「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
GIBSON Electric Guitar "2017 Firebird"

忙しさにかまけてギャラリーの整備をほったらかしてたファイヤーバードです。

このヘンテコリンな形には昔から惹かれてましたが、フライングV以上にクセの強いギター故、ナカナカ思い切りが付かないままでした。
ところが2017年の暮れ近くに立ち寄った楽器屋で、新品ちょいキズが何と98,000円で出ており、以前同じ色のでマエストロのバイブロアーム付を逃してたのもあって、キメてしまいました。

昔の国産コピー物より安いくらいです。
フェンダーに対抗するためにデザインされたと言われるヘッド。

むしろ往年のTEISCOのヘッドみたいですけど(笑)。

この6弦側が長いデザインのせいでテコの原理が働いて、とにかくヘッド折れが多いのは有名・・・・・・ほぼ宿痾とか欠陥って言って良いレベル。
ディッシュインレイのギターを買うなんて30年以上ぶりです。

サイドのバインディングやナットは昔と違って真っ白。

オーバーフレットバインディングにはなってないので、1弦が少し弾きにくい。
独特のスルーネックを強調するためかボディの左右との間に段差が設けられてるのは昔のままです。

指板はローズですが、最近のギブソンのパターンで染色されていました。
名前を表すグレービングが施されるのも昔と変わらず。

ピックアップセレクターがこの位置にあるのは、ちょっと使いにくいかも。
サーフロックに似合う音を追求して生まれたという奇妙なミニハムバッカー。

とにかくギブソンの音の太さを期待するとコケます。

昔よりは改良されたのか若干出力は上がりましたけど、やはり低域が弱い。。
SGと同じようなコントロールの配置。

一時期プラグジャックはボディサイドに移ってましたが、この年くらいから元の位置に戻っています。

相変わらず急にボリュームが上がるようなヘンなコントロール。
裏から見たところ。スルーネックであることが分かりますね。

ネックはマホガニーとウォルナットの積層になっており、サンバーストカラーだと良く分かります。

普通に構えると向かって右側の角が肋骨やら腹に当たってしまうのが困りモノ。
このストラップピンはとてもデキが良い。

ストラップロックなしでも少々のことでは外れません。
「合わない」・「替えが利かない」・「ムダに重い」で長年悪評高かったバンジョーペグは、スタインバーガー製のギアレスチューナーに変更されました。

これも今回、購入を決めた理由の一つ。
弦を真っ直ぐ通して表のペグで固定し、裏のペグを回すとポストが沈んでって弦が張られるというひじょうに秀逸な仕組み。
こんな風になってます。

弦がポストの中に引き込まれてるのが分かりますね。
欠点だらけなファイヤーバードの大きな欠点の一つに、「ボディと弦の間が広すぎる」というのがあります。

昔よりは少し改善されてましたけど、やはりかなり違和感がありますね。
ギブソンとしてはミニハムに対してそれなりの自信と拘りがあったのか、70年代のレスポール・デラックスなんかにも使われてました。

見方を変えるとなるほど「クセのない音」ではあります。
この細いグリップで、長大なヘッド、マホガニー材、それで裏面のボリュートもなく、トラスロッドのザグリや木ネジの穴が2個も空いてりゃそりゃぁ折れやすいですわな。
斜め横から見たところ。スバルが車体色に好みそうなちょっとグレーがかったようなペルハムブルーが実に美しい。

弾きやすさではより過激な形のエクスプローラーの方が遥かにラク。

ただ、このフォルムそのものは本当に優雅で良いですよね。
レイ・デートリッヒはたしかに優れたカーデザイナーであったとは思います・・・・・・ただ根本的にギターのコトは分かってなかった(笑)。

とにかく提げた時のポジションの決まらなさは唯一無二。

クドいようですが、エクスプローラーの方が全然取り回しが良い。
ただ、そんな実用性でファイヤーバードを語るコトがそもそも間違ってると申せましょう(笑)。

不死鳥どころかもぉ焼鳥みたいなギターですけど、これにしかない魅力があるのは事実です。
ついでに「畳」と称される巨大なハードケースもご紹介。

・・・・・・って、これだけ見ても大きさのイメージできませんよね。
ギターを仕舞ったところ。

ザックリ言うと、フェンダーのジャズベースのハードケースをさらに大きくしたくらいのデカさです。

ギター本体は軽いのに、このケースの重さたるや尋常ではありません。
小物入れもハンパなく広くて、色々入ってました。

左上の黒いのはストラップ、右上はチャンと調整してることを証明するための生写真。
実は、軽量化とダウンサイジングがされたケースに代わった時期もあるんですが、どんな理由があったのか、結局は昔からのこのバカデカいのが復活してます。
ちなみにこれ買った時点で既に、名門・ギブソンの深刻な経営難は伝えられてましたが、半年後にはホンマに倒産しちゃいました。

今から思えば、カラマズーで手工業的にやってた時代が花だったんぢゃないかって気もします。
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