「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
水清くして魚棲まず・・・・・・ガラス張りへの反感


マイナンバーのキャラクターである「マイナちゃん」。
金を掛けただけあってけっこー可愛いかも(笑)。


 世の中、マイナンバーでたいへんな喧騒である。やれ全然届かないだの、届け間違えただの、年内に全国民に送るのはムリだの、個人情報の流出がどぉだのと、もぉホント、マイナンバー一色のまま年も暮れてく感がある。

 ニワカ仕込みの知識で申し訳ないけど、要は住民基本台帳法とやらが生温い法理構成でやっちゃって大失敗に終わり、結局儲けたのはIT業者だけとゆうお粗末かつ惨憺たる結果に終わった轍を踏まないよう、捲土重来で今回はシッカリやりまっせ、ってコトなんだろう。会社でも何かそんな説明っちゅうか講習会みたいなんが管理職相手に開催されて、マイナンバーの通知が来たらすぐに届け出るように、ついでに部下にもキチンと届けることを指導するようにって命じられてしまった。ああ、めんどくせぇ。

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 資料に添付されてた国のポスターとかを見ると、「税と社会保障、災害対策の三分野にしか使わない」などと謳ってある。よくもまぁ白々しくどの口で言うてんねん!?ウソ付けボケッ!って思う。嗤うに足りるとは正にこのコトだ。どうせ今後法改正重ねてありとあらゆることに拡大してくツモリなのが見え見え美恵子だ。そぉいや預金口座への拡大が、年金番号流出事件のアオリを受けてコケてたのが数ヶ月前のことやったやんか。なりふり構わず税収が欲しい、ってハッキリ書けよな(笑)。

 大体さぁ〜、「税と社会保障、災害対策」な〜んて絞りに絞りまくった文言からして物凄くイヤらしい。周到で老獪な練り込みが感じられる。

 税と膏薬は何にでも付くものだ。預金口座にマイナンバー拡大なんて、利息に2割の利子税ってモンが発生する以上はむしろ当然のなりゆきであって、少しも驚くには足りない。消費税は言うに及ばず贈与税、相続税、市民税、取得税に譲渡税・・・・・・etc、もぉありとあらゆる人間の行為には税金が付きまとい、そしてそこにはマイナンバーが使えてしまうのである。もちろん税金なんて団子理屈並べていくつも増やせたりもする。そのうち非婚税やら避妊税、長寿税、認知症税なんてできたりして(笑)。
 社会保障だってそうだ。健康保険や年金はもちろん社会保障だけど、生活保護や失業保険も立派な社会保障の一つだ。もぉ狙いは露骨に透けてるよね!?まぁ、ベンツ乗って生活保護受けるバカとかがいるからこんなことになっちゃうんだけどさ。
 災害対策も、何も「天変地異に限る」なんてどこにも書いてない。テンパった野郎が包丁持って暴れたり駅前でクルマ暴走させて無差別に轢きまくっても、珍左翼だのオウムだのイスラム原理主義者だのがテロッてもそれは災害だろう。為政者の思うがままの際限ない拡大解釈が最初から可能になってるのだ。

 ホンマにひどい話である。ひじょうに面白くない。

 しかし、それもこれも、これらの財源にあまりにも沢山の色んな連中が群がってしゃぶりまくってるからである。マトモに税金払ってない自営業者(その中には税理士だとか弁護士、あるいは司法書士に行政書士といった国家権力の下請けみたいな連中が数多く含まれるのがこれまた腹立たしい)、年金とか失業保険貰ってそのままパチンコ屋に行くカス、働く意思を毛頭持たず生活保護受けてるゴミクズ、タダだと思って病院を公民館代わりにしてるジジィババァ・・・・・・気が付いた時には物凄い財源が垂れ流されて国は天文学的な赤字を抱えてしまっていた。それだけのことだ。
 ドイツもコイツもまとめて引っ立てて、とっととタコ部屋にでも放り込んでフクイチで強制労働を2〜3年させりゃぁこぉいった不届き者も相当数減らすことが可能なんだろうが、それもグローバルだとかの近所付き合いの体裁もあって拙速にはできないコトで、まぁ苦肉の策、っちゅうこっちゃね。おれが為政者だったとしてもやはり同じことをしてたろうと思う。

 だから、ひじょうに消極的とは申せ、おれは届いたマイナンバーの受け取りを拒否するなどと言う子供じみた真似はしなかった。だいたい、最近はイヤと言えば何でも拒否できると思ってる人が増えてるのがこれまた困りモノで・・・・・・で、そぉゆう人に限って民主主義を守れ!憲法9条守れ!戦争反対!安保反対!なんて声高に叫んだりするのがさらに困りモノだったりするのだけど、民主主義(その頭に奇妙な「議会制」なるものがくっ付いてる欺瞞はさておき、だ)の根本原則が多数決にある以上はしゃぁないわな、っちゅうこった。どぉにもこぉにもマイナンバーは民主主義の手続きを経て決まっちゃったのである。
 資本主義はともかく、民主主義を成り立たせるのは一人一人の節度と教養なんちゅうまことに頼りなくも曖昧なモノなんだけど、そんな脆弱な理想論を無批判に金科玉条と仰いできたツケが回って来てるとも言える。

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 しかしどぉにもこぉにもやはり面白くないのは厳然たる事実である。めっちゃムカつく。ここまで金にまつわる情報を軸にして全てが筒抜けのガラス張りの世界なんてとてもキモチ悪い。たしかに今よりは金の亡者が減って清らかになる点があることを否定する気はないが、それはそれでどうにも居心地の悪い清廉さだ。俗に「水清くして魚棲まず」とも言うではないか。

 ・・・・・・とは言ってみたものの、とうの昔におれたちのちっぽけな「個人」なんてその気になれば丸裸にされる世界は到来してるのもまた事実である。だってほれ、何か大事件があると三日もせん内に犯人の情報はすべて詳らかになってるではないか。卒業文集なんてまだ可愛いモンだ。FBからツイッターから不思議なくらいみんな晒し上げられてるでしょ?それも個人情報にうるさいハズのマスコミによってさ。
 さらにはミもフタもないけど、世の中の殆どの人の個人情報なんて一銭五厘の価値もないのもこれまた揺るぎがたい事実である。すぐに私の個人情報がぁ〜っ!プライバシーがぁ〜っ!って金切り声でヒステリ起こす馬鹿が多いけど、とにかく明るく安心してください!と言うしかない。だってさぁ、そもそもアンタにそんな価値ないですから〜っ!(←ちょと古いが「ギター侍」風に読んでね、笑)。
 そぉいや昔、職場で働いてたババァが発狂して監視妄想に囚われ始めたコトがあったコトを想い出す。おれにも真顔で「組織の者に追われてるんです」などと真顔で訴える。
 おれは笑顔でしばらくテキトーに聞き流してから、努めて冷静に次のように話したのだった。

  ------う〜ん、そらまぁ世の中には組織ってあるんかも知れんけどねぇ〜。組織もそんなヒマちゃうやろしねぇ。
      どだいオバチャンに追っ掛けるだけの価値あらへん、って。安心し。あったらこんなトコでパートしてへんやろ?

 正論を吐かれたババァは一瞬正気に戻った顔を見せ、そしてすぐに不貞腐れ、「オニーチャンにゆうても分からんわな!」とか憎まれ口を叩いて部屋を出てった。基地外って意外にズルいもんだと思った。ともあれその後、より凝ったストーリーを紡ぐのに精魂傾け過ぎて余計に狂ったか、ババァはそのうち出社しなくなって辞めてった。

 話が逸れたが、要は個人情報がどぉこぉなんてこのテのつまらない基地外を増やすネタでしかない。マイナンバーが徴兵制に繋がるとか言う短絡的な連中がいるけど、その気になればマイナンバーなんてなくたって今のネットワーク社会、いくらでも国民皆兵なんて可能なのである。

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 さて、拙いながらおれの未来予想を一つ述べて終えることにしよう。

 マイナンバーによって惹起されるであろう社会の閉塞感に対して、目眩ましっちゅうか慰撫策っちゅうか、要は何らかのガス抜きの施策がその内講じられることになるだろうとおれは睨んでいる。それは何か?

 極めて簡単だ。愚民、もとい大衆の欲求は詰まるところ「飲む、打つ、買う」にほぼ収斂される。換言すればそれは「金とヒマとオンナ」にも通底するし、みなさんが会社に就職する時最も気にするであろう「給与・休日・福利厚生」にも繋がってたりもする。ならばもう答えは見えている。税金でガッチリ押さえた分、他を緩めて来るのだ。具体的には賭博とエロを緩和方向に向けて来る、って寸法に違いない。お台場カジノなんちゅうのや、ネットゲームの公営賭博への取り込みなんてーのが、今度はお国掛かりでやることになるんぢゃないかな?

 ・・・・・・もし10年後、おれの読みが当たってたら、誰かおれにその時点で最高の一眼レフでも奢ってください。お願いしまっせ。

2015.11.24

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