「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
2016 佐原

夏の日の早朝、やって来たのは、関東を代表する水郷の町の一つである佐原。
小江戸とも称される古い街並みが今も保存され、シブい佇まいを見せています。
それにしてもちょっと早く着きすぎたかなぁ〜?

・・・・・・誰も歩いてへんがな。
古い邦画のポスターかと思ったら佐原大祭のでした。
凝った意匠のファサードが印象的。
古い商家はみんなこのような形をしてます。

京の町家と一緒で間口は狭いものの奥行はかなりあります。
早過ぎたとは申せ、このような古い街並みの観光地はやっぱし朝イチが良いですね。
どうもウジャウジャ人が歩いてるのは苦手です。
かつては水運の物資の集散地として、また商都として大いに栄えた雰囲気がそこかしこに残っています。
そして水運の街はどこも衰微した街です。
右に見えるのは「日本の音風景100選」とやらに選ばれたという樋橋です。

時間になると水が落ちるという仕掛け。
もう少し上流の方まで歩いてみることにします。
街並みは専らこの小野川沿いに広がってるようです。
舟巡りもまだ動いてません。
今でも使ってるのかな?
お!ワリといい感じに背景がボケてくれました。
引き返して駅の方に向かってみることにします。
深い軒下にはかつては荷物が山積みになってたものと思われます。
恐ろしく分厚い扉の着いた倉。
ただ、昔のままの商売をしてる家はもう皆無です。
街道沿いは小さな商店が多いですね。

「しあわせな夜をつくる」のコピーがシブい。
この辺の商店はどれも屋根が妙に重い造りなのが特徴かも。
旧・三菱銀行。

明治の煉瓦造りの様式をのままに、大正の初め頃建てられました。
いいなぁ〜、こぉゆう路地のある町って。
忠敬橋から駅までは川沿いに柳が植えられています。
何故か金閣・銀閣のお札。
積み上げられた醤油壺。
ファインダースクリーンになまじ3分割比の罫線が入ってるせいで、ちょっと最近スナップがワンパターンになってる気が・・・・・・。
ありゃりゃ!?レトロさが全く伝わらない写真になってしまいました。
廃墟と化したカメラ屋。

カメラがお金持ちの旦那衆の特権的な趣味だった時代には儲かってたんでしょうね。
流れの澱みはそのまま、この町の経済の停滞を表しているのかも知れません。
少しづつ観光客が増えて来ました。
佐原大祭の山車のミニチュア。
こんなワケの分からん演出は如何なモノか、とも思いますが。
ちなみに東京から比較的近く、古い風景がそこここに残ってることから、色んな映画・ドラマのロケ地に選ばれています。
でも、時代劇でこれが出てきたら笑うでしょうね〜。
線路が遠くに見えて来ました。
あ!成田線の電車だ。

ちなみに線路の左側は広大な更地になっていますが、かつてはデパート等があったみたいです。
レトロな近未来デザインのビルは、この町が最後の賑わいを見せてた頃のものでしょうか。
商家を模した重厚な造りの駅本屋は何年か前に再建されたもの。
川から離れた商店街もナカナカに終わった感が溢れてます。
・・・・・・大きく表示する優先順位が違うような(笑)。
とってもホラーなフォントの眼医者・・・・・・これは無いわぁ〜(笑)。
再び川っぺりに戻って来ました。
正上醤油は数駅離れたところに移転して、今でも盛業中。
電柱やアスファルトがぶっちゃけジャマ。
こんな象印の看板あったんだ!?

その右の「金星鎌」っちゅうのもシブいっすね。
実は最近シンメトリーがますます好きになって来てます。
佐原に残る2軒の蔵元のうち、馬場本家酒造。
ここは日本酒と味醂を作っています。
樽に捺す焼印。

実は焼印にはちょっと惹かれてます・・・・・・いや、BDSM的にですけど(笑)。
全てが古く重厚でいかめしい造りで、ついついお酒と味醂を買ってしまいました。

ちなみにもう一軒の蔵元は「東勲」といいます。
私が私淑して止まない江戸末期の偉人・・・・・・
・・・・・・伊能忠敬のこれは記念館。

とっとと隠居して好きなコトして暮らすのは最高です。
残念ながら館内は撮影禁止でした。
この家は「東京バンドワゴン」のロケ地だったのをそのまま喫茶店にしてます。
そろそろ舟が動き始めるようです。
伊能忠敬旧宅。
ちなみに彼は養子でこの家に婿として入り、何だかんだで本妻、後妻、内縁の愛人だか妻だか2人・・・・・・とかなりの艶福家でもありました。
あ、水が流れ落ちてますね。
そうこうするうちに舟は出発しました。
このテの遊覧船は結構好きだったりします。
乗客は10人くらいいたでしょうか。
さっきブラブラした通りの下を、ゆっくりと舟は滑って行きます。
栃木に行った時もこんな風に乗ったけかな。
下から見上げた方が情緒がありますね。
・・・・・・これはないけど(笑)。
JRの下を潜ってさらに利根川の方に向かって舟は行きます。
そうそう、水郷の町だけあってこの界隈には鰻屋が多い。
でも、今日は鰻ぢゃないんですよ。
昔はすれ違うのも大変なくらいに小舟がひしめき合っていたと思います。
そうこうするうちに元の乗船場が近付いてまいりました。
狭い町内をイヤっちゅうほど堪能したところで、次の目的地に移動することにします。
小見川の駅前は閑散として眠ったような風情です。
なのに、なぜか節句人形の店が2軒もある。
昔は利根川水運で岩槻から運ばれてた関係でしょうか。
それはともかく、こんなところに驚異の店があるのです。

それがこの「魚平食堂」。
魚河岸の看板はダテではありません。
先客に団体が入ってたために1時間待ちで出て来た名物の爆盛海鮮丼。

見よ!このビューチホーなボリュームを!
これで何と1,600円。

他のお客さんも大半がこれを注文してました。
ちなみに公式ホームページもあるチャンとしたお店です。興味のある方はどうぞ。
ご飯の量はそれほどでもないので無理なく完食。

ちなみにネタの内容はその日の仕入れによって変わるみたいです。
・・・・・・で、店出ると数軒隣にはお持ち帰り専門の餃子屋まであるぢゃないですか。
地元ではかなり有名な店らしく、ひっきりなしにお客さんが来ます。

もちろん、大量購入っすよ。
そんなこんなで廃市の落ち着いた佇まいだけで終わらないのが、如何にも我々らしいトコかもしれません。

この日は後いくつか回りながら東京に戻りましたが、レポートするほどでもないので割愛します。
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