「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
エコエコアザトク


タイトル以外全然関係ないけど載せてみました。古賀新一の画風って一目で分かるよね。

 敬愛して止まない明治〜昭和の碩学・南方熊楠こそが日本のエコロジーの元祖と言われている。民族学および生態学的な視点から神社合祀反対運動を行ったのはひじょうに有名だ。まぁ、とは言うものの、本人は至って大真面目に取り組んだのだけれど、いちいちやることがカッ飛び過ぎて無茶苦茶だったんで、半ばキチガイ扱いされたりしたのもいかにも彼らしい。

 書かれたものから伺える南方の思想は決して体系的なものではなく、論理性にも乏しい。多くの著作は独特の漫談調と膨大な引用に覆いつくされており、余計にその思想性を分かりにくくしている。ただ、有名な土岐法竜宛て書簡での南方マンダラ・萃点といったものから、彼が、一見カオティックなものも全ては大きな調和の中にある、もしくはあるべきだ、といったようなコスモス(調和的宇宙)を信じていたのは間違いない。そしてそれと彼のエコロジー志向はまったく同じ根を共有していたと思われる。コスモロジーとエコロジー、っちゅうワケやね。

 エコロジーの訳語は最初に述べたとおり、「生態学」あるいは「環境学」などと訳される。「Logy」っちゅうのは学問を示す言葉だから、本来的に「学」なのである。ただ、この場合の「学」とは教育機関で正統的に学ぶ、といった意味では必ずしもないようで、むしろ「考え方」とでも言った方が良いかも知れない。だから転じて環境保護運動なんかもエコロジーと呼ばれる。

 なのになのにああそれなのに・・・・・・ってーのが今回書き散らすことだ。

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 最初に言っておくとおれはエコロジーっちゅう考えそのものはとてもいいことだと思ってる。決して反対はしない・・・・・・どころか大いに賛成派である。「世界」に対して慎ましやかに、邪魔にならんようにコンパクトに暮らすことが実は一番のエコの根本であり、そこにはプリミティヴな清々しさがある。生活のすべてに亘っておれがエコかどうかは知らないが、元々が吝嗇なのでムダはそんなにしていないし、ま、そこそこフツーな方だろう。
 ただ、絶対にエコを標榜はしたくはないともおれは思ってる。標榜することによって付き纏う我慢や自主規制の息苦しさ、鬱陶しさもなるほどあるが、しかし何より今の日本で濫用される「エコ」とやらの周辺にどうしようもないユルさ、生暖かさ、そして腐臭が漂っているように思えてどうにも我慢ならないのだ。

 あとは順不同に思いつくまま書き並べてみよう。

 まずはクルマやな。大体エコカー、って何なんだよ!?そもそもマイカー自体がちっともエコでもなんでもないのだ。単に従来より燃費がずいぶんいい、ってだけやんか。何度も書いたが、それでエココンシャスとやらな奥様が家から目と鼻の先のスーパーに買い物に行ったり、ガキの送迎したり、フィットネスやカルチャースクール行ったり、歩いて十分行ける駅まで旦那送るなんてナンセンス極まりない。盆やゴールデンウィークに高速道路に大渋滞の列なんて、それがどれだけエコカーでもムダの一言に尽きる。

 クルマに乗るな!っちゅうねん。何がエコカー減税や!?自動車産業守りたいだけのくせに。

 ぢゃ、おれが最近ハマってるチャリはどうだ!?自転車なんてのも趣味でやる以上、畢竟エネルギーの無駄遣いに過ぎない。何がエコなもんか。あくまで自動車でドライブしたりするよりはちょっとだけ環境に優しい、っちゅう程度の相対的なモンだ。威張るほどではない。ましてや、大会だとかレースだとか言って、トランポに積んで持ってったりしててはもはやヘチャチャもホチョチョもない。
 ぢゃ通勤・通学に使うのはエコか?って!?まぁ、これもマイカー通勤するよりは相対的にエコなのかも知れないが、でもそれもせいぜい近所の職場・学校とか、駅くらいまでにしてぇなと言いたい。もし首都圏の電車通勤が全てジテツーになったらどうなるか、って想像してみ!?道路は間違いなく往年の中国やベトナムなんかより凄まじいことになるで。恐らく誰も身動き取れず自分の職場に辿り着けないだろう。

 「ジテツー」がこのところやたらともてはやされてるけど、そんなもん所詮ニッチなファッション・カッコつけに過ぎない。根本的に職住分離を解消しなくてはどうにもならないことだ。

 自転車に限らずエコエコ抜かすんなら、スポーツなんてやるな、とも言いたい。どう考えたってエネルギーのムダ遣いそのもの。大体においてスポーツに打ち込むのは中学から大学くらいまでの学生に多くて、そいでもって文武両道だとか、若者はスポーツをすべきだ、なんて実は何の根拠もない論旨がこれを支えている。
 しかし、学生である必要のない連中が学生やってるのがその大半を占めているって事実を忘れとりゃせんか。中卒どころか小卒で柴刈り縄ない草鞋を作りで十分な連中が、高校だの大学だのに進んでウダウダと惰眠を貪ってる。コイツ等を何よりまず放逐することだ。そうすれば不要な建物も減り、要らぬ光熱水費もなくなり、盗撮やら痴漢やらでパクられるバカ教師もちったぁ少なくなるだろう。
 ともあれ、クラブがどうこう言う前にまずはちゃんと勉強して、その悪いアタマをまだそれでも頭の働く年齢の内にちったぁ鍛えんかい!余暇はそれからぢゃわい。

 女に流行ってるマイ箸ってーのも妙にムカつく。それ作るのにどんなけのエネルギーが消費されてんだよ?と思うし、な〜んか妙に「これ見よがし」なのが気に食わない。あれでしょ?割りばしの節約でしょ?コンビニ弁当とかの?・・・・・・そもそもそないなモン買うな!っちゅうねん。
 あのプラスチックやら発泡スチロールでできた容器、トレイ、っちゅうんやったっけ、どれだけ無駄が出ているか知ってるかい?そぉゆう関係の知り合いに聞いたら、コンビニチェーンが毎週のように弁当の規格をコロコロ変えるもんだから、中途半端に使うあてもない容器の余りが大量に発生してる。大体仕入れるのは大きな段ボール単位だから、1つに何千個も入ってる。それが殆ど丸々何箱も廃棄せざるをえないんだとか(余談だが、そのロス費用は全部メーカー持ちなんだそうな)。
 食われて捨てられる容器ならまだ、分かる。まったく使われることなく廃棄されるのが山のようにある。そんな仕組みのモン買うことでコンビニっちゅうムダの塊のような業界に与しといて、それで「マイ箸」なんて、おれにゃ〜スカした欺瞞にしか思えない。

 マイボトルなんかもそうだな。ペットボトルを使い回ししとけや。

 エコバッグっちゅうのも何やねん?スーパーの袋よりはそりゃぁムダがないけど、それだけやんか。そぉいやいつぞや、どっかのブランドがエコバッグ出したら大行列ができた、ってニュースがあった。まことにもっておめでたい話だ。その2千円ほどのペラペラのカバンのために遠路はるばる人が集まったのだ。バカぢゃなかろうか?そんなもんエコでも何でもあらへんやん。
 昔から日本には究極とも言えるエコバッグ、風呂敷がある。荷物の大きさ・形に合わせて融通無碍に使えるスグレものだ。まずはそれ持ち歩いて使ってからエコバッグだのなんだのとホザけ。え!?ダサいからイヤ?ほ〜ら、ホンネが出た。

 オフィスのエコだ!?単なるコスト低減のことっしょ?根本的に目指したいのなら、下らない会議を減らし、接待を止め、パソコンまともに使えずすぐにコピーやファックスばっか欲しがるオッサンの管理職、読むに堪えない内容、オマケに誤字だらけの資料を何度も作り直す無能な担当者、マイ箸やエコバッグ、テルモスのマイボトルには血道を上げても、ムダなはずのコピーはまともにできず、立ち話と私用メールばっかしてる事務員をいずれも減らし、勝手に秘境のようなところに建てた家から通勤しようとするバカ社員をクビにし、役員車を売り飛ばすことだ。

 産地直送なんて止めろ!とも思う。毎朝長崎の漁港から新鮮な魚介類を空輸とか、イタリア直送のプロシュートの生ハムとか、そんなんがウリの店でエコだの地産地消だの語ってるヤツがいたら無礼打ちにしたって構わない。

 「アイドリングストップ」なんて掛け声は、自分たちの居所をなくしたくないトラック業界の言い訳に過ぎない。大量・長距離輸送に本来的にトラックは不適なのだ。鉄道と船便に物流インフラをもっとシフトすることが大事である。まぁ、物流量そのものを減らすことが一番肝要なのは言うまでもないコトだけど(笑)。

 アウトドアの何がエコなもんか。各地に小川に残った僅かな淡水魚や甲殻類まで、遊びがてらに取ることを無責任に煽るBe-PALなんて噴飯モノだ。森林を切り開き、中途半端な草地と砂利で整地するキャンプ場なんてゴルフ場と大差なく、そんなトコで直火禁止もクソもねぇだろ、って思う。

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 あ〜も〜、どれみても腹立たしいよ、ったく。

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 みーんな、要はすべてエコロジーの「エコ」とエコノミーの「エコ」をすり替えてるだけなのだ・・・・・・で、商売だの生活水準だの便利さだの守りたいもんはキッチリ守って都合のいいトコだけ掠るようにして、そうして引き起こされる様々な矛盾・論理の破綻は「できるとこから」・「気軽に楽しく」などと言って誤魔化しては、ユル〜いゴタクばっか並べてる。あまりにあざとい、あざと過ぎる。熊楠だって今のウソまみれのエコ見たら絶対怒り狂うだろう。

 だからおれは絶対、エコなんて標榜しない。


若き日の熊楠。なるほど眼光鋭く、奇人の相。

2009.07.04

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