「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
私はハロウィンが嫌いです



あらら!?意外に紫の色遣いも多いんだな〜・・・・・・

 近年、10月の半ばになると繁華街やスーパーマーケット、あるいはディスカウントストア等の店内は黒とオレンジ色で埋め尽くされる。ジャイアンツがリーグ優勝するからではない。ハロウィン、っちゅうアメ公のお祭りがこの国でも流行っとるらしいのだ。正しくは仕掛けられて無理やり流行らされてる、ってーのが正しい言い方だろう。

 そもそもハロウィンって何ぞや?と調べてみると、古代ケルト民族の収穫祭に起源を持つもので、アイルランドやスコットランドには今でも残るもののかなり廃れちゃってて、それほど盛り上がってるワケではないらしい。ちなみにカボチャのランタンは、元々はカブで作ってたんだそうな・・・・・・で、有り体に言っちゃうとそっからの移民国家であるアメリカでのみ何のはずみかバカみたいに流行ってるらしい。しかしそれもここまで一般的になったのは19世紀ってんだから、せいぜい200年くらいの歴史しかないみたいである。
 おらぁてっきりキリスト教系の国ならどこでもやってると思ってたんだが、決してそうではないのだ。それどころか国や宗派によっては異端認定され、ハッキリと禁止されてるケースもある。

 やることは子供たちが集まって思い思いの仮装をして、「Trick or Treat!(お菓子くれなきゃ悪戯するぞ!)」と叫びながら、家々を訪問してお菓子をねだる。家のトーチャンカーチャン達も仮装してたりする・・・・・・それだけっちゃそれだけだ。日本にも子供たちが集団で村内を回ってお菓子をねだる祭りは多い。ある程度大人になってお菓子もらったって嬉しくないような年齢になって来ると、ただもう仮装して乱痴気騒ぎに興じるってなコトもあるらしい。そぉいや、何年か前に外人が集団で地下鉄占拠して大騒ぎした、って事件があったっけ。

 行われる日にちもこれまでイマイチ良く知らなかったんだけど、10月31日なんだそうな。この夜にこの世とあの世の門が開いていろんな霊がやって来る・・・・・・って、何で収穫祭に霊がやって来んねん!?
 いろんな宗教が混淆した結果、かように何だか良く分からない筋立てになっちゃってるが、まぁ、日本で言えば盆と秋祭りがいっしょくたになったようなモンだろう。

 ほれやったらまずはちゃんと日本の盆を祝えよ、盛り上げろよ、流行らせろよ、って思うな。

 カラフルな落雁と一緒に茄子や胡瓜に割り箸刺して仏壇に備え、墓の掃除して、藁燃やして迎え火、川に提灯流して送り火やって、盆提灯を飾り、盆踊りを踊る。盆提灯なんて見てみ、あんなやっつけ仕事で大味なジャックオーランタンより余程イカシと思いません?蝋燭の熱の力で繊細な絵柄が影絵になってクルクル回るんやで。むちゃくちゃハイテクやんか。

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 ともあれ、本邦に於ける実態としてのハロウィンは何だかワケが分からない。とにかくお菓子類が大量に売られてる。多くはハロウィン限定とかなんとか、黒とオレンジ、後は紫を基調としたデザインが多い。ジャックオーランタンやスカルの形のパッケージに入ってることもある。仮装用に魔女のマントやとんがり帽子、あるいはスクリームのマスクなんかが売られてる・・・・・・売られてるけど、おれはついぞ夜の街をそのように仮装したガキの集団が練り歩いてるのを見たことがない。玄関先にジャックオーランタンが飾られてるのも見たことがない。それでも何だか店の売場はポップから何からハロウィン一色だ。

 ・・・・・・ちょとおかしくないか?

 詰まるところ今のハロウィンなんて 売らんがなの小売業界の救いようのない無節操がもたらしたムリクリのムーヴメント以外の何物でもない。そんなんにアテられノセられ、ハロウィンだからどーのこーのゆうてるヤツぁちょっとおかしい。もしくは猛烈にアタマが悪い。
 もちろんそれを言い出したらクリスマスもバレンタインのチョコみんなそうなんだけど、もぉそこまでは目クジラ立てないからさ、これ以上ワケの分からん毛唐の祭り・・・・・・それも世界的でもなんでもなくアメリカでのみ流行ってるようなポピュラリティに乏しいのを増やさんといてくれよ!って心の底から思う。

 本当に小売業界は卑しい。

 節分の恵方巻きなんて大阪の古い習慣だと言われるが、そんな大阪生まれのおれだってガキの頃は知らなかった。おそらくは堺の方違いさんなんかを信心する家にのみあったようなマイナーな風習だと思う。ありゃたしか、70年代の初頭くらいにスシマスが仕掛けたんぢゃなかったっけ?でも最初は「節分の丸かぶり寿司」ってな名前だった。目敏くそれを見付けて「恵方巻き」って名前に仕立て上げたのはヨーカドーだかセブンイレブンらしい。
 土用の丑の鰻は平賀源内プロデュースであることは有名な話だけど、それを小売りの馬鹿共が無茶苦茶に大衆化したせいで鰻は絶滅危惧種になってしまった。ほいでもって代用食でサンマの蒲焼どぉでっか?と来たもんだ。エコだとか環境問題だとかエラそうに御高説を垂れてるヨーカドーやイオンはみんなツブれてしまえばいい。
 さらに強欲は止まらず、今は春の土用だとか夏の節分だとかワケ分からんことゆうて小売りの連中はモノを売ろうとする。鹿爪らしい由来くっ付けてるけど、恵方巻きの例でお分かりの通りほとんどデッチ上げに近いのは言わずもがなだ。
 ひな祭りは甘酒にどぉでもいいあられだ。春秋の彼岸はバカみたいにおはぎが並ぶ。端午の節句はちまきだ柏餅だ。観月なんてしないくせに十五夜の団子だ。どれもそこまで食いたい人がどれだけいるんだろう?正月なんて今や2日から店開けて軒並み値引きシール貼るクセに、おせち食材はテンコ盛りに棚に並んでる。

 こぉして考えくと10月から11月はこれまで何かをガーッと売るネタがなかったのだ。世間的には紅葉シーズンなんだけど、それで行楽グッズだなんだってーのはいささかピントが絞り切られてない。もっとこぉ派手なイベントはあらへんのかい!?ってな具合に鵜の目鷹の目で狡猾な小売業界が渉猟してたら、そこに都合よくスポンとハロウィンが嵌まっただけのことだ。ホント、くだらない。

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 いささかおれが偏屈すぎるのかも知れないけど、それにしてもいくらなんでもみんな小売業界の姑息な策にあまりにもカンタンに弄されてしまってるんぢゃなかろうか。本当に自然発生的な流行ならおれもここまで否定はしない・・・・・・否、むしろ積極的に肯定さえするだろう。しかし10月になって途端にけたたましくなって来たハロウィンにはそれが一切感じられないのである。売らんがなの小売りのあざとい欲ばかりが剥き出しになってる。ウンザリする。

 いずれにせよこうしてこれからもどうでもいいネタで季節季節のイベントは際限なく増やされて行くんだろうと思うと気が重い。 

2014.10.12

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