「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
大麻はそんなに悪いんか?・・・・・・"マネージメントパラノイア"な日本人へ


青々とよく育ってまんな〜(笑)。

http://www.hidaka.pref.hokkaido.lg.jp/より
 何らかの内部キャンペーンでもやってるのか、官憲はこのところ血眼になってハッパ関係を摘発している。芸能人やミュージシャンは言うに及ばず、有名・名門大学生なんかが連日のようにボコボコ逮捕されてる。結構捕まる皆さんはマメな人が多くって、何だかもうあまりのそのいじらしさに笑っちゃうんだけど、山の中の空き地を綺麗に耕したり、押入の中にプランター並べてZライトで照らしたりして、甲斐甲斐しく育てておられるんだな、これが。

 すでに良く知られた事実だが、こんなにも大麻についての法規制が厳格な国は世界的に見ると少数派である。有名どころではオランダは全然OK、アメリカでも大半の州ではOK。ヨーロッパ諸国も概ね個人で愉しむんやったらまぁエエんちゃいまっか、ってなスタンスである。インド・バナラシ(昔のベナレスね)に行けばバングラッシーっちゅうて、マックシェイクみたいにすりおろしたものをヨーグルトで割ったドリンクがあったりする。他のハードなドラッグはともかく、大麻に関してはおしなべて寛容なのだ。

 何でか!?理由は簡単だ。一言で言って「大して効かないから」だ。オマケに習慣性もない。それは断言できる。ただ、大して効きはしないものの、やり過ぎるとフラッシュバック等の副作用があるのは事実だ。特に、見た目まるで生ハムの塊みたいなハシシなんちゅうのは長年に亘って常用するとボケると言われる(ハッパより遥かに成分が濃い)。でもそれは、酒を飲み過ぎれば重篤なアル中になるのと同じ伝の、あらゆる知覚を刺激する物質には共通して付きまとう問題であるし、その閾値はかなり高い。だから、ことさらそれが大麻の危険性を立証する証左になるとはおれには思えない。

  とはいえ、他の諸外国でOKなんだから日本でも解禁しろ!っちゅう、一見グローバリゼーションに依拠したような論法もちょとナサケない。まるで家で禁止されてるゲームとかをねだるアホなガキが「**君の家でもやってるやんか〜!うちもエエやんか〜!な〜!な〜!な〜!オカ〜チャァ〜ン!」と駄々こねてるのに近い。直ちにオカンから「ほたら**君が死ぬ、ゆうたらアンタも死ぬんかい!」とやり込められるのがオチだ。
 それにしても、規制緩和、欧米基準への迎合といったこの10年くらいの流れからすると、死刑と大麻に対してだけは頑なに日本の独自性を堅持しようとしてるのは、一体全体誰の意志で、どんな理由によるものなのだろう?死刑については議論百出でホットなだけマシだが、大麻についてはマトモに議論の俎上に挙げられることもない。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ここまでの言い回しからお分かりのように、大麻についておれは積極的な賛成派ぢゃないけど、容認派ではある。そこまで目クジラ立てることはあるまい、と思ってる。吸いたいヤツは吸えば良いのだ。「ドラッグにも貴賤あり」とは中島らもの至言だが、取り立てて習慣性や禁断症状もなく、幻覚も見せず、せいぜい人をダウナーにマッタリさせる程度のモノを、ただもうドラッグの名の下に一括りにして、ここまでヒステリックに摘発に勤しむその姿は、それこそ何か別のアッパー系ドラッグをキメとるんちゃうんかい、と茶々の一つも入れたくなる。

 しばしば大麻禁止論者はこんなことを言う。「いったん大麻に手を染めると、それを端緒に、より刺激を求めてもっと強く危険な薬物に走る」と・・・・・・果たしてそれは本当なのだろうか?おれにはそうは思えない。
 連日のように報じられる大麻に関する事件でのこうした「識者の意見」とやらを読みながらおれは気付かされた。これってヘアヌード解禁がどうのこうの、と言ってた時とまったく同じではないか、と。あるいは往年の中学生の異常に細かい校則とか、高校生の単車を禁じた「3ない運動」と同じなのではないか、と。快楽には歯止めしとかないと人は何するか分からん、って論法だな。
 安易な演繹の誹りには甘んじよう。でも、これってあらゆる禁忌の議論の際に必ず尊大な訳知り顔で出てくる、いかにも日本的で当たらず障らずで目一杯安全マージンを確保した、そして人間の主体性を一顧だにせず、管理し規制するサディズムだけが独り歩きした「管理趣味」そのものだ。率直ゆうて噴飯モノ、っちゅうやっちゃね。余りにクダらなさすぎる。

 性表現が緩和の方向に向かって性犯罪が増えたのか?
 学生手帳にどうでもいい規則が羅列されて日本の中学生はいい方向に行ったのか?
 3ない運動が何らかのはかばかしい成果を残したのか?

 禁止論者の戯言に戻ろう。果たして「いったん大麻を覚えたヤツは、全員がシャブやらLSDに向かう」のか?それならインドなんてとっくの昔に滅んでる、ってば。大体、酒やら煙草だってリーガルなだけでドラッグに他ならない。いやもう、酒なんてその効果・弊害は大麻の比ではない。それで酒呑みがみんなドラッグに走ってるんかい?んなこと全然あらへんやんか。ホント、酒がOKで大麻がダメな科学的根拠を示して欲しいもんだと思う・・・・・・あらら、いつの間にか擁護論に傾いちゃってるがな(笑)。

 読んだ人が勘違いしないように念入りにお断りしておく。クダらないとはいえ違法は違法な大麻の類におれはまったく手を出していない。まったく面白くないが、悪法もまた法なのである。いけないことに興味津々だった学生の頃とは異なって、今のおれは別にリスク冒してまでハッパキメたくはない。あんな程度の代物に高い金費やした挙句、いろんなモノを失うのはあまりにもワリに合わない。つまりは保身のための打算、とゆうワケなんで、威張れた話ではないのだけれど。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 閑話休題。

 日本特有ではないかと睨んでるこの「管理趣味」・・・・・・もっと言えば「マネージメントパラノイア」な状況を通じて醸成されてきた、言わば「通俗的リゴリズム」とでも呼ぶべき陰鬱な風潮におれたちは今ひどく侵されつつあるような気がする。その先にあるのは、ドラッグでボケるよりも遥かに深甚で重篤な判断停止状態に他ならないというのに。
 平たく言えばそれは「自分なりに考えることのできない人」の増加だ。あちらさんがああ仰ってるから、法律や学校や親がダメ、っちゅうから、あるいは言われそうだから、マニュアルに書いてないから、知らないことだから・・・・・・分かりません、できません、言えません。逆パターンだってある。あちらさんがああ仰ってるんだから、法律や学校や親がダメとは言ってないんだから、どこか間違ってるんですか?OKなんでしょ?それが何か!?・・・・・・と。
 上官命令だから、って何の感情も交えずにババババーッと捕虜や民間人を撃ち殺せる兵隊とあまり差はないよね、これって。

 正月早々辛気臭いコト書いても仕方ないよね。まぁ、法律に楯突く、っちゅうのはナカナカ困難が伴ってそれ相応の気合いが求められもするけど、身の回りの詰まんない管理なんてハリ倒してナンボ。みなさんもせいぜい逆らって行きましょうや。

2009.01.11

----Asylum in Silence----秘湯 露天 混浴から野宿 キャンプ プログレ パンク オルタナ ノイズまで
Copyright(C) REWSPROV All Rights Reserved