「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
悩ましき年末・・・・・・手帳考


永年これをよく使ってました。

 年賀状やら帰省計画、あるいはボーナスの遣い途、はたまたわが子や親戚の子へのお年玉、おせち料理・・・・・・まさか来年の収入のアテ、なんてシリアスなのを抱えてる人が拙サイトを訪ねて来てるとは思えないけど、ともあれ年の瀬が迫って来ると色々頭を煩わせることが増える。そんな中で、これも多くの人にとってジミ〜に悩みの種であると思う「手帳」について今日は軽く書きトバしてみたい。

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 10月の半ばくらいから書店の一角は翌年の手帳のコーナーに変わる。ホントもう、驚くほど今は多種多様な種類がある。これだけスマホやPDAが普及してんだからいい加減消滅するるかと思いきや、昔より遥かにヴァリエーションが豊かになって来てる。
 まずはサイズと厚み、すんごい小さいのからA4サイズまで、ペラペラのから5年日記みたいな分厚いのまで、沢山のメーカーから出されてる。色だって、昔ながらの黒のビニール表紙は定番でまだまだ多いけど、青や赤、女性向けのパステルカラーまで揃う。綴じ方も通常の糸綴じだけでなくリングタイプ、ルーズリーフタイプでリフィルが差し替えできるものまである。

 元々ステーショナリーの類は嫌いではないので、いざ選ぼうとすると目移りしてしまってナカナカ決めることができず、いつまでも店頭をあーでもないこーでもないと動物園の熊みたいにウロウロする羽目になってしまう。我ながらその姿はひじょうに不審だろうとは思うのだけど、やはり買えば1年間は使うものなのでどうしても慎重にならざるを得ない。
 気に入らなきゃ代えればエエやん!って言われそうだが、そうは行かない。年の途中で交換するとどうも気持ち悪いし、ある程度長期間の仕事だったりすると継時性がそこで途切れてノリがどぉにも悪くなってしまうのだ。

 ・・・・・・っちゅうか、そもそも論でおれは手帳主義である。家や会社のPC、或いはスマホにチャンとスケジューラは入ってるし、シッカリ使いこなせばそれはそれでいいんだろうが、やはり後から書き足したりパッと見るには昔ながらの手帳の方がラクなのだ。
 ちなみにどうしてこんな早い時期に買ってしまうのかと言うと、実際に使い始めるまでにチューニング、っちゅうかカスタマイズっちゅうか、自分なりにさらに手を加えるのに時間が掛かるためである。
 いくつかの締めがあるのでそこに赤線を引く、平日の休日には赤丸入れる、今年の重要なスケジュールで翌年もありそうなのは薄っすらその時期に書き込んでおく、仕事の合間を見ながらなんでこれらだけで数日かかるのである。

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 実は冒頭に書いたような要素には殆ど拘ってなかったりする。サイズは大学ノートサイズのB5の黒表紙で全然OK。ホントはもっと大判のA4であればさらに良いんだろうが、まだまだ特殊サイズのようでおれの求める中身がない。

 そう、おれの拘りは手帳の中身なのだ。

 まずは紙質。おれとしてはやや厚手で真っ白な紙が良いのだけど、これがとにかくない。目に優しいアイボリーだとか薄いグリーンだとかブルーだとか、PCやスマホと一日中睨めっこな生活で今更目に優しいもクソもねぇだろう。もぉ余計なコトせんといてぇな!って言いたくなる。
 オマケにどれも薄手の紙が多い。おれはペンだけでなくマーカーや赤ボールペンも多用するので、裏写りしてしまうとイライラするのである。ぶっちゃけツバメノートくらいのちょっとやそっとで裏写りしないシッカリした紙使ってほしいと思う。
 その次は年間だとか月間だとか週間だとかのカレンダー部分の後に付いた余白ページ。とにかく枚数が中途半端なのである。おれは別にノートを持ち歩くんで全然要らない、あるいは1年間タップリ使えてノートを必要としないくらいの枚数のどっちかにして欲しいんだけど、これがもうムチャクチャ中途半端なのである。毎年手帳の後半はほぼ白紙のまま終わってしまう。森林資源保護の観点からもこれはどうにも勿体ない。
 その次が栞だ。平べったい紐みたいなん、あれが付いてると付いてないでは随分快適性が違う。そんな理由からおれは文庫本は新潮文庫が好きなのである(笑)。

 そんな基本骨格に加え、最もおれが拘るのはカレンダー部分のデザインだ。

 永年、左側のページが1週間の曜日、右側が罫線の引かれたノートタイプのモノを選んできた。まぁ、種類的にもこれがいっちゃん多い。ところが、しょうむない工夫で却って使い辛くしてるのが多いのである。
 まずは土日を狭くしてるヤツ、休日をバカにするな!って言いたい・・・・・・って、製造元に言わせれば、限られたスペースで平日の書き込めるスペースを確保するための苦肉の策らしいが。おれは公私問わず1冊の手帳で完結させるし、土日が休みでないことも立場が出来て増えて来たんで、ここが狭い狭いのはどうにも使えない。なもんで0.5秒で却下。
 次に、1日の時間を横軸に書いてるタイプ。これがまた使いにくい。曜日は縦方向なのに時間は横ってどうにも馴染めないのである。これを実際に使うと、1日の中で斜め方向にスケジュールが書き込まれることになる。所謂ガントチャートっちゅうヤツ、これって数ヶ月以上のスパンだと凄く分かりやすいんだけど、1日の中の脈絡のないいろんな予定が斜めって並ぶと違和感のカタマリになってしまうのだ。

 ところが、時間を縦方向に並べると3cmほどの高さに朝から夜まで15時間くらいを無理やり収めなくちゃならなくなってしまう。これはかなり無理がある。
 以前はそれでも間に合うほどに細かいスケジュール管理なんて必要なかったから、永年このいっちゃんオーソドックスなタイプでやって来た。特に気に入ってたのはダイゴーの「Appoint」ってヤツだ。紙は真っ白だし、栞は2本も付いてるし、土日が冷遇されてない。左ページの罫線にもうちょっと工夫が欲しいのと、後半のノート部分が余計だったりするが、まぁ全てでは無いものの、要は上に挙げたネチネチと細かい要件の多くを満たしてたのである。ホントは昔、これよりもっと気に入ってたのがあったんだけど、メーカー自体無くなってしまった・・・・・・どうにもおれが気に入るのは廃番になるものが多いよな、トホホ。
 ここで疑問を抱かれた人も多かろう。そんなもぉ殆どダイゴーに決めてんならもぉそれで押し通せばエエやんか・・・・・・と。いやいやいやいや、そうはイカの金玉っちゅうヤツで、どうしてももっと自分にあったのはないかって探してしまう。だから毎年書店の店頭をウロウロするのだ。

 ともあれ最近、おれの仕事のパターンには変化が訪れた。訪問客に会ったり、何するワケでもないけどボードメンバーで参加や出席する仕事が増えたのである。そうなると、3cmの幅に縦方向はどうしても書き込めない。おれは手帳のタイプを変えることにした。

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 まず最初に考えたのは右ページのノート部分を無くして左右両方で1週間の枠を作ったタイプ。左右を8マスに仕切って、右下の1マスが自由記入部分になってるものが多い。まぁ上のタイプの拡張型と言えるだろう。とにかく1日のスペースがタップリあるんで、詳細なToDoリストが欲しい人には向いてると思う。ところが、おれはそこまで今は細かい作業を抱えてはいないのである。**時、誰それさんと会う、**時どこそこ訪問、**時ナントカ会議・・・・・まぁその程度だ。どうにも1日がスカスカになってしまう。

 それでさらにウロウロしてたら、「バーチカル」っちゅうのが僅かながら出てることに気付いた。要は縦型で、見開きで横方向に曜日、縦方向に時間が記されたタイプだ。曜日と時間の方向の食い違いもこれだとあまり気にならない。家に吊ってあるカレンダーも細長い短冊形で縦1列に日が並んでるタイプなんで、何となく親和性も高い。
 こりゃ〜いいや!と思ったのだが、そこからまた苦悶が始まる。土日が冷遇されて2段になってたり、折角左右の見開き確保してるのに、左右に無駄な余白列を拵えたせいで各日の1行の横幅が妙に狭くなってたりと、単純に1ページを縦4列に分けたようなのが案外無いのである。あっても、どうもおれの求める他の要件に合致しなさすぎる。

 結局、生産性本部の出してるのを不承々々選ばざるを得なかった。紙が黄色っぽいのと罫線がスカスカで雑すぎること、週の途中で月が替わってもそのまま連続してること(おれは月が替わると改ページして欲しいのだ)、御丁寧なことに年明けて年度替わりの3月まで週のページがあること等がどうにも気に喰わないが、栞が2本付いてたり、肩に見出しのインデックスが入ってたり、後半のノート部分が少なかったりはまぁまぁ良しとしよう。

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 内面のいろんな葛藤と呻吟を乗り越えて・・・・・・大袈裟やな〜!!(笑)、そんなこんなで来年の手帳は決まった。

 レジで勘定しながら、しっかしホント手帳ってどれもこれも一長一短、決め手に欠けるモノの代表格だな〜、と改めて思う一方で、たかが手帳1冊でおれのこの異常な拘り、歳食ったらモンスタークレーマーに成長しかねないんぢゃないか?と我ながらいささか心配になったのだった(笑)。

2015.10.28

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