「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
ホンマもうゾロゾロと・・・・・・ツーリングクラブに想う


ゾロゾロ系御三家、と呼びたい。

 子供の頃から通信簿の行動欄には、協調性のなさがいつも指摘されていた。それ見た母親からは、「オマエはホンマに要領が悪い」などと、ボヤきとも小言ともつかない繰り言をグチグチ言われる。おれはやっぱ悪いことなんかな〜?と一応は協調性のなさの害悪について考えてみるのだが、サッパリ分からない。ないことが何でそんなにイカンのかは、未だもって不明だ。
 そしてむしろ、考えれば考えるほど「協調性の強要」には、「一人一人の個性を大事に」とかのお題目の空々しさや偽善ぶりがはしなくも露呈していることばかりに気づかされるのだった。

 ----協調性なんて、みんなで協力せんとできんよーなコトんときだけ発揮すりゃエエやんか。そんなに協調性が大事なんやったら、個人別にテストなんてすんなよ!

 ・・・・・・なんてクソ生意気な結論におれは思い到った。今でもそう思う。

 そんなんだから、乗り物、とりわけバイク好きになったのは自然な帰結、っちゅうヤツだろう。本来、単車には協調性なんざまったく要求されないアソビだからだ。レースではみんなで走るぢゃないか?って指摘もあろうが、アレに必要なのは「駆け引き」である。協調性とは違う。

 なのに、だ。

  晴れた日の高速のパーキングエリアを見てみるがいい。何ぢゃこりゃぁ!?のバイク軍団である。3台4台、気心の知れたもの同士ならまだ分かる。10台20台と同じようなバイク、同じようなカッコで固まってる連中がウヨウヨしてる。
 今回は、このアホみたいに数珠つなぎになることがうれしくってたまらない単車乗りの連中について書いてみよう。

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 大体においてハーレーが多いように思うが、これは小銭ができたけど運動能力の低下したオッサンの単車への憧憬のイコンと、現実に取り扱える動力性能、手の届く値段、それらの一致する解のポイントがちょうどハーレーだから、っちゅうだけで、さほど深い意味はないと思う。BMW、ドカティ、カワサキetc・・・・・・それぞれに群れておられる。ご苦労さんなことに、停まるたびにヘンテコリンなチームの旗を広げて飾ってる連中までいる。
 で、そのナンバー見ると、都内ナンバーが大半。ここ、まだ高速入口から100kmも走ってまへんで(笑)。

 観光バス奪い取って、コイツ等のバイクを片っ端からグシャグシャに踏み潰して回ったらどんなにかスカッとするだろう、などとだだっ広い駐車エリアの照り返しの中、おれは夢想してしまう。
 10台も20台も連なって、行儀良く隊列組んで走って何が楽しいんや!?オマエ等デモか!?パレードか!?示威行動か!?「鰯」か!?そんなに集団で行きたいんなら、電車かバスで行け!ボケ!ガソリンのムダぢゃっっ!

 以上がツーリングクラブってーのだろうか、単車で群れる連中に対する率直なおれの意見だ。群れて走るなんざ、単車乗りとして根本的に失格だ、とさえおれは思っている。何故なら、帰属から、しがらみから、因果から、紐帯から・・・・・・全てのおれをつなぎとめるものから、たとえテンポラリなことだと分かっていても、離れるための道具だからだ。

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 とはいえ無論、数名くらいでなら単車で出かけたことはこれまで何度もある。

 けれど、それでもつるんでは走らなかった。観光とか食事とか宿泊だけはキチンと決めて、あとは全部自由行動。「何時にどこそこの駅前で集合!」とかの約束にだけは遅れないよう心がけて、好きなように行く。ユックリ走りたいヤツはそれで良し、トバして寄り道したり遠回りしたいヤツもまたそれで良し、気ままでキラクなもんだった。
 今は携帯電話も普及したので、昔よりずっと楽にできる集団行動(?)のスタイルだと思うけどな。

 ・・・・・・え!?誰かが事故ったらどぉするんだ?って?

 このような寝呆けたご意見を疑いもなく言える人は、言うまでもなくハッピーなバカである。これまた、おれ的にはバイクに関わる資質なし、と判断せざるを得ないカテゴリーの人だ。
 自己責任、それだけのことやん。道間違えたんぢゃないかと不安になるのも、転倒するのも、ガス欠起こすのも、ポリに捕まるのも含めて、全てだ。だから楽しいのだ。

 無論、全てのサークルをおれは否定する訳ではない。およそあらゆる球技は一人ぢゃできないし、冬山にいきなり単独行で登ろうとしても、それは単なる自殺行為だ。シッカリした先達にいろいろなことを教わりながらステップアップして行くのが望ましい。スキューバなんかも同様だな。

 でも、単車やろ?公道をフツーに、どころかトロトロ走るだけやろ?安全運転で。せいぜいマフラーがちょびっとうるさい程度のさ。それも直管にコーラの缶でも突っ込んでんならともかく、保安基準だけはクリア、みたいな。

 たかがそんな単車ごときで集団に帰属したがるその心性が、おれにはどうしても理解できない。まだ、珍走族や旧車会の集団暴走や、俳句や生け花のサークルの方が理解できる。前者は違法行為を行うために数にモノ言わせるのであり、後者にはペダンティックとはいえ、一人では不可能なライバルとの切磋琢磨や研鑽があるからだ。
 単車サークルにあるのは、せいぜい新車自慢かパーツ自慢が関の山だろう。その前に突き出たハラとハゲ治せ!

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 ・・・・・・なーんて、さんざエラソーに書いておいて、ここに告白するならば、実はおれは、過去に単車サークルの結成に立ち会ったことがある。ゴメンなさい!ゴメンなさい!ゴメンなさい!ゴメンなさい!ゴメンなさい!
 誘ってきたのは、これまで何度かエッセーの俎上に載せられたK田。もう、大学も卒業間近の頃だったが、いつもののっそりした話し方で、「ツーリングチームのトレーナー作るんやけどのぉ、ハナシ乗らんかぁ〜?」って言ってきたのだ。

 聞けばメンツはあと2名しかいないと言う。一人はたま〜に下宿に遊びに来る、K田と同じ大学の1100カタナを駆るS君、どうやら彼が主催者らしい。あとは会ったことないけどSR500に乗ってるヤツ。何とまぁ、おれを入れても4人しかいないではないか(笑)。唯一の入会条件は「限定解除ライダーであること」だそうで、そりゃ〜メンバー集まりませんわな。当時は今みたいに教習所で大型免許が取れなかったので、限定解除は恐ろしく狭き門だったのだ。
 他ならぬK田の誘いだし、4人ならまぁいいか、それに・・・・・・と、おれは話に乗ることにした。

 ほどなくしてパステルピンクのトレーナーは出来上がってきた。ウサギのイラストと「Touring Club Pyon2 Power」のロゴが丸く描かれている。けっこう厚手のいい生地で、オリジナルモンにありがちな粗悪な感じはない。
 しかし、肝心のサークルそのものは、ただの一度も活動することのないまま卒業・就職の時期を迎え、みんな京都を去って行った。たぶん、活動のことなんざこれっぽっちも考えてなくて、ただもう記念品を作りたかっただけなのだろう。ま、おれも薄々分かってはいたことだったからこそ話に乗ったのだったけど・・・・・・。
 トレーナーそのものはツーリングの時の中間着として、その後もかなり重宝した。

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 話を戻そう。

 何の疑いもなく10台も20台もゾロゾロ単車で群れてるアホどもよ。
 別に群れる必然性もない趣味を拠り代に、ウダウダと組織を形成するアホどもよ。
 それもブランドや型やウェアまで揃えて集団に帰属しようとするアホどもよ。

 おれはおまえ等を見ると虫唾が走る。ましてやチーム名に「フリー」だの「ワイルド」だの「スピリット」だの無反省に付けてるのまで見ると、その鈍磨した神経に吐き気さえする。

 オマエ等は、醜く、卑しく、浅ましい中産階級の恥部だ。サイアクだ。


附記:
 何となくこのような事例に該当するのがやたらハーレー軍団なので、改めて断りを入れておこう。たしかにおれは個人的にアメリカン、とりわけその象徴であるハーレーダビッドソンが大嫌いである。しかしながら無論、だからっちゅうてハーレーに乗る人が嫌いなわけではない。
 おれはタコが嫌いなのだが、だからといって、タコが好きな人まで嫌い、ってことはないのと、言うまでもなく同じである。


ハーレーはキライぢゃがビューエルは好きよ♪

2006.06.14
----Asylum in Silence----秘湯 露天 混浴から野宿 キャンプ プログレ パンク オルタナ ノイズまで
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