「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
2021 岐阜~愛知(初日・春日鉱山特別編)

さて、続いては一部でチョー有名な春日鉱山にやって来ました。

驚嘆すべきここの風景とそのスケールは、こうして特別編として纏めたいと思います。
春日鉱山とは、伊吹山の北東、国見岳の東麓に点在するドロマイト鉱山の総称で、中山・美束・白河の鉱区に分かれていました。

まずはちょっと離れたところにある中山坑へ。
県道沿いにホッパーが並んでるのですぐに分かります。
産出量の増大に合わせて都度々々建て増されてったんでしょうね。

この現物合わせなチグハグさは模型では出せないリアリティかも。
こんな風に道路沿いにホッパーの残骸が並んでます。

写真で見ると分かりにくいんですが、晩秋特有のメチャクチャ冷たい時雨が降り始めました。
絶対これだけぢゃねぇだろうとアタリを付けて、少し離れたところのほぼ廃道な急坂を上がると・・・・・・ありました。
シッカリとコンクリートの擁壁で囲まれた坑道が暗い口を開けています。
その手前にはナカナカ好ましい形をした小屋。
内部は御覧の通りの荒れっぷり。

根太が完全に腐ってるっぽいんで入るのは断念。
そして、コレですよ!コレ!

鉱車の列がそのままになっています。
7~8両は繋がってるんで、それなりに大規模に採掘してたみたいです。
機回し線になってるみたいですね。

どんな使われ方をしてたのかはあくまで想像ですが、ここから先程のホッパー上部にまでバテロコで押すか引くかしてたんでしょう。
深いコンクリートの桝は、落っこちたら運動能力低下著しいオッサンには上がれなさそう。
鉱車の種類についてあんまし詳しくないんですけど、側面が開くようになってるんでグランピー鉱車ってヤツだと思います。

スノボのパークにあるレインボーレールみたいなんが線路横にあって、それに引っ掛かると車体が傾いて中身が下にこぼれるような仕掛け。
しっかし、ドロマイトってどれくらい採算性があるモンなんでしょうね?

ここで唐突にマメを突っ込むと、ちなみにドロマイトの語源はイタリアのドロミテ渓谷みたいです。「泥」ではありません。
大きな配電盤らしきもの。

ひょっとしたらこの小屋は変電所だったんかな?
今はすべてが静かに朽ち果てて行こうとしています。
いや~、ホンマここは撮影敢行したかったなぁ~!
でも、マジでメチャクチャ寒いんですよ。
今となってはどのような使われ方をしてたのか、サッパリ分かりませんねぇ~。
そぉいや鉱車には付き物のバテロコが見当たりません。

閉坑の際、大して金にならない鉱車だけが放置されてったんでしょう。
坑道からの排水はいったんここに貯められてるみたいです。

丸くはないけどシックナーなのかも。
少し上がったところには見事に骨組みだけの鶏ガラ状態になったトタン小屋の跡。
これぢゃぁもう何が何だか分かりません。
片隅にはグラインダーらしきもの。

作業小屋とかそんなんでしょうか。
小屋はもう一つあって、こちらはスレート波板張り。
比較的大きな建物で、厳重に施錠されてました。

閉山した今もそれなりに管理はされてるような気がします。
鉱山での仕事の基本はとにかく安全第一なんでしょうね・・・・・・ま、他の産業でもそら大事ですけど。
そろそろ次のトコに向かいましょう。

見上げると、かなり高い所を線路が通ってたことが分かります。
続いては美束坑。

春日鉱山といえば、大抵ここを正面から撮ったのが紹介されてる気がします。
どんなラインがどんな風に走ってるのかサッパリ分からない作りは、石灰系の鉱山らしい気がします。
想像するにここは原石のかなり大きな塊を上で粉砕して、下に落としてたんぢゃないかと・・・・・・。
当然奥に向えば坑口等の施設もあるんでしょうが、ちょっと深追いするのはヤバい気がしてここで止めときました。
上に上がれば間違いなく、トロッコのレールは来てるハズだと思います。
結局、どんな鉱山も基本は一緒で、1.鉱石を掘り出す⇒2.それをある程度選別する⇒3.適当な大きさにする⇒4,積み込む、ってなプロセスを踏んでます。
・・・・・・で、装置産業のようで労働集約型なんで、それなりに人はいて、人がいる以上休憩室やら更衣室・食堂・風呂・トイレ・詰所・事務所等が周囲に作られるし、それなりに大きな機械を扱ったり排水あったりするんで、電気小屋・ポンプ小屋・工作室・物置等もできる・・・・・・と。
シューターが奥に向けて二連になってるってコトは、相当大きいダンプが入ってたと思われます。
しっかし、老朽化がハンパない。

やはり積雪地だけあって傷むのが早いのか、至る所で鉄板が「韓国海苔」状態になってます。
貴重な産業遺構なんでしょうが、こうしてこのままユックリと崩壊して行くしかないのかも。

コンベヤがこうして正面側にあることからすると、他の鉱区から出たのも一旦ここに集めて、集中的に粉砕してたのかも知れません。
そして最後にやって来たのが白河坑。

川向こうの集落の外れの高台にあります。
ここは右上を走るレール上のトロッコからスロープ状のシューターに落としてた模様。

上の画像はその下部で、そのまま貯蔵してたみたいです。
レールの末端は小屋の先にまで伸びてるんで、それなりに何両も連なった鉱車が押し込まれてたんでしょう。
うわぉ!

ここにもグランピー鉱車の列。
うわぉ!

現役感を漂わせたニチユのバテロコも。
先程、下から見上げたレールの引上線。

ここにもバテロコ・・・・・・那珂川清流鉄道保存会のオバチャンに引き取ってもらって保存していただきたい。
バテロコの全景。

天井が低い坑道の中を行くためにひじょうに平べったく、運転席が申し訳程度にしか付いてないのが特徴。
ちょっとした大型犬の犬小屋くらいな大きさです。
思うに、ここまで見て来た中山・美束を閉めながら、さらに新しい坑道開発に備えてここに集めたんかな?・・・・・・と。
・・・・・・っちゅうのも、ここは先刻の2つに較べるとそこまで打ち棄てられた感じが薄いんですよ。
運転席のアップ。

手前は充電の端子のついた何か。
しかしここ、ロケーションとしては最高なんですけど、川向こうからは丸見えなんが難点のどあめ。

そもそも、入り込んでウロウロしてるのだって宜しくないっちゃ宜しくないですし・・・・・・。
グラインダーは個人的に欲しいモンなんで、すぐに目に付きます。
今はかなり埋もれちゃってますけど、現役時代はかなり多数の線路が引き回されてたことが分かります。
奥の方にも施設が点在しており、この白河坑は川に沿って細長く広がってたことが分かります。
倒壊した小屋の下にもバテロコの姿。

状態はひじょうに良く、少し整備すれば動きそう。
坑口入口にはホイールローダー。

ここもシッカリと擁壁で囲ってあり、それなりに管理の行き届いた鉱山だった気がします。
雨風を凌げるここに置いた、っちゅうことは今後も使い続ける気だったんでしょうね。
坑道近くには小屋があって内部には大きなポンプが鎮座していました。

出水は鉱山にとっては非常に大事な問題であり、大抵はこうしてどこかにポンプ小屋があります。
しっかし、何ともスチームパンク的な良い形してますね。
木箱を載せただけのような台車。

ダイナマイトとか運搬してたのかも。
廃鉱山の配電盤は必ず開けられてる、ってのはここでも。
もう一つ坑口がありました。

ドカシーに包まれてるのはやはりホイルローダー。
グランピー鉱車はこちらにも多数留置されたままになってます。
またもやホイルローダー。

この規模でこんなに沢山同時に動かしてたとは思えません。これも恐らくは閉坑したトコから持って来たのかな?・・・・・・と。
これは何に使ったものなんでしょうか?
さらに分からないもの。

周囲は冷却フィンのように見えますね。
想像するに、この線路はズリ捨て場に向かってたんぢゃないか?って気がします。

大体、ホッパー等のある方向とは逆向きの敷地の外れ等に置かれることが多いですから。
イマイチこれらのシーナリィの貴重さが理解できない様子。
異様に広いトイレ。
あ!、かつてはここにもホッパーが存在したみたいです。

たしかに、これだけの規模でホッパーが一ヶ所しかないってのはちょと不自然だと思ってました。
大量の書類が残ったままの事務所。
どうやら2005年までは操業してた模様です。

廃墟探索での最重要アイテムの一つはカレンダーぢゃないかって気がします。
ラジカセ兼カラオケ・・・・・・ってか、これ幻のLカセットやん!

バックルがあるトコからすると、拡張マイクなんかもワンセットになってたのかな?
こちらは部品類の倉庫だったみたいです。
片隅にはロッカーがあるんで、ここが事務所兼更衣室件休憩室・・・・・・つまり中心的な施設だったと思われます
春日坑はさらに2ヶ所に分かれてたコト、遅くとも2006年(平成18年)の春にはまだ操業してたことが分かります。
「発破日誌」っちゅうどんなけダイナマイトを使ったのかの管理簿。

使ってる本数が1回で225本とかケッコー大量。
坑口前での記念写真はすっかり色褪せ、湿気に腐蝕してしまってました。
所轄の労働基準監督署の指導が厳しかったのか、はたまた会社の安全意識が高かったのか、こうした注意書きはかなりシッカリした作りのモノが多い気がします。
何かもぉしかし、これだけ貴重な産業遺構がこんなに大量かつ無造作に放置されたままになってるとは・・・・・・
・・・・・・いささか呆然としながらそろそろ探索を終えることにします。
ん!?こりゃぁドコ―ビルレールとちゃいますのん?

だとしたらケッコーこれだけでもめっちゃ貴重やんか。
終始ヨメは「ハァ!?」ってカンジでしたが、あたしゃまずまず満足で次を目指すコトにします。

まぁ、心残りは寒さとロケーションが開放的過ぎて撮影敢行できんかったことですね。
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