「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
高速道路ニ思フ


関東の延伸状況。巨大な二重リングが完成するのは何年先なんだろうね。

http://www.e-nexco.co.jp/より
 世の中の暦に合わせて休むのは人生のごっつい無駄遣いではないかと常々思ってるのだけど、今の職場は世の中の暦に合わせて休日があるのだから、如何ともしようがない。不承々々休んでる次第である。
 ほいでもって盆だから、帰省っちゅうモノをおれも一応してみたりする。正直、自分自身のあの寒々とした実家には行きたくない。ヨメの方の実家の方が千倍寛げる気がする。

 ・・・・・・ってな辛気臭いハナシはまぁ置いといて、この数年、東京・大阪・名古屋の三大都市圏の周辺部での高速道路網の整備が一気に進んだ感があって、クルマでの帰省が以前の難行苦行からすると、随分スムースになったように思う。
 しかしながら、文明が進むほどに人のレベルは進まないのが現実であって、高速道路を走ってると、今も昔もどうにもイラッとさせられることが多い・・・・・・って、そのネタについては以前に書いたやんけ。

 もちょっと今日は気楽に行こう。実は戻ったばかりで疲れて亀屋万年堂。ともあれ今回の帰省では二千キロ近く走り詰めに走った。単調な風景が連続する高速道路が大半だったとは申せ、それでも走っておれば何がしか考えるモンである。そうしてあれこれ思ったこと、気付いたことを気儘に書いて流してみる。

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 まずは冒頭に書いた通り、都市近郊や東海道といった大動脈部分での高速道路網の急速な整備はひじょうに喜ばしいことだなぁ〜、と素直に思う。

 政治の力で北海道や九州の端っこにどうでもいいような高速道路作るよりもよっぽど喫緊の課題であったハズなのに、どうにも永年、見て見ぬフリっちゅうか、立ち退かない住民のせいにばかりして捨て置かれてきたことへの取り組みがようやく進みだした気がする。東京で言えば外環道、圏央道といった蜘蛛の巣の横糸に当たる道路の延伸、、関西では神戸周辺のジャンクションの増設や北近畿方面への高速の延長、京滋バイパス等の迂回路の充実は確実に渋滞の緩和に繋がっている。

 また、新しい道ほど走りやすいんだわ、これが。今回、初めて新東名っちゅうのに御殿場から乗ってみたのだけど、とにかく走りやすいのに感動した。道幅や曲率、勾配等の規格が従来よりワンランク・ツーランク上な気がする。メーター振り切りとは言わないが、あまり公然と威張れるスピードではない巡航速度でビュンビュン流しても、100キロ+αくらいにしか感じられなかった。安全マージンが高く拵えられてるんだろう。西側区間が未完成のため今は三ヶ日で元の旧・東名に合流するんだけど、建設年代や設計思想の差がこれほど如実に表れてるとは思わなかった。これがホンマに日本の大動脈か!?と訝しんでしまうほどに元からの方は見劣りがする。

 ところがこの新東名、真ん中の南アルプスの南縁辺りをぶち抜く部分はようやく出来たものの、東側に当たる肝心の東京近郊区間は用地買収その他の課題が多過ぎて、全く建設の目処が立ってないらしい。バカなことに用賀〜御殿場は目下旧東名しかない。何も変わっとらんのである。これでは下りはいいけど上りが混むではないか。
 アテのない新東名の完成を待つよりは、いっそこの区間を全線2階建てにして6〜7車線にした方が良いのでは?とも思う。え!?2車線のままの渋谷〜用賀間どぉする!?って?

 首都高は処置なしですね、ホンマ・・・・・・。

 同じことは近畿圏や名古屋圏にも言える。いくら京滋バイパス出来たって、大山崎〜大阪間や瀬田東〜草津間が今まで通りではそこで詰まるだけだろ?、新名神の恩恵も亀山〜四日市が従来の2級高速である東名阪の流用では流量をサバキ切れんだろ!?と。

 さて、こぉいった区間、あるいは緩やかな上りの途中にはよく、上を横切る橋に「渋滞多発区間、追突注意」なんて横断幕が掛かってたりする。でもよく考えてみりゃ、これほどアホな注意書きもない。そこで渋滞が発生することが分かってんなら、抜本的に解決策を考えろや!って言いたくなる。すなわち勾配をよりなだらかに、ボトルネック部分の車線の増設、2+2=4なのは小学生レベルの算数なのに僅かな遊走区間だけで2+2=2にしようとするインターでの合流方法の見直し等だ。

 とは申せ、いくら道路改良したって実は渋滞は無くならない。後続車が必然的にスピードダウンせざるを得ない状況が玉突き的に連続して起こることで渋滞は発生するのだけど、例えば抜かしに掛かったって大してスピード出ないのにトラックがトラックを上りで追い越そうとしたり、年寄りや下手くそのオバハンが追い越し車線にトロトロへばり付くことで後ろが団子状になったりするのを抑止しなくちゃならない。

 あまりここで過激な主張したって、要は地味な個人サイトでウダウダやってるだけである。所詮ゴマメの歯ぎしりに過ぎない。だからもうサラッと済ますが、建前論の「追い越し車線」なんてそろそろ止しにして、速いクルマだけが右側を行ける、ってしちゃった方が良いのではないかとだけは言っておきたい。
 そうなればトラックと軽自動車は追い越し車線進入禁止だろうし、運転する方も自分のクルマの性能をもうちょっと客観的に知るべきだろう。また、各種のハイテク機器やIT技術でもって、トロトロしたクルマを左に退かせる仕掛けなんかが検討されてもいいと思う。いきなりカーオーディオやナビから「すみやかに左車線に移りなさい、ピポピポ!」なんてね。

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 今年の猛暑の影響も多大なんだろうな、とは思うものの、路肩に蹲ってる故障車が以前より多くなってる気がする。故障は怖い。そぉいや先日、伊勢湾岸道路で三車線の真ん中で、故障して動けなくなった家族4人の乗るレンタカーに大型トラックが突っ込むなんて大事故があったばかりだ。ホントに左端に寄せる余裕さえなかったのかいささか疑問は残るが、とにかく高速道路の真ん中で立ち往生は危険極まりない。
 昔は故障、それもオーバーヒート系と言えばドイツ車のお家芸、それもベンツにやたら見掛けたように思うが、昨今はトラックが救援を待ってる姿を良く見かける。確実に運ぶのが仕事のハズなのに、何でそんなことが起きるのか?とつらつら考えてくと、業界の置かれた状況が大きく影を落としてるんぢゃないかと思えてきた。

 要は運送屋に資金的な余裕が無いのだ。

 カール・マルクスの「資本論」の根本的欠陥の一つに、物流についての考察が不足している、っちゅうのが言われる。いつから日本の荷主はみんなマルキシストになったのか、輸送料(フィーと呼ばれる)を限りなくゼロにすることに腐心するようになった。お客さんは品物に金払うけど、物流費や人件費には金落とさないよ、ってな殺し文句がヘーキで罷り通ってる。

 業者はそのフィーでトラックの本体価格に加え、軽油代や高速代、車検代、保守料、消耗部品代、人件費すべてを賄わなくっちゃならない。一方で「運ぶ」って行為に根本的な品質の差は生まれにくいもんだから、事業にさほどの独自性も付加価値も与えるのがむつかしい。結局は叩き合いと値下げ競争の堂々巡りの中で、平たく言えば業界全体が疲弊しきってるのである。
 ああ、そぉいや関越道で、日本人を騙ってるとしか思えない怪しい中国人運転手がロクすっぽ寝ないムチャクチャなスケジュールで居眠りブッコいて、高速バスが唐竹割りになったのも同じ根っ子だ。

 当然皺寄せは車体の更新サイクルや保守点検費用にも及んでくる。オイルフィルター、エアクリーナは言うに及ばず、ガスケット1枚、ベルト1本だって交換すりゃ金が掛かるのだ。トラックやバスっちゅうのは自家用車と違って随分頑丈に作られており、キチンと定期点検を行い、早目はやめに消耗部品を交換しておれば、100万キロくらいは全然余裕で走れるらしいのだが、そこをケチって頻度が落ちればどうなるかはどんな阿呆にだって分かることだろう。

 ちなみにこの業界、現在、猛烈な勢いで高齢化が進んでいることはあまり知られていない。実のところ、あと10年くらいで日本の運送業は人材の点で立ち行かなくなるとまで言われているのだ。そらそうだ。休みどころか睡眠時間さえもマトモに確保できず、年収はあらゆる業界の中でも最底辺の一つ、社会保障も会社が支払いを踏み倒してたりして、昔はそれでも頑張ってゼニ貯めて自分でクルマ買えば一国一城の主の気分だけでも味わえたのが、今は法規制が厳しくなってそれさえもままならない。これでは成り手が減って当然だろう。

 ・・・・・・ぢゃぁどぉすれば良いのか?ドライバーの待遇改善要求だって!?悪いがおれはマルキシストではない。

 答えは今一度、近距離はともかく、少なくとも遠距離輸送については大きく鉄道貨物に回帰することではなかろうか。そんな何でもかんでもトラックで運ぶことないし、狂ったように大急ぎでジャストインタイムに奔走することないって。

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 ETCの普及が渋滞緩和に若干でも役立ってることはたぶん間違いないと思われる。それはご同慶の至りだ。

 ところが滑稽な民主主義の奴隷である日本は実に奇妙な国で、ETCなんてとっととすべてのクルマに設置を義務化しちゃえばいいのに、このような末端部分のインフラ整備と普及については結局は民意とやらに委ねてしまってる。為政者はズルいのである。なもんで徹底が図られず、いつまでも一般入口や出口なんてもんが幾つも残る。ほいでもってETC側ではクルマが渋滞、一般はスイスイ、なんてぇ捻じれた風景が現出することになる。

 そもそも流体力学では入口と出口が同数だと流れがつっかえるものらしい。円環状の管の中にボールを入れてグルグル回す仕掛けに、入口/出口を一ヶ所づつ付けてボールを送り込むと、理屈では1個入れば1個出てくるはずが、実際にはそうは行かないんだそうな。だから最近急増中のスマートなんたらっちゅうSA等の専用出口は理に適ってる。もっともっと出口は増設してったらいいのではないかと思う。

 しかし、誰がどう見たってスマートなんたらの造りがいささか中途半端であるのは言を俟たない。構内を案内に従ってグニグニ回って、なんか日当たりの悪そうな隅っこに申し訳みたいにバーが設置されてて、それだけでもうすごく取って付けた感と不便感が溢れてる。オマケに出たところが人里離れた山の中だったりもする。通るのに時間制限や車種制限もある。ハンチク極まりない。一体全体誰の利便性のためにこんなもんを設けてるのか、理解に苦しむトコが目立つ。

 それよりもっと実践的な場所にいくつも出口を設ければいいのに、って思う。工場地帯やトラックターミナルの近く、あるいは巨大な新興住宅地、商業施設といった、「そこで流出したい人が沢山いそうなポイント」に、それこそ500メートルおきにでも作れば随分違うと思うのだけど、暴論だろうか?償却の見込みのない、地方部の誰も通らない高速道路建設よりはよほどペイしやすいと思うのだが・・・・・・。それでも足りなきゃインター近くに巨大店舗を出店するのが大好きなイオンその他の量販チェーンなんかに100億でも200億でも建設費用を強制負担させりゃいいのだ。

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 ・・・・・・とりとめのない妄想は広がって行く。相変わらず追い越し車線をトバしてるつもりでパッシング掛けようが何しようが避けないクルマも多い。
 改めて気づいたのだけど、以前列挙した車種に加え、フォルクスワーゲンのゴルフで目立つ。オッサン、まさかカタログに謳われた「最高巡航速度」とか自慢してねぇだろうな(笑)。120〜30キロ程度でエラそうにへばり付くなよ。自分より速いクルマが後方から迫ったら、ゴタクはいいからとにかく退け!っちゅうねん。

 全国的に猛烈な暑さの中、オイルもタイヤもついでにエアコンのガスも交換したばかりのクルマは快調そのものだ。燃費もさすがに伸びまくる。冷房の効いた車内は心地良く、ヨメだけでなく猫まで籠の中で眠りこけている。そうしてトラブルに見舞われることも事故に巻き込まれることもなく、無事に関東と関西を往復したのだった。

 みなさん、安全第一ですよぉ〜♪・・・・・・なーんてね。

2013.08.13

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