GRECO Electric Guitar "MRn-140" |
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出会いはいつも突然に・・・・・・。
何でその日、出先でそのリサイクルショップに立ち寄っろうって気になったのかは分かりませんが、ヒヤカシで入った店内に吊られてたのがコレ。
グレコ渾身の・・・・・・そして薄倖の名作である”MR”です。 |
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70年代半ばにエレキギターに目覚めた者ならば必ず見たことがある、ヤマハSG等と並ぶ国産オリジナルの嚆矢的存在で、当時のグレコのカタログの表紙はこれが誇らしげに大きく載ってました。 |
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状態もひじょうに良く、後先考えずにまたもややらかしちゃいました。
ちなみにこれは2012年、2度目の復刻モデルである”MRn−140”。
プレーントップの140、杢がラミネートされた150、パーツ類をグレードアップして豪華なインレイにした180の3種類がリリースされました。 |
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基本スペックは共通で、2ピースのメイプルにマホガニーバック、3ピースのメイプルネック、24.75インチスケール24フレット仕様で、ピックアップはどれも”Classic
Screamin’”が2基。
エボニー指板も目の詰まったのが奢られてますな。
ちなみにメーカーサイトでは「オーバーバインディングフレット」となってるのに、そうなってないのが不思議・・・・・・ひょっとしたら再発前のプロトタイプが市場に出回ったのかも。 |
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オリジナルと同じく、24フレット化によってピックアップの間隔が狭く、ハムの3ピックアップ仕様は不可能。
独自サイズのハムバッキング付けりゃ良かったのに・・・・・・。
この辺のツメの甘さが後々祟った気がしますね。 |
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オリジナルはバダスブリッジの改良版(?)のBR2020って3点止めの不思議な国産パーツでしたが、これはアップデートされてグラフテック製の”RESOMAX
WRAP NW1”っちゅうのが付いてます。 |
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まぁ昔のバダス系のチャチさからすると、随分と洗練され、かつヘビーデューティーになってる印象。 |
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コントロールは1V・2Tで、ノブの位置とか良く考えられてる気がします。
とても使いやすい。
ちなみにオリジナルはレスポール丸出しな2V・2T仕様でした。 |
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上から撮影。
ナットも気合入ってて人工象牙のTASQだそう。
この拡がった独特のヘッドデザインはGOシリーズ等にも採用され、オリジナルモデルの証のようになってました・・・・・・が、実は3×3のヘッドって、上がすぼまってる方が弦の方向や重量の点で理に適ってると言われたりしてます。 |
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レスポールを下敷きにしつつ、ちょっとボディは薄めで、さらに角の辺りにコンター加工が入ってさらに薄くなってます。
そのため、見た目の重厚さよりはかなり軽量です。
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ボディとのジョイントは22フレット。
噂では接合面積を稼ぐためにテノンはFピックアップ下まで伸びてるみたいです。
思えば70年代ってムダに24フレットが流行りましたよね。
「ギタリストの情熱と感性を刺激する!」な〜んてクッサいコピーが各社のカタログに溢れてました。 |
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今回の復刻に当たっては、ロゴに当初ボツとなったデザインが採用されたそうです。
このMR誕生には70年代グレコ躍進の立役者・奈良史樹氏という方が深く関わっており、復刻版の”n”はあるいは敬意を表してそのイニシャルの意味も含んでるのかな?と思ってます。
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オリジナルと大きく異なるポイントはココ。
トラスロッドの仕込みとカバー形状。
初期の製造工場がフジゲン、この復刻版は寺田楽器ってコトでネックへのトラスロッドの仕込み方法が異なるのかも。 |
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裏返してみました。
異様までに「しもぶくれ」なフォルムが良く分かります。
駄文でも触れた通り、あたしゃこの「ナスビ系」、大好きなんですよ。 |
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ボリュートの付けられたネック裏。
実際メイプル3ピースなら強度があるんで要らんっちゃ要らんのでしょうけど。
”MADE IN JAPAN”のスタンプが誇らしげ。 |
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ちょっと斜めから。
ちなみにペグはGotohで、これもカタログのGrover102Cとは異なってます。
・・・・・・まぁグローヴァー、重いんであまり好きぢゃないからエエんですけどね。
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コンターというにはいささか雑にスラントカットされたツノ周辺の様子
ボディバックのマホガニーに間違いはないみたいですが、どうみてもコレ、1ピースだったりします。
つまり、この点ではカタログよりアップグレードされてて、ワケが分かりません。
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ボディサイドにも薄っすらとコンター加工がされてるのが分かります。
ちなみに初代と1回目の復刻に、これらのコンター加工は施されていませんでした。
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配線の様子。
ひじょうに丁寧に導電塗料が全面塗布されてます。
内部のザグリも昨今のギブソンなんかとは比較にならないくらいに綺麗。 |
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スイッチとジャックはどうやらスイッチクラフトみたい。
そんなんより、もちょっとリード線に太いのを這わせてほしかったな。
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カーブドトップの宿痾と言えるエスカッションの割れがすでに発生しています。 |
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どのメーカーのでもまぁこれは発生するもんなんですが、特にグレコの古いのは樹脂の問題なのか、こうして結構割れてるケースが多いような気がします。
ピックアップだけがギターの音色を決定付けるワケではないでしょうが、ヘンな鼻詰まり感のない素直で低域が締まったバランスの良い音です。
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ヘッドロゴがアバロンに対し、ポジションマークには白蝶貝が使われてます。
ただのパーロイドかと思ってたら違いました。
フレットがオーバーバインディングになってないのが良く分かりますね。
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思えばダブルカッタウェイに24フレット仕様、バダスブリッジ・・・・・・70年代半ばの流儀そのままです。
本来バダスって、ギブソンのバーブリッジやダンエレの箸にも棒にもかからんブリッジのアフターパーツに過ぎなかったんですけどね。
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トップのメイプル2ピースもひじょうに精度が高い合わせ方。
これは有名なエピソードなので敢えて書く必要ないかも知れませんが、元はバッドカンパニーのミック・ラルフスのシグネチャーモデルとして作られたみたいです。
だから”MR”なんですな。
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ストラップを付けてみました。
ところが初代MR、あまりにデザインオリエンテッドで設計されたために、とにかくボディバランスが悪かったと言われます。
ミック・ラルフス自身も殆どライブ等では使ってなかったんぢゃないでしょうか。
セールス的にもイマイチで、4年ほどでカタログ落ちになりました。
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・・・・・・で、そのバランスの悪さを改善したのがこの復刻版・・・・・・だったハズなんですが、それでもムチャクチャに悪かったりする。
とにかく左右のバランス悪くて弾きにくいんですよ、コレ!
そのままだと左にネック寄り過ぎて、だからって抱え込むとストラップが鎖骨に食い込み、ボディフォルムもあって右肘の置場が落ち着かない・・・・・・と。
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音そのものやネックのタッチなんかは最高に良いんですが、いっちゃん肝心の提げた時の収まりの悪さがホンマもぉ天下一品のこってりラーメン。
だからってイスに座って弾いても、くびれの位置がヘンで何ともシックリ来ない。
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そんなんで実は初代でも後発のMR−600はネック仕込み位置が深くなり、それでもダメで仕切り直しになって、MXってシリーズでさらにネック仕込み位置やボディシェイプを見直してようやく落ち着いたと言われてます。
その甲斐あってか、MXのイバニーズ版と言えるARなんかはその後も長くブランドの屋台骨を支えました。 |
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ボディがかなり薄く作られてることが良く分かります。
レスポールだとジャックプレートの上下に5mmづつくらい余裕がありますもん。 |
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0を示すコントロールポインターとか、この辺は愚直にレスポールをお手本にしたのが良く分かります。
ぶっちゃけスピードノブは回しにくくてハットノブの方が好きなんですが・・・・・・。
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この辺から見た感じが好き・・・・・・って、よく見ると僅かながらタイガーストライプが出てるような。 |
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あ〜!薄っすらと片側には杢が出ちゃってますねぇ。
いや、実は私、タイガーとかバーズアイ、キルテッドとかゆうて杢をありがたがるのがよぉ分からんのです。
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この辺から見るとホンマ、安産型っちゅうか何ちゅうかドッシリしててMRらしい。
しかし、これだけ量感タップリな下半身にも拘らずヘッド落ちが凄まじいんですわ。
SGや焼き鳥なんて可愛いモンっすよ、マジで。
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「国産で独自の良いエレキギターを作る」っちゅう理想と情熱が作り出したこのギター、オリジナルでも惜しみなく良い材と技術を注ぎ込まれてたのは間違いないと思います。
しかし、根本的に人間工学的な目線やプレイヤビリティの検証が欠落してたこともこれまた事実でしょう。
そんな「偉大なる失敗作」な一方で私を含む多くの日本のおっさんギタリストのギター遍歴の原点とも言えるグレコ・MR・・・・・・その直系リイシューであるこのMRn、欠点だらけではありますが末永く大事にしたいと思います。
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