「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
「セレブ」の時代


オベーション"セレブリティ"・・・・・・アダマスよりかなり落ちるグレードなんだけど、見た目だけはド派手なシリーズ。
それにこの名前を当ててるのは実にアイロニーに満ちてる(笑)。


 「セレブ」なる言葉が一般化してけっこう経つ。言語面では拝欧を未だ脱することの出来ない日本では、何だか意味や定義の前に言葉ばかりが勝手に広まって一人歩きしてしまい、有名だったり、金持ちだったり、優雅だったり、派手だったりが十把一絡げで「セレブ」と称されてしまってるような気がする。

 いろんな情報を総合するとどうやら、なるだけ労少なくして益多い生活のことを「セレブな生活」と称してたりするようだが、労少なくして益多い生活を得ることはフツーは無理だ。桁違いのセレブであるパリス・ヒルトン見て分かるように家の財産・遺産があるとか、もしくは何らかの後ろ暗くて不正な利得がなければ実現しない。だから昔はこぉゆうのは「脛かじり」とか「親の財産を食い潰す」、あるいは「成金」「折れて曲がってる」などと称したモンである。

 「セレブ」・・・・・・まことに耳ざわりの良い言葉で実態を糊塗してる好例ではなかろうか。

 ぶっちゃけお金は無いと困る。無いよりは有った方が絶対いい。でも、ありすぎても困るのがコイツの厄介なところで、まぁそこそこが一番いい。ぢゃ、そこそこってナンボやねん!?と問われるとこれまたむつかしい。家族構成や住んでる地方、そして何よりその人の考え方や価値観によってもこれはかなり左右されたりもするのだから。
 以前、「幸せ曲線」なるものを酔っ払いながら、謙遜ではなくマジで言葉そのままに愚考してみたことがある。それが依拠したのは、ある日新聞で見かけた「年収1,500万円を分水嶺に人の幸せ度は下がってく」って統計結果についての記事だった。なかなか1,500万はいいトコ衝いてるなぁ〜、と思ったのである。

 自分の駄文を読み返してみると、酔っ払いながらもそこでは階級の固定化なんかにも触れてたりする。間違いなく今の日本、格差や階級は固定化しつつある。ひとたび貧困街道を歩み始めるとそこは蟻地獄、抜け出すのは容易ならない。たとえ懸命に努力したって可能性はきわめて低く、何の約束も無い。
 高度成長期、凡庸な人でも普通に真面目・誠実・地道にコツコツやってりゃ、まぁよほどのことが無い限りは概ね誰でも、所謂「一億総中流」な生活を手に入れることが出来たもんだ。

 それが今は出来ない。
 真面目に働いてもやれ倒産だリストラだ成果主義だと、将来には何の約束も無い。それでも何とか辛うじて無事に定年迎えても、退職金は何だか良く分からないうちに仕組みが変わって要するに減らされてるし、年金需給年齢引き上げだ額は切り下げだ、確定拠出年金だ、と不安定この上ない。
 一方でおれたちのうち、どぉだろ?80年生まれくらいが年齢では一等下くらいになるのかな?今年30歳くらいから上の多くは、何らかの形でバブルとゆう爛熟と浪費の時代を直接に謳歌したり、またあるいは間接的に親から恩恵を蒙ったりしたことも事実だ。あの当時、一生かかっても稼げないくらいのお金が株や土地の売買で多くの人の手に入ったのだ・・・・・・ま、銭儲けにトンと疎いおれはちょっともいい思いできなかったが(笑)。
 おれのことはさておき、そうして一度覚えた贅沢の味はナカナカ忘れがたいものだし、こんな不確実な時代に生きてれば真面目に働くことがバカバカしくなってくるのも事実だろう。一方でメディアは「セレブ」なる労少なく益多い生活のできる者を盛んにヨイショしてる。ますますアホらしゅうなってくるわな。プロセスすっ飛ばしてアウトプットだけ欲しくなるわな。それでなくても成果ばっかり求められるのが是とされてるんだし。

 木嶋佳苗なる女が登場したのは、ある意味、時代の必然の帰結だったのかもしれない。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 この女の特異な点はいくつか挙げられる。まずはその驚くべきルックスだ。マジで驚いた。古来、毒婦とかファム・ファタールなんて呼ばれる女性は、そりゃぁ男の側の勝手な願望もあるにせよ、押しなべて美人と相場が決まってるのに対してこのオバハン、まるでもぉ見事に豚なのである。ブタ。それも何だか毛穴に黒ずみ一杯溜まってそうな脂っぽい固太りで、団子っ鼻と妙に強情そうな太い眉毛・・・・・・どこをどう贔屓目に見ても美人とは言い難い。なのに今のところ判明してるだけで、6人の男がこのブスにコロッと騙されて金銭を巻き上げられた挙句、練炭自殺を装って殺された。しかし天知る地知るタヌキ汁、天網恢々かゆみにムヒっちゅうヤツで、たまたまそのうちの一人がプラモデルの世界では「ネ申」扱いされるようなものすごい有名人で、自殺する理由がまったく見当たらなかったことからアシが付いた。

 もう一つの点は、「奢侈のために殺す」を虚無的なまでに冷徹に・・・・・・つまり、合理的かつ効率的に遂行したことだろう。しかしこの30代半ばの独身女、贅沢を知らんまま育ったような貧困な生まれではないらしい。事実はまったく逆で、祖父は地元では司法書士事務所を開き、町会議員も長年務めたっちゅうんだから、人より牛の数が多い田舎町では地元名士って言っても過言ではない裕福な家柄なんである。さらにはオトンは行政書士でオカンはピアノ講師・・・・・・見た目の凄まじいブタぶりからは到底想像つかないものの、そこそこお嬢さんなのだ。
 そっからの転落人生は諸説紛々でホントのところは良く分からないけれど、断言できることが一つだけある。かなり早い段階で彼女は正確に、わが国で喧伝される「セレブ」なるものの本質を見抜き、憧れ、目指してた、ってことだ。本質とは何か?何度も書いた通り、「労少なくして益多い生活」である。もっと平たくゆうと「怠けたままで豪華な生活を送る」ことである。

 そんな「セレブな生活」・・・・・・ただその一点のみで次々と男を手玉に取っては殺した。努力したのはそれだけだ。ちなみにセレブな生活では美しくボディラインを保つフィットネスや美肌等のエステが通常はかなりのウェイトを占めるモンだが、セレブの本質が怠惰と贅沢の両立にあることを早くに喝破したコイツの場合、そんなしんどいことはやるワケがない。専ら食べることばかりに向けられてたっちゅうのがこれまた浅ましい。「セレブな『食』生活」ばっかぢゃそら太るわな〜(笑)。努力するのはイヤだけど体型くらいはちゃんとしたくて脂肪吸引に行ったら、太り過ぎでドクターストップがかかったちゅうから凄まじい。

 「衣食足りて礼節を忘れる」っちゅうのはホンマだ。おれたち一人一人の中にもこのブタ女は棲んでいる。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 最近、「バカドル」ってカテゴリーが芸能人の中に出来た。里田まいやスザンヌ、最近はトンと見なくなった若槻千夏に木下優樹菜、最近メキメキ頭角を現したモデル出身の暴走キャラな小森純とか、まぁそんなん。たしかに美人は美人なんだけど、極端にレベルの低いクイズ番組で珍回答を連発するような、バラエティ専門のタレントだ。バラドルで馬鹿だからバカドルなのかな?ともあれ、正しくは「白痴美人」と呼ぶべきだろう・・・・・・って、知的レベルで言うならAKB48のメンバーだってあまり大差ないと思うんだけど、バカドルの彼女たちには基本、何の芸も無い。美人で無知・無教養だけがウリである。

 それでもTV出て一山当てれば「セレブ」だ。

 調子いい時は恐ろしく高給だけど箆棒にコキ使われ、それでちょっとでも用無しになればたちまちポイされるのが実態の、何だか博打打ちみたいな「外資系」(まぁ、金融や投資会社なんて博打を事業にしてるわけだからその通りか・・・・・・笑)とやらに勤める男を合コンで強引に咥え込み、玉の輿に乗ったつもりが、何せゼニのことばっかで人柄とか良く見なかったもんだから案の定コトは思い通りに行かず、結局はワインボトルで殴り殺してバラバラにして棄てた三橋香織って女がいた。蓋を開ければ実態は、学生時代には風俗嬢までやってた強欲なだけの田舎者だ。夫婦それぞれに不倫相手おったっちゅうから、まぁどっちもどっちだわ。

 それでも「渋谷セレブ妻バラバラ殺人」だ。

 つまんねぇケーキを奮発したり、お取り寄せでさして珍しくも無い食材を購えば「プチセレブ」だ。プチっちゅうのはフランス語でセレブは英語ちゃうんかい?ムチャクチャやな。アフィリエイトだとかゆうて、中身の無いブログにバナーを貼り倒して「目指せプチセレブ!」なんてーのも見たことある。
 単に芸能人がたまに来るだけでも「セレブ御用達」だ。
 所詮は缶詰とはいえ上等の餌ばっか食わされてる座敷犬は「セレブ犬」だ。
 自称「セレブ」な人たちだって一杯世の中にはいる。
 ・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・

 「セレブ」、正しくは「セレブリティ(Celebrity)」・・・・・・調べてみると、英語圏の国々ではそこにはちょっとどころかかなり蔑称の意味合いも含まれてるらしい。言うまでもなく、それは正しい言葉の使い方だ。

 この国はやはりどこかおかしい。
2010.12.11

----Asylum in Silence----秘湯 露天 混浴から野宿 キャンプ プログレ パンク オルタナ ノイズまで
Copyright(C) REWSPROV All Rights Reserved