「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
2014 三浦半島

また石切場かい!?とお叱りを受けそうなロケーションから本日の旅は始まります。
意外に思われるかもしれませんが、ここは横須賀からもほど近い鷹取山。

朝早いのでめっちゃ冷え込んでます。
そこにこのような古代神殿を思わせる採石場跡があります。
色がくすんでるなぁ〜、と思われた方は鋭い!

今回はシグマ18−35mm/F1.8の長所短所が分かるように敢えてあまり補正を掛けていません。
とにかくこのレンズ、性能は素晴らしいのですが、イージーオペレーションからは程遠いクセの強さがあります。

光が足りないとこんな感じで発色が異常に悪い。
カメラ側の彩度をヴィヴィッドにしてもこんなんだったりします。これを防ぐにはISO上げるのではなく、結局は絞りを深くして露光時間を長く取るしかない。しかしそれだと、折角のF1.8通しが勿体ない・・・・・・と。

しかし、住宅街の裏手にあるとは思ないロケーションですね。
地元の彫刻家が作ったと言われる磨崖仏。
まぁ、バーミヤンとか雲崗石窟を意識したんでしょうな。
・・・・・・で、この一枚。

光がさすとこの通り、ウソみたいに発色が良くなる。その落差が極端すぎるのが特徴です。
ちなみに、この山には上記の磨崖仏以外に、地元民が勝手に彫った(笑)磨崖仏も存在するようです。
探索しようとも思いましたが、意外に藪が深くて断念。

ダウンコートだと引っ掛けて破れる惧れがありますから。
ホント、ここまで光に左右されるレンズも珍しい。

ちなみにここはかつてロッククライミングのスポットとして有名でした。しかし、脆い凝灰岩ゆえに転落事故が続発し、今はかなり規制されているようです。
そうこうしてるうちに次の予定の時刻が迫ってきました。まだまだ見て回りたかったんですが、それはまた今度ってコトにして下ります。
時刻、とはこれ。猿島に渡る船の出港時刻。

1時間に一本なんで、乗り遅れるワケにはいきません。
漁港のネコはよく肥ってますな〜。
しかし、時間気にして早く着きすぎてしまった・・・・・・。
あ!やっとスタッフ出て来た!
この時期はほとんど運行されてません。

夏は海水浴やバーベQでごった返すようですが。
船着き場の横には戦艦三笠。

浮いてるのではなく埋められてコンクリートで固められてます。
出航時間が迫ってるんで艦内見学はパス。
そろそろですね。
けっこう豪華でクルーザーっぽい船内。
大半が釣り客。

観光客は私たちを含めて3組ほど。
10分ほどで到着。

かつては浦賀水道の入口で帝都・東京を守る基地の島でした。
そんなんで狭い島内には縦横無尽に通路が張り巡らされています。
有名な石積みの切り通し。

うう〜、暗いと発色悪いぜ!
手の込んだアーチ状のレンガ積み。

フランス積み、だったっけ?
ぶっちゃけ木道は邪魔ですね。

何でこんなどうでもいい手を加えるんでしょうかねぇ?
雰囲気あるなぁ〜。

これまで映画のロケ地やアニメのモチーフに選ばれてきただけのことはあります。
何気ない景色がとても印象的。
そうこうしてるうちに島の反対側に出ました。

こうして見ると誰もいませんが、実は我れ先に走ってった釣り人が何人も陣取ってたりします。
見ての通り、急峻な崖に四方を囲まれたひじょうに小さい島であることが分かります。

右下が船着き場、左上に今います。
てっぺんにある展望台の廃墟。

ここはかつて仮面ライダーでショッカーの基地として使われました。
アッと言う間に一周してしまいました。
こぉいった寄せた写真では無敵の描写力なんですが、シグマ。
あまりに呆気なく回ってしまい、船が来るまでまだ時間があるんでもう一回回ってみることに。

ここからは得意の超広角で。
超広角はお手軽迫力写真が量産され過ぎるのが欠点かも。
同じ場所でもこれくらい異なって写ります。
超広角はスローシャッターに強かったり、パンフォーカスに写ったりといった扱いやすい特性に依存したらアカンのでしょう。
島内を回ってるうちに気付いたのですが、この狭い中をグルグルと高低差を持って道が走ってるのは、何となく鉄道模型のレイアウトっぽい。
砲台跡。

大砲も残しておけば面白いのに。それで実射できたらもっと面白いのに。
しかし、もっと荒れた雰囲気を予想してたら、隅々まで観光地として手が入れられてる感じで、その点でちょっと物足りなかったかもしれません。
味わい深いロケーションが点在するだけにいささか残念。
あれ!?またショッカー基地に出てしまった。ちなみに老朽化のために今は立入禁止になってます。

どうも位置関係が分かりにくい。
この辺から再びシグマ。

恐ろしく浅い被写界深度で撮れるのが良く分かります。単焦点35mmと比肩しうる性能です。
それにしても寒い日ですな〜。
どこに行くのもシーズンオフが大好きな私ですが、、いくら何でも今日はオフ過ぎたかも・・・・・・。
夏場はレストランになるみたいです。
もうちょっとスッキリ晴れてくれたらいいんですが、これだけは個人の努力ではどぉにもなりません。
彼方に横須賀の町が見えます。

港のヨーコ、ヨコハマ・ヨコスカ〜♪・・・・・・っておれも古いな。
間もなく帰りの船がやって来るはずです。
来た来た。

ホイストクレーンは夏場の物資運搬用でしょう。
・・・・・・幾ら取られるんでしょうね?(笑)。
暗いと発色が落ちる特性を活かして、このようにメタリックな素材を撮ると良い雰囲気になる気がします。
こんな時にピーカンになるなよ、と言いたい。
横須賀に戻ってきました。

そうそう、海は内海なのに水はかなり澄んでます。
大分いい時間になって来たので、お昼にします。

魚市場内にある社員食堂が一般開放されてるようなんで、そこに入ってみることにします。
生シラスは300円だったかな?
日替わり定食はこのボリュームで580円だったかな?

ヨメはなぜか蕎麦にしてました(笑)。
猿島がいささか期待外れだったんで、今度は観音崎に。

ここもかつては半島全体が基地になっていました。
至る所に基地の跡が残るのですが、ここに来たらやはり外すワケに行かないポイントがここ。
「北門第二砲台観測所跡」です。
どぉゆう理由があるのか、ここはなぜか一般非公開で藪の奥にひっそりとあります。
他のポイントと異なり後世の観光用の人の手が加えられず、原形をほぼ保っています。

・・・・・・ってーか、ここまでの三枚、本日のベストショット。小さい画像で分かりにくいんですが、恐ろしいほどの空気感で撮れてます。
ちなみに背後の手すりまでオリジナルのものが残ってたりします。
入口で自分で電灯のスイッチを入れる不気味なトンネル。
今は塞がれてますが、恐らく内部は枝道トンネルが多数あるんぢゃないでしょうか。
思えば戦跡は函館山で行ったのが最初です。

意外にいい雰囲気でちょっとだけハマってます。
観光客がエサを与えるのか、ここのネコも良く肥えてますね。
第一砲台跡をバックに。
房総同様の見事なバームクーヘン切り通しを抜けると・・・・・・
灯台につきました。

どうにも曇り空で登るのはパス。
さらに下ると・・・・・・
行基菩薩由来とかナントカの海蝕洞窟。

観音崎はもうちょっと晴れた時にジックリ再訪してみたいですね。
一路山越えして到着したのは・・・・・・。
三浦半島では古い歴史と佇まいを誇る阿部倉鉱泉「湯乃沢旅館」。

不安になるほど狭い道をどん詰まりまで上がったところにあります。
中はご覧のとおりのモダンな作り。

浴客多数で風呂は撮影不能。泉質はまぁ、フツーでした。
しかし、隅々まで気の行き届いた館内は好感が持てます。
室内撮りだとシグマは無敵に近い性能を発揮してくれます。
24〜50mmあたりでもう少し距離長めのズームにしたらもっと良かったのかも知れませんね。

18〜24mmはもっと凡庸なレンズでもカバーできますから。
背後は見事に蕩けてます。
女湯にも沢山人がいてかなり芋の子洗い状態だったとのこと。

住宅地が迫るだけでなく今は真下を高速道路が通り、やりづらいコトもあるでしょうが、永く続いてほしいシブい鉱泉でした。
・・・・・・さて、地図を頼りに辿り着いた本日最後の目的地はココ。
実はガセぢゃねぇのか?と半ば訝しみながらやって参りました。
三浦半島のゴーストタウンと言われる一角です。

何とまぁ、谷間に沿った集落がゴッソリ無人化してほぼ廃村状態になってます。
今はたった一人の住民である老婆がいるだけ、後は半ば藪に呑み込まれるようにして何十軒もの廃屋が建ち並んでいます。
年代物のスクーターの残骸があちこちに転がってて不気味。
何でこんなことになっちゃったかっちゅうと、バブル華やかなりし頃、とあるデベロッパーがこの一帯を大規模造成しようとして地上げしたらしい。
ところがほどなくしてバブルは呆気なく崩壊し、業者は倒産、造成はほとんど手が付けられないままストップし放置プレイ。

そして地上げに屈しなかった一軒だけを残して、20年以上の時が過ぎた、と。
立ち退きに応じた家にはおそらく応分以上の保障があったのか、調度類がかなりゴッソリ残されてる印象です。
そんなワケで今や、たった一人のためだけに存続するこの踏切。

いろいろと考えさせられるスポットでした。
スッカリ日の暮れた中、懐かしい味に再会。

伊勢佐木町にある札幌スープカレーの名店「RAMAI」の支店に寄りました。北海道同様、ちゃんと玉子はうずら卵使ってます。
そんなこんなで最後は美味いカレーで舌鼓、マニアックな今年初めての小旅行は終わりました。
----Asylum in Silence----秘湯 露天 混浴から野宿 キャンプ プログレ パンク オルタナ ノイズまで
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