「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
 GIBSON Electric Guitar " SG Special '60s Tribute "
 
・・・・・・またもややらかしてしまいました。

2011年のギブソンのリミテッドランシリーズの1つ、"SG Special '60s Tribute"です。
  見ての通り、スモールガードにP−90を組み合わせた、マニア心をくすぐる外見に、まずは一目惚れしてしまったのです。
  いささかグロテスクともいえるフォルムはこれまであまりに好きになれなかったんですが、P−90付だけは別格。

さらには楽器屋で試奏してホント驚きました。実にいい感じで良く鳴るんですよ。
オリジナルはストップバーもしくは、ショートヴィブラートですが、実用性を重視したのか、T.O.M.になっています。

実際この方が弾きやすいしチューニングも精度が出ます。
コントロール部のアップ。

サーキットはレスポールと同じ2V・2Tで、普通のハットタイプのノブです。

ジャックの位置は良く考えられてあると思います。
 コントロールキャビティの蓋。

1つのザグりにすべての配線を収めようとしたところに、当時の合理性の追求が感じられます。
斜め上から見たところ。

61年のオリジナルよりネックの仕込み部分が大きく取られてあることが分かります。

ネックはフライングVより若干太め。おまけにスタッドボルトのネジ溝が甘く、弦高があと0.1〜2mm下げきれないのですごく太く感じます。
ヘッド部の拡大。

突板はクリア塗装なし、デカールタイプの金ロゴ、刻印なしのトラスロッドカバー・・・・・・と、とにかく仕上げ等の点では貧相そのもの。

フライングVと同じく1コブのクルーソンの樹脂ペグですが、6角ネジとワッシャーで押さえてあるのは、チューニングの安定性を求めてのことだと思われます。
裏から見たところ。

まぁUSメイドなんてどぉでもいいんですけどね。

強度的な効果がさほどないためか、近年のギブソンにはボリュートが付いていません。
 ギブソンらしく角度の付いたヘッド部分。

ナットはナントカ言う名前のハイテク素材。
ネックの付け根部分の拡大。

塗装のいい加減さが良く分かりますね(笑)。

接続部分を22フレットから19フレットに伸ばしたことで、ネック強度を稼いでいます。
この結果か、泣き所のデッドポイント問題はかなり解消されているようで、明瞭な音のツマリ等は感じられません。

むしろフライングVの方が3弦9フレットのE音に明瞭なデッドポイントがあります。
このギターの音を特徴付ける2発のP−90。

地味な存在ですが、クリーン良し、歪ませて良し、ボリューム絞っても、トーン絞っても独特の個性と表現力があって、大好きです・・・・・・その分、演奏技術のアラも目立ちますけど(笑)。
シールドプラグの長さとほとんど変わらない極端に薄っぺらなボディ。

これでもオリジナルよりは若干分厚くなってるというから驚きです。

形もクワガタなら、薄さもクワガタ(笑)。
このボディの薄さのもたらす、何とも言えない「パコパコ感」がSGサウンドの真骨頂と申せましょう。

ある意味アコースティックな響きとも言え、生鳴りがデカい。
SGのフォルムを決定的に特徴付けるツノ部分の拡大。

俗に「ジャーマンカーヴ」と言われる面取りが良く分かります。
反対側の拡大。

見た目はアレでも、ハイポジションの弾きやすさは抜群。
ボディサイド部分の拡大。

この辺はストラトのコンタードボディに対抗したんでしょう。

こうして見ると、木の貼り合わせではレスポールより端折ってますが、プレイヤビリティに関する部分では意外に手の込んだ木材加工が施されてたんだってことが分かります。
ナッシュビルT.O.Mは最近仕様変更されたようで、かつての国産みたく、ブリッジ駒に弦の溝が彫られてあります。
P−90、音の素性はとても良いのだけど、ノイズのデカさにはいささか閉口します。

そぉいや昔持ってたのもノイズ拾って困りましたね。

プラスチックの蓋の裏にアルミホイル貼ったり、ピックアップキャビティに導電塗料塗った方がいいかも知れません。
全体を後ろから見たところ。

元はマーチンのドレッドノートのフォルムが下敷きってのが分かるような分からないような・・・・・・(笑)。

左右は微妙に非対称で、提げた時のフィット感を優先したのだと想像されます。
ストラップピンの拡大。

このピンはネック接合の構造部品を兼ねてるので、実は移動厳禁だったりします。

かましてあるのはお馴染みジム・ダンロップのストラップロック。すべてのギターにこれ付けてます。
ピックガードもコストを下げるためか、1プライになっています。

赤鼈甲柄にしたら目立ちそう。

今はピックアップやポールピースの高さは買った時のままで触ってません。
ちなみに、ラッカー塗装ゆえ、安いスタンドにはブラ必須。

最初からついてる転倒防止のゴムリングは使えなくなるので、私は極太ヘアバンドを切ったものをこのようにはめています。
いや〜、ウィンドミル奏法したくなるなぁ〜!

全体としてはチープな造りですが、ギターなんて弾いてナンボ、振り回してナンボなんで、音のエロさだけがすべてな、ナカナカに漢な1本でしょう。

・・・・・・当てたらイッパツでバラバラになりそうですけど(笑)。
ちなみにストラップは980円で買ったバッカスの極厚・極太・パッド入りの物。

ボディの軽さと相まって、四十肩への負担が少なくていいです。
ともあれ、アタマでっかちでバランス悪いとか、そもそも形がブサイクとか、いろいろ欠点も多いんですが、ホントとにかく音そのものがいいんですよね。

安いからってバカにせず、一度試してみる価値は絶対にありますよ、これ。

パンキッシュな外観とは裏腹に、案外、何本もギターを渡り歩いた人がハマる「大人の上がりギター」的な性格だと思います。
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