「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
士農工商は正しい


こりゃ〜分かりやすい(笑)。

 いやもうホンマ、ますます最近そう思う。「穢多・非人」まではアカンと思うが、少なくとも「士農工商」は根本理念としてそんなに間違ってはいなかったと思ってる。

 ----ありゃ単なる農民慰撫政策ではなかったのではないか?
 ----実はしたたかな計算と、第1次・2次・3次産業に対する深い洞察、そして儒教的倫理観に裏打ちされた「あるべき姿」としてのヒエラルキーではなかったのか?

 ・・・・・・と。士農工、まではともかく「商」を一等下に置いたことは少なくとも間違ってなかった。最近の世界・経済情勢を見るにつれますますその思いは強くなっている。

 おれは元来商人(あきんど)が嫌いである(個人的に何か作って小商いすることは大好きなんだけど・・・・・・)。今の言葉で言うなら流通や金融がこれに相当する。その中で今回は比較的身近な流通に絞ってあれこれ書こうとしてるのだけど、ともかく、自らはなぁ〜んも生み出さへんクセに、仕掛けやカラクリだけで貪婪・無節操に人の欲望を喚起し利ザヤを稼ぐ、っちゅうのがおれにはどうにもたまらなくゲスなことのように思えて仕方ない。ましてやそんな連中が何を思い上がったか、販売力をカサに生産者やメーカーに対して無理な値入れやリベートを要求するなんちゅうのは言語道断のコトだと思ってる。了見違いも甚だしい。そんな非道なことして即刻、獄門台や八丈送りにならないのがホント不思議だ。

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 読まれてる方にいらっしゃったら大変申し訳ないのだけど、特に嫌いなのが最近では電器屋。この業界の卑しさは飛び抜けてて、ホントどぉにかならんもんか、と思う。ネクタイにベストの上から半被なんざ着やがって、ピンサロの呼び込みかよ!?とまで思ってしまう。

 首都圏の駅前で巨大店舗を出すことで有名な某社で、会計を誤魔化してたってことで先日会長が辞任してたけど、あの会社、業界筋ではどう呼ばれてるかご存じだろうか?・・・・・・「ヤクザ」である。要はマトモな取引してないのだ。猛烈な買い叩きは当然として、やれ販促だ棚卸だとタダで人出せの要求、リベート寄こせ、費用肩代わりしろ、売れ残りを引き取れ、そんでもって請求書出したら払ったはずのリベートとは別に勝手に「販売協力費」なるモノが差っ引かれてるらしい。たしかにこれはもう、ほとんどゆすりたかりの世界である。
 ちなみに一方これも首都圏の駅前に巨大店舗を展開する別の某社は何と呼ばれるか?・・・・・・こっちは「インテリヤクザ」らしい。つまり、もっと狡猾・陰険に尻尾を出さないやり方でメーカーを締め上げるのだ。酷い話である。

 それで件の電器屋自身儲かってるのかちゅうと、実はそんなにまでして仕入れ下げてなりふり構わない安売り合戦繰り返してるモンだから、利益率でみるとこれが大して儲かってなかったりする。どっこも財務体質は脆弱で、売上がちょっと落ち込むとたちまち赤字に転落するような危なっかしい経営なのだ。だからって客はモノが安く売られることに対して完全に不感症になってるから、今さら売価を上げるワケにも行かず、ましてやそんなことしたら他チェーンとの「生き残りをかけた販売戦争」とやらに競り負ける。

 こんなこと続けてたら結局みんなそのうち共倒れになってくだろう。自らが蒔いた卑しさの種に苦しめられとるワケである。そしてそれは全ての流通チェーン全体の明日の姿だとおれは思ってる。

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 休みの日に買い物にスーパーマーケットに行くことがあるが、最近売り場に異変が起きている。やたらめったらPB(プライベートブランド・自社)商品が増えているのだ。ヨーカドーやイオンは言うに及ばず、中堅クラスでも目立つ。角の一番目立つ所に山積みになってたりしてるのはたいていPBだ。こいつがまた貧乏くさい代物である。要は立ち行かなくなってる小さいメーカー叩いて、大手の製品にそれなりに似たようなのを作らせてるのだ。意匠なんてもうパクリばっかし。
 それでも訴訟沙汰にならないのは要は、いくら大手メーカーでもスーパーに楯突いたら取引してもらえなくなるっちゅう弱みがあるからだろう。また、当然そこを見越して好き放題をスーパーはやってるのだろう。

 実のところPB商品見てると価格的な優位性はさほどない。ホンの少しメーカー品より安いだけなんだけど、いかんせんこの通りの不景気であるから、売れ行きは絶好調らしい。何のこっちゃない、自社の製品は電器屋同様メチャクチャに買い叩かれ、そいでもって結局コツコツと努力して作ったモノのコンセプトからデザインから中身から何からパクられた挙句、メーカーはワリ食わされて取引量を減らされ、棚を取られるワケだ。おれはこんな卑しいモノ、絶対に買いたくない。「渇すれども盗泉の水を飲まず」っちゅうではないか。モノ作りの上澄みだけ剽窃したような品物に手を出すのは、泥棒に加担するのと同じだ。それも高額な趣味の品でならまだパチモンも分からないではないが、食べ物や日用品みたいな安価で大量生産の生活必需品でやるたぁ阿漕っちゅうもんだ。

 麗々しく「消費者応援価格」なんて掲げて売ってるけど、ここで良〜く考えてみよう。消費者の多くには生産者やその家族が含まれてるワケだ。それがこのような取引にさらされていてはたまったもんではないのはガキでも分かる理屈だ。もちろんPB商品にだって人の手が掛かってる。食べ物なら国内で作ってるケースだって多かろう。安く売るには何を落とす?原価か?しかしそれをやりすぎると安かろう悪かろうがあまりに露骨で客が付かない。それに作るのを引き受けるのは、悪い条件でも飛びついてしまうような零細なところだ。生産能力は劣るケースが多いだろう・・・・・・ならば答えはもう決まってる、人件費だ。平たくゆうと安い給料で労働者をコキ使うことでPB商品は成り立っている。

  金は天下の回りものと言う。そう、回り回っておれ達は商人共に収奪され、搾取され、宙吊りにされている。

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 そこまでして安いものをお客さまに届けたいくせに、同じ資本下にある各コンビニチェーンが定価販売なのもどうにも奇妙で腑に落ちない。そぉいやぁ数日前、売れ残りの弁当を値引き販売しようとしたフランチャイズの加盟店に、値下げするんだったら契約切るぞ、って脅迫したとかでセブンイレブンが公正取引委員会にやられてたけど、けだし当然のことだ。

 盆も正月も関係なしに夜中じゅう開いてる店をこんなにも町中に増やしてくれなんて、誰も頼んだワケではない。そもそもは他を出し抜いて夜中に店を開けてりゃ売り上げも立つだろうし、ちょっと高く売ったって客も納得して買うだろ、ってなケチな料簡から始めた商売ぢゃないか。それを維持するのに定価販売が必要など、一方的で偏頗な主張にすぎない。語るに落ちるとはこのことだ。

 夜中に運んだ方が渋滞がないから環境がどうのこうのとかも良く言うよ、って思う。そもそも夜中に営業しなきゃ余分な電気代だって掛からんから、よっぽどエコぢゃわい。件の売れ残り弁当だって安売りするより廃棄した方が価格維持の都合にいいから(あわよくばメーカーに難癖付けて引き取らせることだって考えられるしね、笑)、脅したんだろうが、それこそ環境とかエコの観点からは食べていただいた方がいいに決まってる。一晩中開いてることで防犯の役に立つ、なんてぇ戯言も店の前にたむろってるヤンキー共を一掃し、あとテメェんトコの店が強盗にやられんようになってからヌかせ、と言いたい。まったくもってお笑いである。所詮商人のこねる小賢しい屁理屈などこの程度の底の浅さなのだ。

 ・・・・・・商人が奪い、壊したいろいろ大切なものを、おれ達は取り返し、そして彼等の妄言が力を持ちえないよう社会の底辺に突き落とすべき時が来ている。

2009.02.22

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