「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
2012 第2回道南(二日目前半)

夜が明けました。

朝靄の中、函館市街が彼方に見えます。
北海道の旅館は暖房効いてるからジャージは暑いで、って忠告したんですけどね~。
まだみなさん寝静まって森閑とした館内。
何はともあれまずは朝ごはん~♪っと。
洗濯機や乾燥機が置かれてあるところからすると、シーズンオフは道路工事関係者の飯場代わりに使われてるのかも知れません。
食堂は山小屋風の造りになってます。
巨大なドラム缶ストーヴ。
無料サービスの朝食。

塩鮭、ほうれん草お浸し、納豆、玉子、海苔、漬物・・・・・・あとはご飯と味噌汁という「The日本の朝飯」的な内容。タダでこれなら文句なし!
旅館の大きさからするとムチャクチャに大きな収容力があります。
それもそのはず、左手後方の山は仁山スキー場といって最長コース4kmもあるゲレンデなのです。

要はココ、スキーロッジなワケですね。
ただ、函館から近いのでワザワザ泊まり掛けで来る人は少ない模様。
グズグズしてるヒマはありません。

北海道の秋は日暮れが早く16時頃には暗くなるので、早目はやめの行動が必要。
曇天の下、旅館全景。
道路の突き当りがリフト乗り場になってるみたいです。
冬目前とはいえ、比較的温暖な道南にはまだ紅葉があちこちに残っています。
右下の塩ビ波板で囲われてるのが昨夜の露天風呂。

NKヴィラのNKとは要は「ニヤマ高原」のことでしょう。
冬ともなればそれなりに賑わってるものと思われます。
旅館のすぐ前を函館本線が通っており、小さな駅があります。
あまり他に例のないT字型の本屋。

ホームまで長いスロープで下って行くのも珍しい形式と言えます。
ここは元々変則スイッチバックの信号場で、今でも加速線が函館側に残っています。

中央付近に小さく見える腕木信号機は近年、観光用SL運転が始まってから設置されたダミー。
・・・・・・とまぁ、鉄ヲタ心をくすぐる施設が数多く現存しとるワケです。
窓口等がすべて塞がれガランとした待合室。

ちなみにトイレもものすごく古い様式を残したものでした。
昭和40年代の香りがする案内看板を通り過ぎて、函館市内に向かいます。
込み合う函館市内の縁を回り込んで到着したのは、湯川温泉近くのトラピスチヌ修道院。

トラピスト修道院が男所帯で、こっちは女所帯。
大天使ミカエルの背後に広がる修道院。

一般に開放されてるのはごく一部で、中では厳しい戒律の下、外出さえも制限されたシスターたちが自給自足の生活を送っています。
花村萬月の小説の舞台とかになりそう(笑)。
ルルドの泉を模したもの。

左がベルナデッタ、右の松の木の物陰にいるのが出現したマリアでしょう。、
まぁ今さら力んで言うことでもありませんが、私は宗教的清浄というのが大嫌いです。

一種ファナティックで倒錯したのがさらに倒錯した偽善的マゾヒズムを感じるからです。
禁欲こそが最大のエクスタシー、みたいなノリはどうも性に合いません。
敬虔な日々の祈り、なんて絶対おれにゃぁムリっすよ。

ちなみにここの流派は回教もビックリ!1日7回もミサをやんなくちゃならないそうです。
遠くに見えるのは函館山。
ビッシリと蔦に覆われた塀とそれに続くチャペル。

やや枯れかけた色合いが美しい。
葉を落とした木、ヒッソリとした園内。

そらまぁ濁世厭離はどんな宗教にもありがちなんですが、おらぁ死ぬまで濁世にまみれていたいっす。
今はナカナカ後進も入って来ず、台所事情はけっこう苦しい様子。
急速に晴れてきた中、恵山に到着。

風が強い。
海に向かって突き出した恵山は第一級の活火山であるにもかかわらず、なぜか妙にマイナーな存在で、あまり観光地化が進んでないのに好感持てます。
荒涼とした火山特有の風景が広がる中を続く遊歩道。
他に誰も観光客はいません。
爆裂火口跡からは盛んに噴気が立ち上っています。
昔来たときはあちこちで適温の湯が川になって流れてたのですが、今回は見当たりません。
ちょっと期待してたので残念。
あと、治山が随分進んだようで、全体的に雛壇状に整形されちゃった感じ。
まぁ、暮らす人々にとっては景観よりも、白土化して脆い土壌の流出を防ぐ方が重要ですからね。
津軽海峡を挟んで恐山と姉妹霊場という割には抹香臭くありません。

それらしい施設はこの御堂くらい。
こんなに開けた場所ですが、やはり羆は出没するようです。
かつて訪ねた温泉はパスして、唯一立ち寄ったのはここ、川汲温泉。
国道沿いに少し離れて2軒の旅館があるだけの小さな温泉です。

目指すはより古い佇まいの明林荘でしたが、残念ながら内部は撮影禁止。

園内に足を踏み入れるとどこからかモニターで見てたバーサンが現れて入湯。入ってる間もズーッと番台で見張ってる様子で落ち着きません。
今はもう宿泊はやっていないそうです・・・・・・っちゅうか、これぢゃ来る人もいなくなりまっせ、って話で。

無断駐車は10万円とかもう、そこまで世間を猜疑心で見てんならスンナリ廃業した方が良いかと。
さらに北上して大沼到着。

まずは日暮山に上がってみることにします。
平日ってこともあってか、人出はほとんどありません。
落ち葉の坂道を上り詰めると、
いきなり眺望が開けました。

雲に覆われた駒ケ岳の麓に一面の紅葉が広がっています。
巨大な堰止湖である大沼の全景。

1640年の駒ケ岳噴火に伴う山体崩壊によって出来たものです。
今は道南随一の観光地。
湖畔を一周する道路は、ビッシリと落葉で覆い尽くされていました。
うるさい所に行っても仕方ないので、大岩園地という静かそうな所へ。
人の気配に驚いた鴨の群れが飛び立っていきました。
あともう1週間早ければ、もっと凄い紅葉見れたでしょうね。
小径を埋め尽くす落葉を踏みしめながらさらに奥に向かいます。
落葉のアップ、ってなんか好きなんですよ。
紅葉の森と湖の織り成す景色が続きます。
何だこりゃ!?

スギナのお化けみたいなんが一面に伸びてます。
ああ、もうぉ少し明るかったらなぁ~、天気が良かったらなぁ~、とか思いながらさらに奥へ。
どうにも渋すぎる画面になってしまいます。

しかし手持ちだと、ISO上げて絞り開いてもこれくらいが限界なんですよ。
ただ、コンデジ時代の派手だけど単純な色調に最近少し飽きちゃった、ってーのも正直一方にあります。
大沼湖畔に出ました。
いくら何でもちょっと天気がパッとしませんな~。

打ち寄せる波も何だか重たげ。
しかし、紅葉と水面のコントラストが美しく、ここではかなり大量に撮影しました。
一眼に移行した今も、基本は「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」がモットーなワタシ(笑)。
なもんで、最近はやはり手ブレ補正付のレンズ主体にしようか考え中。

なんぼF1.8とか2.8でも、光量不足すると手持ちはキツいっす。
そろそろクルマに戻ります。
沢山撮ってるうちに気付いたのは、天気のことを嘆くより、その天気でどう撮ったら綺麗に写るかを工夫した方がいい、ってコトです。
例えばEVを若干調整してみるとか、やれることはいっぱいあるワケで。
ともあれ寒い中、撮影に協力してくれたヨメに感謝しつつ(笑)、今夜の宿泊地である銀婚湯に向かうことにします。
 ----Asylum in Silence----秘湯 露天 混浴から野宿 キャンプ プログレ パンク オルタナ ノイズまで
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