「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
ちょっとデカすぎ・・・・・・広がる一方の4WDの車幅


ボディスペック的に今一番欲しい大きさやね。エンジンスペックは悪い冗談やったけど。

 ごくたまに平日が休みになることがある。家のすぐ目の前には広い国道もあるのだけど終日混んでるので、ちょっと近くに買い物、とかはたいてい裏道を行く。

 裏道なだけに離合するのがギリギリのところも多いのだが、短気なおれはひどくイラつく・・・・・・というのも、平日の昼間の住宅地をクルマで走るのは主婦、あとは年寄りが多いのだが、コイツ等がそろいもそろって運転が異常に下手な上に横着だからだ。とはいえ、このことについては世の中の常識、周知の事実なので今さらクドクド書いても始まらないのでサラッと触れるだけにしとくが、ともかく4m道路で1.8mの車幅のクルマで幅寄せができず、左端に50cm近くも余裕残したまま、それもすれ違い怖くて亀がうずくまるようにジッと停まられても困る。無論、ミラーを畳むなんて気も利かない。挙句の果てはこっちを睨んだりするバカもいる。

 「ヘタの分際でデケぇクルマ乗ってんぢゃねぇよ!このクソババァ!クソジジィ!」と、大人しいおれはクルマの中でだけ悪態をつく(笑)。

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 現在、おれのクルマは3ナンバーだ・・・・・・といっても、エンジンはともかくボディ的には横幅だけが5cmほど5ナンバー枠より大きいだけで、あとはその寸法に収まっている。いわば「控えめな3ナンバー」といったところだろう。
 しかし、思えば、各社オーバーフェンダーで265/70R15タイヤを突っ込んで無理やり車幅広げてた時代、コイツが初めて「専用ボディ設計」でオバフェンに頼らず3ナンバーで出てきた。それに乗ってるのだからおれも同罪だ・・・・・・と分かってても、あえて書いてみたい。
 以前にリッターカーについて書いたけれど、今日も似たような話、その4WD編だ。

 そろそろそのクルマもガタが来はじめてるので、次の候補を考えて各メーカーのサイトを調べたりしてる。たしかにリッターカーはいいけれど、子供も大きゅうなったとはいえいっしょに乗って、道具を積んで遠出することもあるのでいささか役不足だ。また、山越えのショートカットで無造作に荒れたダートの林道に入っていくこともあるし、冬場は雪道をスノボに出かけたりもする。

 それには4WD、それもシッカリした最低地上高(200mm以上)や、少々ハードヒットしてもシャーシがいかれない頑丈さ(だからラダーフレームが望ましい)、荷室の広さも欲しい・・・・・・となると、おのずと条件は絞り込まれて、いわゆる「クロカン系」「オフローダー」と言われるトコに落ち着かざるをえない。

 ところが主要諸元ってスペック表を見て驚いた。コイツ等が近年そろいもそろって巨大化してるのだ。特に横幅。ランクル100やサファリなんかは元々デカいので放っておいて、いわゆる「中〜小型」のあたりでちょっと拾ってみよう。

トヨタ Prado 1,875
H/L Surf 1,910
RAV4 1,815
ニッサン X−Trail 1,765
ホンダ CR−V 1,785
スズキ Escude 1,810
Jimny 1,475
ダイハツ Bego 1,695
マツダ Tribute 1,825
いずれも現行、または最終モデルのデータ。ラダーフレームは今や少数派。

 ね!?軽のジムニーや、単に背の高いスモールタウンカーにすぎないビーゴ以外は、近年発売モデルほど、「ムダに幅が広がってる」のが良く分かるよね?

 ブームも去った今、クロカン系4WD(RAV4やCRVあたりはカッコだけだが)に乗るなんて、単にハッタリ好きの見栄坊でなければ、それなりに海山に行ったりすることが好きな人が多いと思うけれど、山奥の細い道なんかではしかし、車幅なんて無ければ無いほどいい。車幅の広さは、オフロードパークとかで遊ぶには問題ないだろうが、実際の道路事情にはまったく合わないのだ。

 道に覆いかぶさるように両側から木々や雑草が繁ってることもある。
 路肩が崩壊しかかって実際より狭くなってることもある。
 轍に雨水が流れてえぐられてできた深い溝を避けねばならないときもある。
 無論、対向車が来たり、登山者が列なして歩いてるのに遭遇したりもする。

 そんな時、あと10cm、15cmが意外にモノ言う。今のおれのクルマのサイズでも正直、うっとぉしいときが多い。

 車体長は鼻突っ込めればたいていの道は入れるのでまだいいとして、車幅の狭さはホント、オフローダーでは重要な要素だと思う。なのに車幅は広がる一方なのである。どぉなってんだろ?

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 いやいや、問題は4WDだけではない。全ての種類のクルマが巨大化してる。

 理由は3ナンバーの減税措置のためである。日本には元々何だか良く分からん「3ナンバー/大きいクルマはステータス信仰」が根強くあったところに、しょーもないクルマ売りたいアメ公からの外圧もあって、ここの部分をバブルの頃に規制緩和したのだ。そしたらまぁ、世の中3ナンバーだらけになっちゃった。「大きいことはいいことだ」のスローガンは、60年代だけの亡霊ではなかったのだ。

 オマケにデザイナーは開発秘話、とかでバカの一つ覚えのように言う----「サイズの規制がなくなって伸びやかなデザインが出来るようになりました」。
 アホ抜かせ!色々な制約の中で使える製品をデザインするのがインダストリアルデザイナーの腕の見せ所やろうが!?デザインのためのデザインなんてしてるようぢゃ三流やで。A・イゴニシス(初代ミニのデザイナー)の墓参りでもせぇ!!
 ポルシェ911なんて、今はデカくなったけど964系までは1,650ほどしか車幅が無かったハズだ。それでもあのデザイン、優雅で伸びやかぢゃないですかぁ?そりゃぁその分、中は狭いけど、それさえも「包まれ感」とかゆうて、ありがたがってませんでした?

 こうしてドターッと横幅のあるクルマばかりがあふれ返ることとなったが、道路の幅や駐車場の幅まで3ナンバーになったワケではなく、ましてや車格に合わせて国民の運転技術が高まったワケでもないので、冒頭のような、狭い道路が余計狭くなる、という滑稽な事態を招くことになってしまった。

 これが実態だ。ナァ〜ニが「伸びやか」やねん。置き物とちゃうぞ。伸びやかに走れてこそナンボやんけ。

 何も肩と肩がぶつかり合うような軽自動車の世界にまで小さくしよう、とは言わないが、日本人の平均的な体型なら5ナンバーの車体サイズで十分だ。それともアナタ、あるいはアナタの連れ合いは「でぶや」に出演するのが似合いそうな人なのだろうか?

 ま、いいや。今日は4WDに特化して書いてるんだった。

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 セダンやクーペについてはもう何も言いません。

 言いませんから、もしメーカー各社がマジメにユーザーの真の利便性考えてクロカン系4WD作ってる、っちゅうんなら、今一度5ナンバーフルサイズのをリリースしていただくことを切に願う。逆にエンジンは3リッターでも4リッターでも構わない。ボディが小さいからってエンジンまで小さくする必要はどこにもない。
 リジッドなパートタイムでなくちゃイヤだ、サブトランスファーが生えてないとイヤだ、などとマニアックなことは言わないし、コンフォートユーティリティがどうのこうのなんて贅沢も言わない。ヘッドクリアランスもひじ掛けも席と席の間のジュース置場も要らない。

 要らないから、家族4人とキャンプ道具、あるいはスノボ道具をソコソコ満載にできる積載性、ストレスなく高速を500km走れる動力性、田舎道で離合に苦しまず、最後の数kmの悪路を分け入って行けるコンパクトさと走破性を兼ね備えた、そんな中型4WD・・・・・・メーカーさんよ、お願いだから安易に3ナンバーサイズに走らず、5ナンバーの枠内でもっかい頑張ってみてくださいよ!!


これの4ドアロング、車幅ストレッチモデル作って、2リッターエンジン突っ込んで出してくれんかな?
2006.06.22
----Asylum in Silence----秘湯 露天 混浴から野宿 キャンプ プログレ パンク オルタナ ノイズまで
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