「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
個性や多様性の尊重という価値観の画一化


古賀春江のパロディーのような「世界に一つだけの花」ジャケット・・・・・・初めて知りました(笑)。

https://www.amazon.co.jp/より

 国民的アイドルグループであるSMAPが大晦日を以て解散するってコトで、世間は何だかエラく大変なことになってんだけど、個人的には全く興味が無いもんだから、何をそんなに大騒ぎせんとアカンのかサッパリ分からない。
 そらまぁムチャクチャにメジャーな芸能人であることは事実とは申せ、ほんなん代わりはいくらでもいるワケだし、アイドルと呼ぶには今はもういささか薹が立ってるし、それに俳優業だの司会業だの各人がそれぞれに活動してシッカリ稼いでんだから、別にもぉ好きにさせたってエエんちゃうのん?って思ってしまう。
 それはともかくとしてさて、おれは彼等最大のヒット曲である「世界に一つだけの花」っちゅう歌の「一人一人の個性を尊重して大切にしましょう」って安易な物言いが、リリースされた時から時から虫酸が走るほど鬱陶しくて嫌いで、作詞作曲した槙原敬之が自分のホモの性癖の言い訳に書いたんちゃうんかい?くらいに思ってる。

 ちなみにおれは善きにつけ悪しきにつけひじょうに独特で個性的な人間らしい。それが周囲の評価であるんだから、不本意ながらそうなんだろう。そう、おれとしてはたいへん不本意なのである。自分のこれまでの来し方を思い返すに、何だかフツーであるために多大なパワーを注ぎ、疲れていたような気がするのだ。この歳で今さら言っても始まらないが、おらぁちょっと発達障碍なのかも知れないな(笑)。
 そんなおれが思うのだ。尊重されたり大切にされたりしないと発揮できない程度のハンチクな個性なんていっそツブしてしまった方が良い、と。そいでもってシッカリと型に嵌めて社会的な常識を叩き込んだ方が余程世のため人のためではないかと思うのだ。
 しかし、もしそれでもなお抗うようにどうしようもなく溢れ出してくる「何か」があるのなら、それは存分にその人の責任の所在に於いて精一杯発揮すれば宜しい。それこそが本物の「個性」ってモンだろう。トマトは過酷に育てないと甘くならないし、麦は踏まなきゃ育たんではないか。
 いつからこんなにも個性とか一人一人の価値観とかを大切にしたり、少数意見を汲み取ったり、マイノリティを大事にしたりすることが強制されるようになってしまったんだろう?ぶっちゃけおれはそんな価値観の押し付けはイヤだ。

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 何でこんなことを書く気になったのかっちゅうと、毎年寒くなるこの時期、会社では人権啓「発」運動の一環なのか何なのか、歯の浮くようにウソ臭い人権研修とやらを受けさせられるのである。調べてみると「人権週間」ってのがこの時期に定められてることに由来するらしい。そらまぁ企業の看板揚げてる以上、世間体や大人の事情もあってないがしろにはできないだろうから、開催せにゃならんことは分かる。だからおれも仕方なく感情を殺して澄まし顔で黙って聴講するようにしてるのだが。

 昔は人権問題っちゃぁ被差別部落の問題くらいだったのが、いつの間にやら障「がい」者に広がり、在日外国人・・・・・・専ら朝鮮・韓国人・・・・・・のことになり、アイヌその他の少数民族になり、女性になり、宗教になり、各種ハラスメントの詰め合わせになり、そろそろネタも尽きて来てメデタシメデタシと思ってたら今度はダイバシティでLGBTでゲイでレズビアンだと、もう手当たり次第の感がある。
 ホンマもぉ飯のタネばっか探してんぢゃねぇぞ、ボケ!エエ加減にせぇや!と要らぬツッコミも入れたくなって来る。いみじくも呉智英がかつて喝破した通り、「人権と膏薬は何にでも付く」状態だ。後はもう宇宙人くらいしかないのではなかろうか?誠に見苦しいとおれは心の底から思ってる。

 いやいや、人権を軽んぜよ、などとまで言う気はない。大体、おれ自身がメンタリティその他いろんな部分で上に書いた通りけっこうマイノリティの側にいるんだし(個性的であるとはある意味そぉゆうことなのだ)、そしてそのことで色んな悲哀も味わってきたのだから。
 しかし、「人の命は地球より重い」などと、神の在/不在を論じるのと同じくらい証明不能なコトを軽々と自明の理として、そいでもって人権のためにはなりふり構わなないような、日陰でいたい人まで無理矢理焼け付く日向に引き摺り出すような、ノー天気でガサツで却ってアンチヒューマンな姿勢は如何なモノかと思ってしまう。

 そぉいや先日、パラリンピック水泳の一ノ瀬メイがTVでとても良いコトを言ってた。御存じの方も多いと思うが、彼女は先天性の障碍のために片腕が短い・・・・・・で、障「がい」者と平仮名で書かれることがとても不快だと言う。誰が「害」を「がい」に書き直せっちゅうたんや!?勝手に消すなや!と、そもそも害なんは社会の方やろ?・・・・・・とおれと変わらんくらいにコテコテの大阪弁で話すのを聞いておれは心の中で快哉を叫んだのだった。

 短編小説の旗手、O・ヘンリーの作品に「善女のパン」というのがある。粗筋は次の通りだ。

 パン屋を営む婚期を逃した独身の中年女性がいて、いつからかそこに毎日のようにみすぼらしい身なりだけど礼儀正しいドイツ訛りの男が、安売りになってる売れ残りの、それも一番安いパンを買いに来るようになる。彼女は彼の境遇についていろいろ想像を逞しゅうして、ちょっと惚れたのもあって、善意からそのパンの中にこっそりとバターの塊りを仕込むのだが・・・・・・しばらくすると真っ赤になって激昂した男がやって来て怒鳴り散らされたのだった。
 後から分かったのは、その男は建築コンペに応募するための製図引くのに消しゴム代わりでパンを使ってたってコトである。完成間近だったそれが、バターのために一瞬で水の泡になったのだ・・・・・・。

 善意の押し売りはやはり余計なお世話、それどころか最早理不尽な暴力なのであって、往々にして悲劇を招く。

 ともあれ人権研修と同時にハンナンの食肉偽造事件やら王将社長射殺事件の背後に大きく横たわる解放同盟と暴力団の影なんかもキッチリ教えるべきではないかと思うな(笑)。そしたらちったぁバランスも取れるだろう。

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 そんなこんなでいろんな人の個性を重視し、民族や宗教、趣味趣向の多様性を認め、尊重し、理性的に振る舞って共存することが今やマトモな人としての証とさえなり果ててしまった。その上に立つグローバリゼーションはとにかく正しいんだそうな。
 しかしながら、実はみんなウソの上品な笑顔に疲弊して来ている。だからこそイギリスのEU離脱やトランプの大統領当選なんて事態になってしまったのだろう。エエ加減にせぇよ!と。

 もちろん、決して個性や多様性どぉたらといったテーゼは100%完全に間違ってるっちゅうワケではない。グローバリゼーションにはメリットだって多かろう。だけど程度モンだ、ってコトだ。モノには限度っちゅうモンがある。
 なのに一体全体誰がそれで利益を得てるのか、アッと言う間にイギリスは6,400万人の人口で移民が今や850万人もいる。8人に1人だぜ!そいでもって人口3億ちょっとのアメリカには不法移民だけで1,000万人いると言われる。不法移民「だけ」で30人に一人やで!
 挙句の果ては治安を悪化させるどころか、ホームグロウンとかで過激思想に染まってテロ起こすわですよ。そんな状況で尚、「多様性の尊重」とか「グローバル」なんて寝言みたいな太平楽並べてられますか!?ってんだ。

 もうすぐクリスマスなんだけど、アメリカでは今や「メリークリスマス!」って言っちゃいけないらしい。どぉゆうか?っちゅうと「ハッピーホリデイズ!」なんだそうな。クリスマスはキリスト教の祭りだし、イスラームやヒンズー、仏教徒の人達からしたら異教の祭りだから、常識あるハイブローなエスタブリッシュメントたる者、彼等を尊重しなくちゃならん・・・・・・何だか北欧のブラックメタルが白人至上主義やアンチクライストを突き詰めてく内に、ルーツを辿ってくとハードロック〜ロックンロール〜最後には黒人霊歌たるブルースに行き着いてしまうヘヴィメタ自体をも否定したのと同列の屁理屈の袋小路を感じる。煮詰まっちゃってるよね、ホンマ。

 おれは昨年だったか、近所で起きたある交通事故を想い出す。夕方まだ明るい時間に自宅に居たから土曜か日曜だったと思うのだけど、外でドッカ〜ンと物凄い音がした。ベランダから見ると、ちょっと離れた道路沿いで人だかりがしてる。野次馬なおれは慌ててクロックス履いてそこに向かったのだった。
 横断歩道でもなんでもない車道の真ん中でジャージ姿の男が微動だにせず倒れ伏している。随分な当たり方をしたらしく内臓が周囲にハミ出し、血だまりがアタマの周囲を中心に広がって、LiveLeakにでも出て来るようなエラくグロいことになっていた。死んでるのはとにかく確かなようだ。程なくして救急車や警察が到着した。
 さらに暫くすると、通りの奥に広がる古い団地の方から、アイゴーだかアイヤーだか大声でワイワイ泣きながら8人か9人か、とにかく家族っちゅうには多過ぎるくらいの集団がやって来た。恐らくは中国人だ。

 たいへん不幸な事故にも拘らず、ぶっちゃけその時感じたのは言い様の無い不快感とある種の怒りだった。一体全体どんな手段を使ったのか、勝手に一族郎党引き連れて棲み付いた揚句、最低限の交通法規さえも守らずに交通量の激しい道路をムリに渡ろうとして撥ねられて(ひょっとしたら彼の国で大流行のアタリ屋を企ててミスッたのかも知れないな、笑)、そいでもって不細工な死に様で道路に横たわる・・・・・・何やねん!?と。現場検証も片付けも何もかもおれたちの税金やぞ!と。ODAだなんだとさんざ拠出させといて、そのクセ世界中で悪口言いふらしといて、ゼニ儲けだけはヘラヘラと来やがって、勝手に死んでろ!ボケ!と。

 多様性を認めるという価値観で世界中があまりにも画一化され、急速に染まってくのは、やはりどれだけ高邁な理屈並べたってどっかいかがわしいしおかしいし、間違ってるのである。ホント誰がそれで利益を得てるんだ?ユダヤの陰謀か!?ロスチャイルドか!?(笑)。

 いずれにせよ「絶対神」なんちゅうて一神教を奉じてる連中が多様性を云々するなんてチャンチャラおかしいわっ!悔しかったら八百万の神を祀ってみろ!・・・・・・って思ってるのは、決しておれ一人ではあるまい。

2016.12.03

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