「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
2021 岐阜~愛知(二日目・後半)

さらに南下して次の目的地に到着。

旧・名鉄の美濃駅跡です。この辺の他の路線より一足早く、1999年に廃線になりました。
美濃の旧市街は「うだつの上がる街並み」として有名だったりしますね。
駅舎はひじょうに美しい状態で保存されてます。
車両の方もこんなカンジですぐにでも動かせそう。
・・・・・・って、線路はぶった切られちゃってんですけどね。

左端のはかつて鉄道友の会のナンチャラ賞ってのを受賞してました。
優雅な意匠の差し掛け屋根の骨組み。
朝夕を中心にケッコーな頻度で列車が出てたことが分かります。

それでも廃止。名鉄の経営はホンマにクールでドライでシビア。
そうそうこの駅、ってか町、野口五郎の出身地なんですよ。
だからここをロケ地にした作品なんかもあるみたいです。
野口五郎って西城秀樹・郷ひろみの「新・御三家」の中ではちょと地味でしたけど、個人的にはこの人、日本人では珍しいギフテッドなんぢゃないかと思ってます・・・・・・何せまぁ、岐阜ですし(笑)。
ナゼか「ご自由にお持ち帰りください」って新古品の台所用品が大量に置かれてありました。

マドラーとチーズスライサーはその後愛用してます。
何かしかし、これだけ立派な駅でも廃止なっちゃうんかと思うといささか切ないっすね。
・・・・・・では町を散策してみましょう。
そもそも「うだつ」って何だ!?っちゅうと、要は隣家との防火壁です。
分かります?屋根の縁に沿って塀みたいになってるの、これが「うだつ」。

昔はそれなりにお金持ちでないと立てられなかったものみたいです。
俗にパッとしない人を称して「うだつの上がらないヤツ」な~んて言いますけど、っその語源らしい。

・・・・・・え!?ワタシ!? 一向に上がりませんねぇ(笑)。
ちなみに美濃市がうだつの専売特許のように宣伝してますけど、実は四国・徳島の美馬市にもあったりします。

美濃と美馬・・・・・・似てますねぇ。
それはともかく、こうした古い町の風景は何か良い。

心が和みます。
古い町には欠かせない造り酒屋もあります。
・・・・・・ってか、かつてはちょっとした町で水さえ良ければ、必ず酒蔵は存在しました。
二階家の横張り出しタイプのうだつもありますね。
しっかし、町並み保存で規制が掛かる前にモダンに建て替えちゃった家ってナニゲに肩身の狭い思いしてるんでしょうかね?
MFTの残念なポイントは、ボカシにくいってトコでしょう。

まぁ、望遠使えばボッケボケにもできるんですが。
古い町のお約束の一つ、琺瑯看板。

いっぱい種類あるように見えますが、実は全部多木肥料の製品。
たまにこうして家の二階の軒下に神棚祀ってあるのって見掛けますよね?

カラクリ人形でも出て来るのかな?
しかし、これだけの観光資源に恵まれた町でも少子高齢化・過疎化の波は押し寄せているようです。
ちなみにこの美濃の町は和紙で有名です。

障子紙のサイズにも「美濃判」ってのがあるくらいで。
変わってこちらは長良川鉄道(旧・越美南線)の美濃市駅。

随分町はずれにあって、あまり利便性は良くなさそう。
ホームへは地下道を潜って行きます。
まぁまぁ沢山走ってますね。
築堤の上に上がってみました。

V字型の差掛屋根がレトロモダンな雰囲気で好ましい。
駅本屋を見下ろしたところ。

うだつは上がってませんね。
続いては少し南下して関善光寺。
ここも紅葉真っ盛り。
まずは大日堂・・・・・・って、パイナップルの上に乗ってるのかと思いました。

印相も智拳印ぢゃないっすね・・・・・・「カンチョー!3年殺し!」とかやられそう。
こっちが大仏殿。
入ったんですけど、真っ暗で卍かどうかもサッパリ分かりませんでした。

ちなみに入場すると、梵字夜光ステッカーがもらえます。
紅葉って、狙って行くと見れないことが多い気がします。
肝心のこれが大仏・・・・・・を名乗るほどでも。

フツーに丈六でした。
天台宗の寺らしく護符は角大師。
・・・・・・って弘法大師もアリなんかいっ!?。

呉越同舟、宗派のデパート状態。
まぁそんなアバウトさは、いかにも陽気で強かなプラグマティストの美濃商人らしくって良いですけどね。
・・・・・・って欲張ってコース詰め込み過ぎました。時間押しまくり。

ナンボ何でもハラが減る。
・・・・・・ってなワケで、近頃は最早定番である鰻をば。
美濃も関も長良川医沿いの町なんで、川魚をウリにした店が多いです。
鰻重ではなく鰻丼、ってのがシブくてエエ感じ。

ちょっと時間が遅く夕食で苦しむのもイヤなんで、「中丼」ってのにしました。
焼きは関西系っすね。

フワトロの関東系もまぁ悪くはないけど、川魚らしいクセまで味わうんなら関西系だと思います。
具沢山な吸い物。
漬物はつぼ漬けだったかな?
・・・・・・で、肝心のお味の方もワタシ好み。

ワリとアッサリ系なんだけど食感がシッカリあって・・・・・・タレの味自体はナゼか諫早の「福田屋」を想い出しました。
ヨメも大満足♪

「孫六」って名前はいささかベタでしたが、味はマジで美味かったです。
続いては、道路挟んで向かい側にある「岐阜関刃物会館」へ。

関市は日本最大の刃物の町だったりします。あの貝印も元々はここが発祥の地。
ちょっと張り込んで、ダマスカス包丁を大小2本買いました。

メチャクチャにスパスパ切れます。
さらにその近くのフェザーミュージアムに。

剃刀っちゃぁフェザーのイメージありますよね。
ミュージアムっちゅうよりラボの入口みたいな雰囲気。
中はホンマ、博物館っぽいお堅い感じでいささかビックリ。
実はフェザー、今はリテールはあんましやっておらず、医療用のメスとかが主力だそうです。
時間が押してて駆け足でしたが、ココは関観光では外せないスポットのように思いました。

何かガチでコアな雰囲気あるんですよ。
リスカの痕だらけだったりしたらコワいかも・・・・・・。
さらにその足で線路の向こうにある常光寺へ。
何とココ、観音堂が懸崖造りなんですよね~・・・・・・廊下を支える斗組が特徴的。
こんなに立派なのにあまり宣伝されておらず、あろうことか無住だったりするのが悲しい。
チャンと整備して駐車場も作れば好い観光スポットになれるのに、実に勿体ない。

これ撮影するのも、交通量の多い道路脇にクルマ停めて何十秒かで終わらさざるを得ませんでしたもん。
ア、アカン!マジで時間押して来てるがな!

色々端折って岩坂グリーンロードってのを南下し、各務原パークウェイってのに入ってすぐの立岩不動に到着。
お!意外にスゴくね!?
誰がどぉ見てもこりゃ磐座ですがな。
しまったなぁ~。

ペース配分間違えたかも。
続いてはその少し先の山中不動院。
少し説明すると、この各務原の山中には、それが柳の下の泥鰌を狙ったのか?何かそうした流行りがあったのか?は分かりませんが、迫間不動を中心にどっかB級でディープな土俗の香り漂うナンチャラ不動ってのが多数点在してます。
ズラッと並んだ幟ってもぉそれだけでディープ。
実はもうだいぶ日が暮れて来てます。

秋って行動できる時間が短いですよね。
ほほぅ!コンクリート脚だけど懸崖造りやんか。
不動と言えばやっぱし滝ですわな。
その横には御籠堂になった岩窟もあります。

・・・・・・ってかもうずいぶん遅いのに、実は周囲では地元の人なのか信者なのか、結構な数の人が黙々と作業中。
最近、磐座にも慣れて来たんであまり驚きませんが、冷静に考えるとこれだけでもケッコーな大きさですよね。
思うに、元々あった巨石信仰と修験道、そしてずっと時代が下って明治~大正くらいの宗教ブームなんかが渾然一体となってる気がしました。
人よぉさんおんのに御朱印はセルフ。
何はともあれ一個ゲットできて嬉しそう。

これまであまり蒐集には興味示さなかったのに、これは結構ハマッてますね。
いよいよ中核的存在の迫間不動へ。

ここは門前に僅かながらも土産物屋や食堂があったりします。
山内もムチャクチャ広大。

昼間の早い時間に来たって回れませんわ、こんなん。
とにかくまぁ登ってってみることにします。

しかし、薄暗くなって来て雰囲気がなんか怖いっすね。
谷間に妙に立体的にカクカクと通路があります。
奥ノ院到着・・・・・・意外に近かったな。
建て替えられていささか味気ないですが、ここも懸崖造りなんですよ。
真っ暗な中で揺らめく御燈明。
息苦しくなるほどの、この濃密な空気。

決して澱んでは無いんだけど、とにかく重い。
やはり御嶽信仰もスゴく入ってますね。
何だかミョーにヌーッとした感じに写っちゃいました。
滝、枯れちゃってまっせ。
今なお深い信仰を集めてることがヒシヒシと伝わりました。

しかし訪ねた時間も悪かったんでしょうけど、この辺りのお寺は何だかどうにもサイキックな雰囲気が濃すぎて、ちょとコワかったです、私には。
はぁ~!長かった!

ようやく今夜の宿、犬山温泉「旬樹庵・八勝閣みづのを」に到着。
まずはお茶ぢゃお菓子ぢゃ。

何と三種類も載ってますやん。
うわぉ!すんげぇいい部屋ぢゃん!

ここ「コネクティングルーム」って、通常だったら最低でも一人4万円くらいするトコです。
対岸には国宝・犬山城が見えます。
しばらくするとライトアップされました。

手持ちでこれだけ撮れるんだから、マジでMFTの手ブレ防止機能はスゴい。以前のD810では到底ムリでした。
ホンマ、三脚なんて全く使わなくなりましたね。
かつてこの木曽川河畔には多数の旅館が櫛比しており、名古屋の奥座敷として随分賑わったそうですが、今は4軒くらいしか残ってません。
・・・・・・と、感傷的なコトを並べるよりもとにかく風呂ぢゃ風呂ぢゃ!
高級感出したいために照明をアンダーにするのは分からんでもないですが、風呂まで暗くするのは危ないで。
川に面した露天風呂からも国宝・犬山城が・・・・・・いや、色んな表記見ても「国宝」って必ずアタマに付いてんですよ。

よほどの自慢なんでしょうね。
残念ながら混浴でもなければ、家族湯なんかもありません。

観光旅館なんだから仕方ないですけど。
実は温泉地としての歴史はひじょうに浅く、源泉を掘り当てたのは平成になってからだったりします。

それまではみんな料理旅館でした。まぁ鴨川に並んでるようなあんな感じやったんでしょう。
風呂も入ったし、メシやメシや~!
最近ちょっと気の利いた宿はこうして最初に数品並べといて、後から一品出しするトコが増えましたね。
食前酒。

思うんですが、食前酒ってどこも甘過ぎません?もっとサッパリしてた方が料理の味が分かる気がするんですが・・・・・・。
白和え。
造り盛り合わせは「季節の三種盛り」ってなってますけど、多分年中この組み合わせではないかと・・・・・・。
鮭きのこ鍋は大きな切り身が二切れ。
秋野菜煮物・・・・・・要するに南瓜と茄子と子芋の炊き合わせですな。
こちらに来たら超定番、牛の朴葉味噌焼・・・・・・ホンマは朴の葉を直接炙るんですけどね。

飛騨牛ではなく、国産牛って書いてるトコが正直で宜しい。
稲荷蕎麦。

ちょっと趣向が変わって面白い。
海老の湯葉巻き揚げ。

誰が流行らせたんか知りませんけど、バカの一つ覚えっちゅうか、最近やたら抹茶塩って濫用されてるような気がします。
松茸茶碗蒸し。
お昼の鰻、並みにしといて良かったぁ~、と。
食事も当然のように国宝・犬山城を眺めながら。

食事もリバーサイド、向こうにお城~。
ご飯と味噌汁。

旅館の赤出汁ってナゼか美味い。
嬉しいコトにご飯にはトロロ付き。
香の物二種・・・・・・って要するに沢庵と柴漬けやん。
デザートは栗の乗っかったムース。

手堅い献立でしたが、温かいモノは温かく、冷たいモノは冷たく、最後まで愉しめました。

GoToTravelで格安で行っといて、生意気な口叩いちゃいけませんよね。
電飾ツリーも近年、LEDが普及したコトでやたらと見掛けるようになりました。

何を言いたいんか?っちゅうと、要はいささか食傷気味だなぁ~、と。
それにしてもとにかく照明がアンダー。
アンダーアンダー、ってもぉ往年のアホな自動車評論家ぢゃあるまいし。
あ!そっか、コロナで商売苦しいんで電気代節約してるのかも。
そんなこんなでするコトだけは済ませて、早目に寝ました。

明日は最終日、まずは犬山城に行って、後はこれまであまり回ったことのない平野部で何ヶ所か尋ねる予定です。
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