「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
DANELECTRO Electric Guitar "Shorthorn 12-6 Doubleneck"

 
こうしてやらかすのが加速してる今日この頃・・・・・・。

新たにコレクションに加わったのは、元祖ビザールギターのダンエレクトロ、それもダブルネック。

いや、以前から探してたのが中古で店頭に並んでるのを見付けて、後先考えず購入してしまったんです。

しかし、弾かれた痕跡がほとんどありません。
数あるダノの変な特徴の一つ、同軸ポットのヴォリューム/トーンコントロール。

作業工数削減のために考えられたそうです。

ちなみに右のトグルが12弦/6弦の切り替え、左がピックアップ。
12弦側ブリッヂの拡大。ボディにベタ付けされています。

全ての弦が独立してピッチ調整できる、およそダノらしくない(笑)精密な造りで、おそらくゴトー製。

下に見えるのは後述しますが、ネジ穴を埋めた痕。
反対にアバウトの極みの6弦側ブリッヂ。こっちはボディから浮いて付けられてます。

3本のスタッドボルトは単なるほっそい木ネジ(笑)。

テンションに負けて後ろ側のプレートが壊れそうになってるのも実に不気味。
12弦側のヘッドの拡大。

俗にコークボトルと呼ばれる細いヘッドと何となく古風なロゴ。

この形状は、往年のESP・ランダムスターでパクられてました。
6弦側はなぜか違う種類のペグが付いています。

こっちの方がちょっと安っぽい。
これもダノの特徴であるネジ止めされたアルミ製のナット。

耐久性は不明です。
それでもオリジナルに忠実だった初期再生産のよりはマトモな形になりました。

ちなみに6弦側は指板に対して、チャンと垂直になってなかったりする(笑)。
裏返してみたところ。

トルク調整可能なゴトー製が付いてます。
6弦側もトルク調整可能なタイプ。

シールはないけれどゴトー製でしょう、多分。

白いプラスチックのボタンペグの方が「らしい」んですけど、チューニングに難ありで、採用されなくなったようです。
ヘッドにはギブソン系のような角度が付けられており、強度を稼ぐために割り剥ぎになっています。

12弦はどうしても太いので慣れは必要ですが、これはまずまず弾きやすく、押弦もラクな方です。
こちらは6弦側の方。

ナットが傾いてるのがお分かりでしょうか?

マット塗装のネックは形状的にも弾きやすい方だと思います。
有名な建材テープの貼られたボディサイド。

テープが縮んだのか、若干浮いてきてます。

ネックポケットの精度は悪くないですね。
ボケを活かしてブリッヂ部分を拡大・・・・・・ギターの写真の撮り方としては間違ってるな(笑)。

ブリッヂプレートが弦のテンションに負けて曲ってます。
ジャック部分。

全体的に電装系パーツも貧弱で、なんか脆そう。
こんなところまでケチるなよ!と言いたくなるペラペラのピックガードは実に2点止め。

ちなみに塗装は自動車のボディカラーみたいなパールホワイト。
裏返してみました。

殺風景な表に対してやたらネジがたくさんあります。

左下の蓋はステンレス製で、ただネジで止めただけ。

ひっかけるとケガしそう。
これも改良された4点止めのデタッチャブルネック。

初期再生産モノはオリジナルに忠実だったため、「タテ一列3点止め」っちゅうムチャクチャな仕様でした。
ピックアップの高さ調整はここで行いますが、回してもほとんど動きません(笑)。
そしてこれが最大の問題点。

下のネジの列は元の裏通しの穴を埋めたもの。

恐ろしいことに12弦側はスケールを間違えてブリッヂが付いていたのです。
そんな出鱈目ぶりの一方で意外にネックはマトモ。

厚いローズウッドも結構目の詰まったものが使われてます。
ただ、強度を稼ぐために接合部分を広く取ったので、ダブルカッタウェイであるにもかかわらずハイポジションでの演奏性は絶望的に悪い。

おまけにストラップボタンが妙な位置で付いてて、12弦側はさらに使えない(笑)。
まぁ、ダノは「ギターの形をした玩具」みたいなところがあるんで、細かいことは気にしちゃいけません。
有名な、ハードボードとベニアで作られた中空のはりぼてボディは超軽量。

音はこれまた意外なことに結構使える音です。

構造ゆえにセミアコっぽく、センターポジションではシリーズ接続になって、歪ませると生々しくも太い音が出ます。
大手術のおかげで12弦側もキチンと使えるようになりました。

ちなみにトーンはギブソン系の配線と違うようで、センターでも前後それぞれが独立して効いてます。

それを上手く使うのがいい音にするコツかも知れません。
超広角で見上げてみました。

確かに図体はデカいけれど、軽量ゆえに立って長時間弾いてもあまり疲れません。
上から見るとなんか強そう(笑)。

12弦側はピックアップの出力の低さとペナペナの造りがいい方に作用して、ひじょうに繊細な音がします。
ある意味、フェンダー以上に合理主義の塊で、革新的な構造とも言えるダンエレクトロ。

チープでキッチュが身上なのに、重厚長大なダブルネックのアンバランスさが何とも言えません。

しかし、幅は狭いものの、キワモノと切って捨てるには惜しい実力があると思います。
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