「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
コンプライアンスの名の下の魔女狩り


近年の騒ぎはこっからでしたね・・・・・・(これは現在のメグミルク製です。念のため)

 まっこと「魔女狩り」に他ならない。いや、メーカーの製品の問題の露呈とその後の社会の動きを見てると、だ。

 まぁ、元はといえば各々の企業の隠蔽体質に原因があったとはいえ、マスコミが音頭を取り、おおむね流通がその尻馬に乗って行う、度を越したっちゅうか、常軌を逸した数々の措置を見ていると、おれは現代の魔女狩り以外の何ものでもないと思う。
 現在は不二家がもうペコポコ、もといポコペンにやられている。テレビ観てておれは嗤った。ちょっと前まで「北海道産の**を100%使用しました」だのと盛んに店の前の幟やチラシで嘘八百並べてた会社までが勝ったとばかりに満面の笑みで、工場の衛生管理について取材を受けてたのだ。どのツラ下げて言えんねん、って思ったな。
 その前は雪印だったっけ。何かあっちこっちやられすぎて何がなんだかもう分からないし、一つ問題が起きるとこっちはこっちでドサクサ紛れの尻馬に乗ってあちこちのメーカーが小ネタのチョンボを自主発表したりするからますます混乱する。近頃3面記事の下の広告欄は食品回収のお知らせばっかしだ。
 つまりはどこのメーカーにだって多少のアラはあるってことだな(笑)。

 ともあれ、ひとしきりネタが出尽くし経営トップが退陣したりして、愚民の鬱憤が浄化されるまでは、この社会正義の名の下のリンチは終わらない。感情論で全部OK!法に照らしてホントにおかしいかどうかの検証なんて二の次三の次だ。

 いみじくもウォーホールがその作品において喝破したように、貧乏人の飲むコカコーラも大統領の飲むコカコーラも同じなのが(あ、雪印牛乳と言った方が良かったかな?、笑)大量生産/大量消費の資本民主主義なのだけど、その果てで誰もがヘンな平等意識を身に着けて集団ヒステリーのバカになってしまったとしか思えない。そこに甘ったるく仕掛けられた大衆操作の罠があるとも知らずに。

 陰でほくそ笑むのはまずは流通・小売業だろう。こうして正義をカサに着てメーカーの体力を長期的に削ぎ落とし、将来的に下請けとして支配下に置こうとする戦略が透けて見えるからだ。彼らは安く叩ける仕入先であれば何だっていいのだ。作ってない、っちゅうコトは全て責任をメーカーに転嫁できるってコトだから。代わりはいくらでもいるんだし。

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 そぉいや納豆の取り付け騒ぎもつい先日あった。私事だが、おれんちは関西系のクセに納豆が大好きで、納豆はいつでも冷蔵庫に常備してある。それが、「納豆で痩せる」って放送があった翌日、店頭からはきれいサッパリ納豆は消えた。そして次に並んだときには値段が上がってた。
 痩せるワケあらへんやん。痩せたきゃ平たく言って、食わないで運動するしかないのだ。思いついたように納豆食ってシュッと痩せれば世話はない。それにそもそも、納豆を常食にする東日本とあまり食わない西日本で肥満度に差があるかぁ?デブはどこにいってもいるってば。
 たしかその前は白インゲン騒ぎ、っちゅうのもあったよなぁ。ハラ壊したとかなんとか文句ヌかす前に、穀類や豆類は生で食っちゃダメ、って常識をガキの頃に教わらなかったのかね〜。よくそこまで自分の無知を棚上げして「TVが言ってることだから」ってだけで鵜呑みにできるもんだ。
 おれは最初、滑稽なだけに思っていたが、どうやら笑って看過できる状況ではないらしい。ホンマ、みんな度しがたいほどにアホなのだ。

 あのさ〜、所詮はたかがバラエティ番組の情報やろ?話半分に聞いとけ、っちゅうねん。さも曰くありげな実験データなんて、「熊の坂庄スッポン堂」の白衣といっしょ、こけおどしの権威に過ぎひんやんか。信じる方がどうかしてる、ってば。それくらいのことも分からんようになってるのかねぇ?

 何が「食の安全」だ!?バカが借り物の言葉を叫ぶな。

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 話を戻そう。「衛生」なんてもん実は「納得」に過ぎない。

 雑菌なんて口の中には百億からいる。歯を磨いたって実は、殺菌っちゅう点ではムダなのだ。何とキスすれば数千万個の雑菌が行き来する。相手が美男美女に関わらずフェラチオしたりクンニリングスすれば、これまた数百万から数千万、アナルセックスりゃぁ億単位だ。それでも世の中の多くの方々は特に悩むことなく行為にいそしんでおられる(笑)。

 オマエはすぐに下ネタに振る!たとえがエグい!って?ならば野菜はどうだ?いわゆる「清浄野菜」にしたって、買った時点でも相当の雑菌がついているのが、数日冷蔵庫の中に置いたりしようものなら天文学的に細菌は増殖する。それを生野菜サラダにでもしたら、こりゃもう大変。見た目のフレッシュさとは裏腹に数千万個の雑菌も口に運ぶことになる。少々の流水で洗っても事態はさほど変わらない。それがイヤならキッチンハイターか薄めたママレモンにでも浸けることだ。間違いなく却って身体悪くするだろうが。

 昔のことを言っても始まらないが、何十年か前まではもっと食べる側、つまり消費者の側がもっと五感を働かせていたものだ。表面が汗かいてる、匂いがおかしい、、酸っぱい、貝なら口が開いてる・・・・・・etc、それで食ってみて当たれば、その食い物は大阪弁でゆうところの「いんでた」状態だったワケだ。
 それがいいこととは無論思わない。ただ、売ってるもんだから、とか、賞味期限内だから、とせっかく備えた五感を鈍磨させて何も考えずにモノを喰らうようになった現代の状況もやはり、いいこととは思わない。「安心・安全」とはどうやら食物への緊張感の喪失ってコトらしいが、おらぁ〜そんなん真っ平だな。

 無論、物事にも程度がある。例えば、三菱ふそうだったっけ、ハブの破断事件やクレーム隠し、あるいは姉歯だとか、いさぎの異常に悪い富山の水落ナニガシとかによる耐震偽装。あれらはやっぱしアカン。
 なんで許されないのか?理由は簡単だ。フツーの人間ぢゃいくら五感や持てる知識を駆使したって、エンジン音の違いや部屋の湿気やすさくらいは分かっても、基本構造の欠陥に気づくことは不可能だからだ。だから食品事故っちゅうても60年代以前に頻発したようなものはダメなのだ。

 個人的には雑菌がどうのこうのより、輸入食品なんかの方がよっぽどおれは怖い気がするぞ。特に輸入食材屋とか異常に安いスーパーとかで売ってるようなヤツ。何入ってるかホンマ分からんもん。
 こんな話を聞いたことがある。某国ではエビの唐揚みたいにして、イナゴの唐揚がスナックの袋菓子で売られている。これが大好物な男がボリボリ食ってた。ハラが減ってたのか一袋では足りずに二袋目に手を伸ばした。そしてそれでも足りずに三袋目・・・・・・突然男は苦しみだしてそのまま死んでしまったのである・・・・・・死因はなんと「農薬中毒」。言うまでもなくイナゴに農薬がついてたのだ。

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 結局、ブログやサイトの炎上と、今一番ホットな不二家の状況は、実は同じ穴の狢なのである。何となくみんなが叩くから叩くのと、安っぽいペラペラの正義の名の下に平気で他者を圧殺しても良しとする性根は、その卑小さにおいてさほど離れてはいない。

 そうは申せ、「正義」や「是」はたしかに存在する。それも価値の多様性なんてもんぢゃなく、一意の。

 ずいぶん茶化して書いたけど「企業の責任」・「食の安全」なんてお題目も間違っちゃいない。それを軽んじた結果、かつて水俣や神通川・阿賀野川流域で、あるいは粉ミルクを飲まされた赤ん坊、サリドマイド、スモン、カネミ・・・・・・不幸な人が多数生み出されてしまったという事実をおれたちは絶対忘れてはならない。企業にはやはり責任がある。

 しかし、ネタ探しに利用してるだけに過ぎないのに、その「正義」や「是」を大上段に振りかざすメディアや流通に、安易におれたちが追随し、罵声を浴びせるだけの資格や資質を持っているかどうかは別問題だ。
2007.01.29
----Asylum in Silence----秘湯 露天 混浴から野宿 キャンプ プログレ パンク オルタナ ノイズまで
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