「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
2020 栃木(初日・後半)

そぉいや昼食がまだでした。

山を下って来ると、下界の方がむしろ紅葉の真っ盛り。
ちょっと時期外しちゃいましたねぇ~・・・・・・しっかし、ただでさえ紅葉のジャストタイミングを狙うのはむつかしいのに、このコロナ禍で動きにくかったんで、しゃぁないです。
あんまし下っても元に戻るのが大変なんで、那須湯本から少し下った交差点の店に入ることにします。

「水車の里・瑞穂蔵」って店でした。
古民家移築系ですね。

最近こぉゆうのを見るとついつい「ナンボ掛かったんやろ?」って考えてしまう自分がコワひ・・・・・・。
紅葉は少しアンダーで撮った方が良いとは分かってるんですが。
GoToキャンペーンのせいか店は満員で、ケッコー順番待って入店。

那須はもう、泊まり掛けで行く観光地ぢゃない・・・・・・っちゅうか泊まる人はみんなオートキャンプ場、みたくなっちゃってるのかも。
スナップとは申せ、額縁構図っちゅうヤツっすねぇ。
民芸的な演出は分かるんですが、床の間に米俵は謎アイテムかも。
ヨメは野菜中心の「田舎膳」
ワタシは「鶏南蛮膳」っちゅうのにしてみました。
ご飯と玉子はお代わり自由だったかな?・・・・・・ってちょっと遅くなったんで、今夜の宿の食事も考えて抑えましたが。
今夜のビールの仕入れにさらに下ると地味な酒屋を発見。

素晴らしく色付きの良い紅葉が植わってます。
紅葉はよほどの青空でない限りは空を入れないように、メリハリのために枝を入れて少しアンダーで撮る、っちゅうセオリーは正しいのかも。
しかし、12-100mm/F4.0は使えるなぁ~。

恐るべきレンズだと思います。
部屋呑みの酒も仕込んで再び山の上の方へ。足許の背後にチョロッと見えるのは「駒止の滝」。

坂道を上がったトコの駐車場にクルマを停めたら、後は歩きです。
かぁ~・・・・・・完全に冬枯れの景色ですやん。

どうだろ!?2週間くらい遅かった感じですかねぇ。
アップで撮ってみました。

しっかし滝って、遠望してもあんまし面白くないっすね。
どうやら滝へのアプローチは厳しいみたい・・・・・・いやまぁ、行く気もありませんけど。
ダラダラと谷底に向かって下って行くと・・・・・・
・・・・・・時代から隔絶されたような一群の建物が見えました。
那須最後の鄙び系とも言える「北温泉旅館」です。

古くは「岐多」あるいは「喜多」と記された時代もあるみたいで、元々は湯が崖を何条にも分かれて流れる様から名前が付いたらしい。
古色蒼然とした帳場附近の様子。      
案内されたのは「竹の間」。

「松の間」が一番古くて安政年間、ココは明治初期に出来たらしい。   
まぁここでも十分古いです。
レトロな風情は大好きですが、ぶっちゃけちょと寒いかも。

夜の冷え込みがいささか心配になったりして。
かつて湯治が信仰と表裏一体になってたことを物語る、雲肘木に刻まれた梵字。

崩し過ぎで良く分かりませんけど、多分不動明王を表す「カーン」でしょうか。
電灯の侘しさが好い感じ。
「松の間」「竹の間」「梅の間」が客室、「亀の間」は大広間です。

「鶴の間」は古い写真には奥にそれらしいのが見えることから、大水等で流されたのかも。
宿に着いたら、何はともあれ取り敢えずはビールっすよ。
ちなみに部屋の位置は鵜の入口付近の写真の、看板の上あたり。

そんなんで到着する宿泊客が良く見えます。
こりゃ早目に風呂に行くのが正解かも。

メチャメチャ人気あるんやんか、ココ。
行燈型の館内の行先表示。

普段ならもう少し画像を明るくするんですが、今回は敢えて暗めにしてます。
日露戦争の戦勝記念奉納と思われます。

全体が闇に沈んでいくような暗さこそが、この旅館の独特の空気感ではないかと思います。
温泉神社。

奥の扉を抜けて上に行くことが出来るようになってます。
その隣は温泉薬師。

土俗のディープな雰囲気が館内に満ち溢れてます。
「ギヨッギヨッ、グフッグフッ」って割烹着の女将が出てきそう(笑)。
「松の間」に向かう廊下。

下を温泉が流れてるのか、この辺は何となくムワーッとしてます。
もっとも建設時期が古いのはこの辺みたいですね。
自分が今建物のどの辺の何階にいるのかが分からなくなるのは、如何にも増築を繰り返した湯治場らしい。

・・・・・・火事になったらヤバいですけど。
まずは一番奥にある「家族湯」へ。
見ての通りの狭さで、3~4人も入れば一杯の湯舟。
雰囲気はオドロオドロしいこの温泉、実は泉質自体は単純泉だったりします。
同じようなアングルが多くて済みません。

家族湯だけにとにかく狭いんですよ。
すぐ隣は打たせ湯で、二条の湯が落ちています。

ビチビチ・ベチベチ、あんまし好きではありませんが。
思えばこの「片足を掛けるポーズ」が多い気が・・・・・・。
奥には珍しい煉瓦造りのお堂。
そのまま「天狗の湯」に移動します。

入れ替わるようにして若いカップルがやって来ました。
ココは北温泉の象徴ともいえる浴室。
巨大な天狗の面が掛かる大きな混浴の浴槽のすぐ脇には脱衣場。

関東以北の湯治場ではケッコー良く見掛けるスタイル。
お茶とコーヒーは控えろって決まり文句なんですけど、カフェインが何かアカンのですかねぇ?
効能書きは今風の表現のヤツで、イマイチ面白くありません。
どれだけ今も利用者がいるのかは分かりませんが、湯治場らしく自炊用の台所もチャンとあります。
続いては「河原の湯」ってのに行きましたが、こっちは芋の子洗い状態で早々に退散。
「相の湯」と「温泉プール」に向かいます。

昔は「泳ぎ湯」っちゅうて風呂扱いだったような・・・・・・。
日帰りの入浴を受け付けてると、どうしても世知辛いコトが起きちゃいますね。
しかし、宿泊客の大半はさっきの河原の湯にばっかし入って終わりみたいな気がします。

後はどこもガラガラですもん。
男女別になった「相の湯」。

ナカナカ好ましい雰囲気ですが、メチャクチャに熱い。
その外が巨大な温泉プール。

ちなみに関東に越して来てすぐの頃に、天狗の湯とここには入ってます。
やや温めの適温なのは良いんですが、とにかくこの巨大な浴槽は滑るんですよね~。
なもんで湯船の真ん中の方に行くのはちょとコワい。
摺足で慎重に移動していきます。

それにしてもこの暗さで意外とカメラが粘ってくれるのにビックリ。
つげ義春の有名なイラストと同じアングルはムリでしたな・・・・・・。
どんな画像処理エンジンになってんのか分かりませんけど、アップにした方が画像は荒れ気味なように思います。
やっぱし摺足で戻って参りました。
そろそろ上がることにします。
結局、誰も来ません。

あんなに泊り客いてこんなに広いのに貸切状態。、ありがたいこってす。
ISO3200でもそこそこ見られる絵になってくれるのは嬉しいかも。
何てーか、ISOが上がっても発色はヘンに緑に転んだりがないように思います。

MFTの高感度耐性の弱さに上手く付き合ってチューニングしてる印象ですね。
館内に戻る通路はローカル線の駅の入口みたい。

並んだ除雪用のスコップの数が冬の厳しさを物語ってます。
これは気付きませんでした。

温泉神社お参り前に足を洗う場所・・・・・・手を清める手水場は至る所で見ますけど。
ちょうど夕食の時間になりました。

こうした山の宿の常で、食事の時間は一斉に始まります。
竹輪とシシトウ、椎茸の天ぷら。

最初から天ツユが滲みてて、これが意外にジャンクな美味さ。
メインディッシュがトンカツなのは山小屋っぽいですね。
付出は枝豆・合鴨ロース・川魚の佃煮・おたふく豆。
小松菜のお浸し。
アユの塩焼き。
漬物。

駐車場からの荷物の上げ下ろしがカートでしかできないことを考えると、かなり手間暇かかった料理だと思います。
湯滝ってほどの流れはなかったような・・・・・・(笑)。
追加で出てきた里芋とつみれ、揚げ団子の炊き合わせ。
味噌汁。
遅い昼食からまだそんなに時間が経ってないので、いささか苦しい。

ちなみに隣は明らかに不倫旅行な齢の離れたカップルでした・・・・・・会話で丸分かりやって。もっと上手くやらんと(笑)。
それでも辛くも何とか完食。

ちなみにヨメはほぼ同じくらい食べるのに、普段の運動量が多いせいか太るのはワタシだけ・・・・・・。
・・・・・・って今回はかなり手伝いましたけどね。
昔の那須の様子を伝える写真。

左下が北温泉で、川の流れや建物の配置が現在とはかなり異なってます。
理由は分かりませんが、日露戦争ネタ以外にも明治時代の遺物がとにかく多い。
亀って旧字体だとメッチャややこしいんですな。

ちなみにほぼ満館みたいで、三密もヘチマも大広間は宿泊客で一杯でした。
それにしてもこの帳場附近の様子は絵になりますね。

ちなみにヨメの後ろに貼られてるのは、映画「テルマエ・ロマエ」のロケ地になった時の様子。
帳場の様子・・・・・・「フロント」ぢゃないっす。あくまで「帳場」ですわ。
元々あったモノなのか、後から集めた民芸品なのか、価値があるのか、ただのガラクタなのか、色んなモノが混然一体となってるところがココの「らしさ」なのかも知れません。
配電盤って、何でか知らんけど撮ってしまうモノの一つ。

そのうちにこれだけでギャラリーまとめてみようかな?(笑)。
「黒羽藩御殿跡石垣」だそうです。

要は藩からの庇護によって発展してきた、と。
竹の間の一番奥は今は娯楽室として改装され、卓球台が置かれてありました。

温泉卓球してるうちに酔いが回って来て、昼間の疲れもあってこの日は早々に寝てしまいました。

明日は那珂川界隈を回ります。
----Asylum in Silence----秘湯 露天 混浴から野宿 キャンプ プログレ パンク オルタナ ノイズまで
Copyright(C) REWSPROV All Rights Reserved