.5m/s以上だった。以上ってどぉゆうこっちゃ?と思われるだろうが、風速計がそこでぶっ壊れたのである(笑)。その5年後には宮古島で85.3m/sってなさらにえげつない記録も生まれてる。それらからすればたいへん申し訳ないが、今年の15号の瞬間最大風速は60m/sにも満たない。

 ぶっちゃけ来年どこの地方に風水害がありそうだなんて、じぇんじぇん分かりまっしぇん。ただ一つ言えることは、統計的に見て同じ地方に何年も続けて大雨被害が続くことはワリと少ない。地球に一種のホメオスタシスみたいな働きでもあるのかも知れないが、これまでなかった場所で起きる確率の方が高い。
 こうして考えると、今年特に水害がなくて胸を撫で下ろした地方の方が、むしろ警戒する必要があるんぢゃないのか?って思う。まぁ、「備えあれば患いなし」で、家の中の貴重品等の置き場所を見直したり、火災保険に水害特約が付いてるかどうかをチェックしたりは大切なことだろう。

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 ・・・・・・続いては地震・噴火の類。前段が「天変」ならこっちは「地異」、っちゅうこっちゃね。

 こちらについては、ちょっとヤバいんちゃうか?って思ってる地方がいくつかある。まずは北の端、釧路〜根室方面だ。根室は何と毎年1cmづつ沈降してる。要は地面がプレートの沈み込みに巻き込まれてってるのだ。そしてこれはとんでもなく速いペースである。ほいでもって最近の沈降ペースが若干づつ加速してたりもする。
 巻き込まれる、あるいは引きずり込まれる、ったって地面は地面で硬いから、ただ黙って沈降して行くワケではない。周辺で応力の強く掛かってる所、あるいは地質的に弱い所でバキッと割れたりする。これが巨大海溝型地震の前に発生する、やや内陸を震源とする直下型地震だ。東日本大震災でもその数年前から、内陸部での地震が活発化してたんで覚えておいでの方も多いだろう。
 ・・・・・・で、増えてますやんか、これが。最も顕著な例としては昨年秋の北海道胆振東部地震とかはかなり怪しい部類に入ると思うがちょと遠いっちゃ遠い。もっと想定範囲に近い・・・・・・う〜ん、どぉだろ?弟子屈〜斜里近辺とかで今後、そこそこのが来たら秒読み段階に入るのではないかと個人的には睨んでる。

 次が西の端の宮崎〜鹿児島方面。こっちは地震、っちゅうより噴火やね。明らかこの数年で、色んな動きが活発化してる。火口にマグマがウニョウニョと出て来て霧島・新燃岳が「黒いプリン」みたいになっちゃったんが昨年の春のことだ。桜島の噴火回数が増加に転じたのが2006年、ポンポンと吹き出しながらも山体は若干の消長はあるものの全体としては一貫して膨張傾向にある。大正噴火で沈んだ地盤もほぼほぼ回復していると言われており、間違いなく秒読み段階と言ってよいだろう。さらにその南に続く、薩摩硫黄島、口永良部島、諏訪之瀬島も賑やかい。
 これらの火山群は要するに、地面がユックリと引っ張られて裂けてってる、その裂け目(プルアパート部)に並んでる。何で裂けるのかっちゅうと、やはりプレートの力、ってヤツで、このところ何かと近い近いと言われる南海トラフ巨大地震を引き起こすフィリピンプレートがグイグイ押して来てるからだ。
 地震があって噴火が次に来るのか?あるいはその逆なのか?では分からないが、いずれにせよ両者はある程度時間的に近接した一連のシリーズとなって起きるのではないか、っちゅうのが最も穏当な意見であり、おれはそれに賛成する。

 これで2ヶ所。まぁ馬券でも2点買いよりは3点で流すのがフツーだろうから、もう一つ挙げとくと、やっぱ中部地方だろう。地震か噴火かは分からんが、中穴くらいかな?もっと大穴で言うと、榛名〜赤城辺りはちょっと臭いかも知れないが、これはまぁかなりの万馬券だろうなぁ。
 まぁもし当たったら何か下さいな。

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 ・・・・・・などと、深刻な話題をオッズにすんな!ってね。

 ともあれ、風水害については温暖化との相関関係はやっぱし強そうな気もするし、ここは一つミョーにファナティックに怒ってばっかしのグレタ・トゥーンベリだっけ、彼女に頑張ってもらうこととしても、地震・噴火については地球の長い歴史の中で静穏期と活動期は果てしなく繰り返され、そして今がたまたま活動期へと移る時期に当たっちゃった、ってだけのコトだ。誰に当たったって仕方ない。諦めるしかない。イザとなれば最後は着の身着のままでも何でも、とにかく逃げ出すしかありまへんがな。人類史上、未曽有のカタストロフだったトバ・カルデラの破局噴火の時でさえ、人類は強かに生き延びたんだしさ。

 大晦日はここ関東では穏やかに暮れてってる。夕焼けが美しい。儀礼事にはトンと疎い我が家であるからして、おせちなんかもロクに作ってない。だからエアポケットのように無聊な一日を過ごせている。ネコは相変わらずヒマそうに惰眠を貪っている。人間なるようになるし、なるようにしかならないってな分かったような分からないような諦念がふと頭をよぎる。

 ともあれみなさま良いお年をお迎え下さいませ。 

2019.12.31

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